2015/06/10 のログ
ご案内:「大時計塔」に桜井 雄二さんが現れました。
■桜井 雄二 > (生活委員会の仕事が終わり、今日の用事も全て終了)
(足早に夜の街を歩き、帰路につく)
(その時、大時計塔の真下で騒ぎが起こっていることに気付いた)
■桜井 雄二 > 「やめてください!」
「いいじゃねーか、俺たちの家に行こうよ」
(一人の女性が街のならずものと思しき男たちに絡まれている)
おい、お前たち。何をしている。
(桜井は迷わずに声をかけた)
■桜井 雄二 > 「なんだぁ、お前は」
「俺たちはこの姉ちゃんと楽しく遊ぶんだよ、さっさと失せろ」
(チンピラたちは桜井に凄んでくる)
その女性は嫌がっているように見える。
嫌がっている女性に無理強いをするのは男らしくない。
やめたほうがいいぞ。
(無表情に男たちに説得?を試みる)
■桜井 雄二 > (チンピラたちが顔を見合わせる)
「あー……そうだそうだ、君の言う通りだなぁ」
「男らしくなかった、君は正しいよ」
(わざとらしく頷きながら桜井に近づいてくる)
そうか、伝わったならよかった。
その女性はすぐに風紀に連絡して家まで送り届けさせよう。
(チンピラたちがプッと笑い出す)
「君、風紀じゃないの?」
ああ、俺は生活委員会だ。
今日も校内清掃をした帰りなんだ。
■桜井 雄二 > 「そうかよっ!!」
(チンピラが取り出したスパナで桜井の頭部を殴打する)
(桜井は倒れこんで、頭から血を流し続ける)
「ギャハハハハ! 風紀をやったら面倒だと思ったけどよぉ!!」
「よりによってあのクソ地味な生活委員会かよ! ダッセー!!」
(倒れ伏したままの桜井、女性の悲鳴が大時計塔付近に響いた)
ご案内:「大時計塔」に朝霧保健医さんが現れました。
■朝霧保健医 > ・・・ッ!!
(何か赤黒い物が飛び出し、切断されたスパナがチンピラの手元から落ちる。)
(チンピラ達が振り向くと、そこには顔色の悪い重傷者のような姿の女性が立っていた。)
■桜井 雄二 > 「な、なんだ!?」
「おい、スパナが……! やべぇよ、異能使いだ!」
「い、行こうぜ!!」
(逃げ出していくチンピラたち、残されたのは心配そうに桜井を見る女性と――――)
う………だ、誰だ…………?
(頭から血を流して倒れている桜井だけ)
■朝霧保健医 > 大丈夫ですか~?
とりあえず応急処置をするので動かないでくださ~い。
(そういうと、重傷者のような姿の女性は救急セットを取り出し、慣れた手つきで応急処置を行う)
■桜井 雄二 > あ………ありがとう…
(応急処置を受けていると朦朧としていた意識が幾分か回復していく)
……あなたは重傷者ではないんですか? 包帯が………
■朝霧保健医 > 私は大丈夫ですよ~。この包帯は趣味ですから~♪
(落ち着いた、というか異常なほどゆったりとした口調で答える)
■桜井 雄二 > ………そうですか。(落ち着いた頃に通信機器を取り出し)
もしもし、生活委員会の桜井雄二です。
大時計塔の真下でチンピラに絡まれていた女性を保護しました。
可能であれば風紀の人間を寄越して彼女を家まで安全に送り届けてもらいたいんですが。
はい、よろしくお願いします。ここで待っています。
(通信機器を下ろしてため息をつく)…あなたの名前は?
■朝霧保健医 > 朝霧 葵です~。
・・・あのチンピラの方達もなんというか・・・こう・・・
臆病すぎな気がするわね~・・・
(何故かがっかりした口調で言う)
■桜井 雄二 > 朝霧葵さんですか、助けていただいて…ありがとうございます。
……臆病なくらいでちょうどいいと思います。
もし、あのチンピラたちがあなたに立ち向かっていたら多少の怪我をしていたでしょう。
そういうのは……よくないです。
(大時計塔に背をつけてもたれかかったまま視線を下げて)
人間はちゃんと話せばわかりあえるはずですから。
■朝霧保健医 > 確かにそうね~・・・
ただ、無警戒ってのもちょっとアレだと思うわよ~?
