2015/08/04 のログ
ご案内:「大時計塔」にアーヴィングさんが現れました。
アーヴィング > 遠いな…星が
(時計塔の最上部…人が立ち入れる場所よりも更に上、時計盤が据え付けられた塔の上に寝転がり、夜空に手を伸ばす
 着ている服もいつものこの島で購入したものではなく、故郷で着ていた…
 最終決戦の出撃前に王城から民衆に手を振り必ず勝って帰ると約束した時の式典用の服だ
 そして、約束は半分だけ適えられた

 自分にとっては万々歳の結果、他の仲間達にとっては……乗り越えて欲しい
 自分がまだ面倒を見なければいけない奴がいた、自分を慕ってくれる奴がいた、肩を並べて初めて判り合えた奴が居た

 こうしてわざわざ昔の服を来て、空に少しでも近づこうとするのは…未練だ)

アーヴィング > なっさけねぇ…もう死んでるんだよな、俺は
(あの時、自分は光の中に消えた
 戦って、戦い抜いて、理想を貫いて、望んだのとは違う形ではあるが英雄と呼ばれ、当代最強の名を得て
 そして仲間と戦い、敵を打ち破り、そして仲間を守って死んだ
 騎士物語としては出来すぎなほどの結末だ

 結果的に生き延びたが、自分は死を覚悟した
 ならばこの奇跡的な転移も生を拾ったというよりも、死後の世界という印象が強い
 だから未練はない、後悔はない…はずなのに)

異世界なんだよな
(知っている星座は一つもなく
 空に昇る月はいつ見ても一つしかない
 
 人は同じで、建物や文化は知らない外国にでも来たみたいで
 ただ空だけが、昼も夜も、決定的な違いを見せ付けるように違う

 だからか、こうして夜になると残してきた皆の顔が浮かんでしまう
 自分の事は忘れて欲しい、覚えていて欲しい
 背反する思考が重なり浮かび、苦い表情でため息とともに吐き出す)

だっせぇ
(覚悟も何もかもが、こうして自分が未練を出しているだけでくすんでいく気がする
 
 この世界に騎士は居ない、少なくとも自分という存在を更正する騎士という要素は何の意味もない
 ただ自分が自分として誇れるように、騎士らしくはありたい

 それがこの体たらく、笑いの一つも漏れはしよう)

アーヴィング > (この世界には自分の地盤がない
 騎士という空を翔け、魔物から人を守り、他国の騎士と誇りをかけて決闘する
 自分が半生を捧げた生き方は終わった
 
 必要とされたからこそ成り立ったその生き方は、この世界では必要とされない
 
 この島は嫌いじゃない
 全てが全て手放しで肯定できるわけでもないが、悪くない
 こうしてふとした拍子に面倒な事を考えてしまうだけで、自分は今を楽しめている

 ただ、空だけが欠けている

 焦がれ焦がれて手を伸ばし、つかみ、引きずり寄せた自分の世界だけが)

陛下なら…こんな時笑い飛ばしてくれるんだろうな
(レガリアの賢王と呼ばれたフェリックス王
 自分に騎士号たる「ヴァン」の名を与えてくれ、剣を捧げた主君
 そして時には差し向かい酒を交わした生涯の友

 お前はただ飛べ、と言ってくれた彼ならば、春に吹く風が冬を押しのけるみたいに簡単に自分の悩みを拭ってくれるだろう

 だが今はもう、彼は居ない
 しかしこうも思う
 もしも、万が一ここが冥府なら、死後の世界なら
 彼に再会した時に胸を張れるようでなければいけない
 自分は騎士だ、英雄だ
                        フラッグ
 それがうつむいてくすんでしまっては、自分が掲げた旗に想いを託してくれた人たちを侮辱することになってしまう)

アーヴィング > 作るか
(月に手を伸ばし、ぐっと握りこむ
 命はある、翼も失っていない
 誇りはただこの胸にあればいい

 自分はもう、ここの住人だ
 ならばここで生きて行く事をしっかりと認識しよう
 空は遥か遠く、だが大地では未だ乱はある
 風紀公安という組織があるにはあるが、どこかに取りこぼしもあるだろう
 何もないのならばそれでよし、何もしなければ何もなせはしない

 自分が誇りをかけた空は天蓋の向こう側にある
      ソラノカケラ
 しかし、夜空の星は地上にも降り注ぐ
 そのどこかで、誇れる自分を取り戻せばいい
 生き急ぎ駆り立てられる必要はない
 ただ、当たり前のようにここで生きよう)

アーヴィング > 未熟だね、どうにも
(自嘲気味に笑い、脚を振り上げ、振り下ろす勢いで立ち上がる
 故郷の想い出と、友人の言葉を思い返して迷いを振り切る
 未熟だ、未熟すぎて笑えてくる
 
 つまり伸び代があるという事だ
 余生を楽しむ気持ちで
 のんびりと、楽しんで
 自分らしくやっていこう)

まずは水の克服からだな
(なんて、冗談を呟きながら足場を蹴りつけ宙に舞う
 
 赤い航跡は真っ直ぐ揺らぎなく夜空を翔ける)

ご案内:「大時計塔」からアーヴィングさんが去りました。