2018/05/03 のログ
ご案内:「図書館」にセシルさんが現れました。
■セシル > 緑が濃さを増す季節の午後。
この学園都市の近くにある島国の連休と重なるこの時期、図書館の人はまばらだ。
そんな図書館の、自習スペースの1つ。
「………。」
風紀委員の制服を着た細身の人物が、机に突っ伏していた。
■セシル > 「………。」
こんな場所で体調その他の理由で倒れている人間がいれば大問題だが、無論そういうわけではない。
この人物の背後を通るなりすれば、その背中が静かに上下しているのが見てとれるだろうし、耳を澄ませれば、静かな呼吸音も聞こえてくるだろう。
…つまりこの人物は風紀委員の制服を身につけながら図書館の自習スペースで居眠りをしているわけで、風紀上よろしくないことこの上ない。
突っ伏している当人の腕に、開きかけの教科書が半ば隠されていて、内容を知るのは難しい。
見える範囲を見れば、統計に関係する内容のようなのだが…。
■セシル > 「………ハッ」
ガバッと、ホワイトブロンドの人物が頭を持ち上げた。
自分が起き上がる物音に我に返って、ばつの悪そうな顔で周囲を見渡す。
「………。」
羞恥と、枕にしていた腕の圧迫の影響で顔を赤くしながらその人物-セシルは身を縮こめながらため息をついた。
中性的な肩幅を縮こめるさまは、少々コミカルにも見える。
■セシル > (…いかんな、こうも静かな環境で実感の湧かん勉強をしていても気が抜けてしまう)
開かれた教科書は統計学の入門的な内容のようだが、数学的な内容は控えめのようだ。
恐らく、馴染みの少ない学生のための入門書なのだろう。
…そして、実践の徒であったセシルにとって、統計学というのはどうにもとっつき辛いのだった。
セシルは眠気を払うように軽く顔を横に振ってから時計を見る。
居眠りをしてしまっていた時間は思ったより長かったようだ。
(…図書委員も、指摘してくれれば良かったのに…)
そんなことを思ってしまうセシルだが、流石に八つ当たりの自覚はあった。
■セシル > (今度の週末は久々にまとまった職務を入れているし…目覚ましついでに、少し遠回りで走って帰るか)
セシルは、意識を手放す直前に勉強したはずの単元と次の単元の境目に付箋を貼ると、勉強道具を片付けて図書館を後にした。
ご案内:「図書館」からセシルさんが去りました。