(警戒という言葉とは縁遠い雰囲気な朝霧はそう言った。)
■桜井 雄二 > ………そう、ですね…今回は俺が無警戒でした。
相手が武器を持っているかも知れないと身構えておけば、俺は……
……きっと俺は甘いんでしょうね。人に幻想を持ちすぎているんだ。
だからこんな傷を負う。(無表情かつ真顔のままで喋り続ける)
■朝霧保健医 > でもまあ・・・新興宗教の人達につけ回されたりでもしない限り、本能的に人を疑うなんてのは難しいものよ~?
(緊張感の全くないような表情でそう返す)
■桜井 雄二 > ………俺はズレているとよく言われます。
(その時に風紀委員がやってきて、事情を話し、女性を連れて行ってもらった)
(女性と風紀委員を見送りながら)…感性とか、考え方とか。色々ズレてるんだと思います。
色んな人の意見を聞きたい。それから総合して、自分なりの人間に対する価値観を持ってみたい。
そう思います。(軽く頭を下げて)今日は本当にありがとうございました、それでは俺はこれで。
(男子寮の方向へ向けて歩いていった)
ご案内:「大時計塔」から桜井 雄二さんが去りました。
■朝霧保健医 > う~ん・・・シリアスな空気はやっぱり苦手ね~・・・
(伸びをしたあと、朝霧はその場を立ち去った。)
ご案内:「大時計塔」から朝霧保健医さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に生ヶ易案子さんが現れました。
■生ヶ易案子 > ふと、高い空が見たくなった。
バカは高いところが好きともいう。そうだ、バカになろう。
がらがらと揺れる夕暮れの鐘。
ひとつひとつは乱雑に、しかし同じように左右に触れる振り子たち。
ノスタルジックなチャイム機構を横目にして、小娘は鼻歌まじりに階段をのぼる。
■生ヶ易案子 > 「うーん、サボりもいいけど……」
眼下の街並みを見下ろして、満足げに、
「規律違反もたまにはいいなあ」
最悪である。
高いところが見たくなっても、彼女に空を駆ける異能はない。
立ち入り禁止区域でも、彼女に姿を隠す魔法はない。
ただ、「べつに叱られても気にしない」という精神性があるのみである。
■生ヶ易案子 > 手すりの際……はさすがにちょっと怖いので、ある程度見晴らしのいい踊り場に腰を下ろす。
直接眼下にあるのは、異邦人街の独特の街並みだ。この世界における名称がないような、異界固有の建築物が垣間見えて楽しい。
右手にはのどかな産業区、左手には歓楽街と、その向こうの淀み。はるか高みから見下ろすぶんには好対照で好ましい。
■生ヶ易案子 > 夕陽を受けた横顔に、振り子の影だけが行き過ぎる。
そろそろ、チャイムも鳴り終わって――彼女はしばらく、陽が落ちるまで、ここで景色でも見ているだろう。
ご案内:「大時計塔」にカラスさんが現れました。
■カラス > 案子が眺めている景色の中。
視界の隅から黒い塊が飛んでくるのが見えるだろうか。
目を凝らせば、塊ではなく、1人の青年が背から生えた黒い翼を広げ、空を駆ける。
■生ヶ易案子 > 「おお、鳥だ」
飛行機ではなかろう。
視界をかすめる漆黒を目で追って、しかし、それが近づき、姿が明らかになるほどに眉を寄せる。
鳥というには丈があるし、かといってやっぱり飛行機でもない。
いや、あれは――
■カラス > 学園の制服を着ている――学園の生徒。
彼女の呟きが聞こえたのか、はたまた偶然か。
前を見て飛んでいた青年がふい、と案子の方を見て、眼が合ったように見えた。
■生ヶ易案子 > 「飛ぶタイプの人だ!」
かなり雑な分類をしながら、手すり側へ、夕暮れ空のより近くへと寄って行き、まるでなにかの観客のようにぶんぶん手を振る。
無防備で、無邪気だ。知らぬ相手への警戒どころか、立ち入り禁止場所にいるのを見られるとまずいという思考さえ感じられない。
ただ、空が見たくなってここへ来たのだ。空に近い相手への興味が勝つ。
「こんばんはー。散歩?」
飛ぶのも散歩っていうんだろうか。
■カラス > 「…?」
ぶんぶんと手を振られると、思わずその場に羽ばたいてホバリング状態で停止した。
きょろきょろと周囲を見回した後、自分に対しての行動だと分かると、
その大きな翼を羽ばたかせ、彼女へと近づいていくだろう。
この青年もどうやら警戒心は薄いのかもしれない。
最近は何かと厄介な事件が多いというのに。
「こ、こんばんは…。んと、学校の帰り…」
どこかおどおどした印象の青年である。
姿形は異形だが、威圧するような印象は一切ない。
■生ヶ易案子 > 学園での生活も長いだけあって、異形の姿にも物怖じはしない。
一応、あまりずけずけ踏み込むものではない、という世知みたいなものもある。
「学校行ってきたのかー。えらいえらい」
サボり魔から見た「えらい」の基準はすごく低いが、そう言ってにへらと笑う表情に悪意は感じられない。
「あんずさんはここでサボってたんだ。ね、いつも飛んで帰るの? かっこいいなあ……」
手すりに顎を乗せて。
にこにこと話しかけながらも、そのおどおどとした態度を見て、人間社会にまだ線を引いちゃってるタイプかな、なんてちょっと思ってみたりもする。
■カラス > 青年は鳥の異形に見えるが、
角があったり、足が爬虫類の足だったり、どこか混ざりものだ。
「えらい…?」
そんなこと初めて言われた、という顔をしている。
飛んで帰るのか、という問いには頷いて返すだろう。
耳羽根が頷きに合わせて揺れる。
「サボ…ここって、入っちゃいけないって聞いたけど…。」
■生ヶ易案子 > 「うん! 見つかると怒られる!」
あまりにも堂々とした宣言だった。
ついでに親指も立てた。
「でも、あんずさんは飛べないからね。ズルしないと、ここまで高い空には来れないから」
だから、飛べるっていいなと、子供のように素直に思う。
「こんな気持ちのいい高さから街を見られるんだもん。空でまでそんなビクビクすることないよお――」
って、もしかしてあんずさんがびくびくさせてるのかな、これ。苦笑いして、
「あんずさんは、あんずさんだよ」自己紹介になっているのか微妙な自己紹介。「きみは?」
■カラス > 「おこ、え……っわわ」
堂々と言い切った貴方に思わず動きが止まってしまった。
一瞬重力に引っ張られかけて慌てて羽ばたいた。
あまりにも悪びれなく笑うものだから、
諌めたり咎めたりする気になれない。…いや、彼が臆病なのもあるが。
「そ、空にも飛んじゃダメなとこ、あるから。
あんずさん、あんずさんも、せ、生徒だよね
俺? えっと、俺、カラスって、呼ばれてる。」
『呼ばれている』という言い方には少し引っかかりを覚えるだろうか。
彼の翼や髪は、その名の通り黒色…濡烏色(ぬれからす)をしている。
■生ヶ易案子 > 「っと!」
落ちかけるのを見て、慌ててちょっと手すりから乗り出すが、かといって何かできるでもない。
……体勢はすぐに立て直ったようだ。ほっと息をついて。
……呼ばれている、か。
自分のことを話るのに、まるで他人の評価任せの表現だ。
しかし、こちらも、それを諌めたり咎めたりはしない。深く抉ろうとは、しない。
ただ、濡れ羽色に反射する夕陽を眩しがるようにして、すっ、と、目を細めて、
「あんずさんも『あんずさん』と呼ばれてた」
そして、
「なんで、あんずさんも自分を『あんずさん』と呼ぶことにした」
一緒だねえ、と笑う。
「ん。あんずさんは生徒だよ」
まだ生徒を辞めさせられてはいない、という意味で。
「いつもどっかでサボってるけど、なんか困ってたら『手伝い』に行くよお。よろしく、カラスくん」
■カラス > 「あぶなな…っ」
手すりから乗り出した案子に対してカラスの方もあわあわと。
常に羽ばたいているが、疲れはしない様子で、
もう少し彼女の方へと近づく。
手すりに手をかける、触れられそうな位置まで。
どこか青年の緊張を和らげるかのような言葉遣いと笑みに、
おどおどとしながらも少しだけ口角を持ち上げる。
「いっしょ、う、うん…いっしょ。よろしく…。
あんずさん、名前は、あんずさん、だけ?」
あんずさんのさんまで一緒にひっくるめて覚えてしまっていそうだ。
とはいえ、さんさんになってないのを見るとわかっていそうだが。
「あんずさん。サボってるって、学校では逢わない、の?」
■生ヶ易案子 > 近付いてもらえれば、乗り出す必要はない。姿勢を戻す。
「んー、あんずさん、だけじゃないんだけど」
頭を掻いて、髪をくるくる。
「長いのはあんまり好きじゃないんだ。だからあんずさんでいいよ」
「うん、ガッコにはあんまりいないかなー。たまに職員室で怒られてる」
悪びれもせず、さらりと。
「勉強、苦手だからね。昼は街のどっかでバイトしてるか、寝てる。夕方は遊んでて、夜も寝てる」
つまりはふらふらと居所不定ということだ。が、空から見つけてもらえることもあるだろう。
「……っと、そろそろ夜か」
見渡せば、だいぶ陽も落ちてきたようだ。
■カラス > 「ん、じゃあ、えと、あんずさん。よろしく。」
それ以上突っ込むような気概は彼にはなく、
指にくるくると絡まる紫銀の髪を、赤い目が見ていた。
自分とはまるで正反対だ。
彼女のように朗らかに居れば、もっと自分も気が楽なのだろうか、と思ってしまう。
しかし、それが出来ないのは、彼だから。
「お、怒られるの? でも学校いかないの…?」
カラスからすると信じられないといった様子で、
耳羽根がぴこぴこと揺れている。
好き勝手に自由気ままに生きている彼女に、少しばかり羨望を覚えた。
「え、あ。か、帰らなきゃ」
彼女の言葉に後ろを振り返ると、もうすぐ星が燦然と輝く時間が迫ってきている。
おとうさんが心配する、と呟いた。
■生ヶ易案子 > ぴこぴこ揺れる耳を、楽しげに眺めている。
もうすぐ、夜が来る。そうしたら、彼の髪も、翼も、この耳羽根も、空の色に溶けてしまうのだろう。今のうちにもうちょっと見ておこう。
「おうおう、頑張るいい子は早く帰らないとだね。引き留めてごめん」
……心配する人がいるのなら、なおさらだ。
「じゃ、よい夜を、だね。あんずさんもそろそろ帰らないと」
足元が見えるうちに階段を降りないと、だ。
「またね。今度はたぶん、もうちょっと低い場所で」
■カラス > 「う、うん、あ、ううん。
まだ話せるヒト少ないから、楽しかった。」
おっかなびっくりな彼が見せる精一杯の笑顔で、ごめんを消そうとしてみた。
手すりから手を離し、カラスの黒は再び空へと放たれる。
「帰り気をつけて、ね。ま、またね。」
またねと互いに返し小さく手を振ると、
バサバサと大きく羽ばたいて方向転換し、
姿はこれから来る夜へと同化していくだろう。
ご案内:「大時計塔」からカラスさんが去りました。
■生ヶ易案子 > 「そいつは重畳だった」
手を振って、飛び去る影を見送った。
しかし、本当に夜空と同じ色だ。来た時と違って、すぐ見えなくなる。
「さーて。じゃ、あんずさんもそろそろ地上の民に戻らないと」
古めかしい階段を、注意深く降りていく。
振り子の動きに遮られる月明かりを頼りにして、ふわふわとした足取りで娘は時計塔を後にするのだった。
ご案内:「大時計塔」から生ヶ易案子さんが去りました。