2015/11/26 のログ
ご案内:「大時計塔」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > 「…………」

小さくくしゃみをした。
時計塔の屋上へ顔を出しながら、顔をしかめる。
雨だ。……雨が降っていることは、もちろん、此処へ上る前から気づいていたのだから、それに対してなにを言うわけでもないが。

傘をかざしながら、いつもの定位置へ向かった。
これでは、地べたに胡坐をかくこともできない。
しかたなく、手すりへ体を傾けた。

夕暮れ時……の筈だ。
筈だが、雨と、そして季節の流れによってもうそれは夜中と言ってもよさそうな暗さで、光の乏しい景色を目に写した。

ご案内:「大時計塔」に磐野 州子さんが現れました。
渡辺慧 > 風が吹いた。寒い。
秋はあっという間に過ぎて、季節の変わる早さを直接的に伝えてくる。

停滞した意識の中では、それをひどくもどかしいものに感じて。

「……ひっ」
卑屈気な笑みを浮かべる。
そのまま片手に持っていたホットの缶コーヒーのプルタブを押し開け、煽った。
傘は肩にかけ、自由になった片手でポケットを漁る。

そこから煙草の箱を取り出して、一本、口にくわえた。
今更だろう。もとよりここは立ち入り禁止なのだから、と誰に言い訳するように考えながら。
火はつけない。ただ口元が寂しかっただけかもしれない。

磐野 州子 > 慧がその景色を眺めて10分か、それとも5分かは本人の体感時間に依るのだろう。
少なくとも州子は慧が屋上に姿を現してから数分後にその場に現れる。
州子がこの場に現れる理由なんてものがあるとするならただの暇つぶしでしかない。
その暇つぶしする場所にたまたま人がいただけであって

「…うわ、久しぶりです?ワタナベケイ」

その体格に合わない白衣の袖を揺らしながら久しぶりに野良猫を見つけたかのような口ぶりで慧に近付いて行く。

彼が煙草に火をつけることなくただくわえただけの様子を見て
大人に一歩踏み込もうとしているのか、躊躇っているのか、そんな感想を抱く。
そしてぽつり一言

「飴でいーんじゃねーですか?」

持ってないから煙草をくわえたという事ぐらいは分かっている

渡辺慧 > 一人を感じている時、体感時間は早いようで遅い。遅いようで、気づけばこうやって季節は変わっている。
慣れているかいないか。……いや、きっとそういう問題でもないのだろうが。
だから、いうならば、気づけば、その場に彼女は現れていた、と自分の中で表現した。

……。
あれ以来会っていなかった、らしい。
少し、いや。存外分かりやすく気まずそうな顔を作った。

「……やぁ。久々」
器用に口元にくわえたままそう発声して、身体を半分も満たないほど彼女の方へ体を向けた。

苦笑い。その通り、飴など持ち合わせていなかった。

「暇人かい」
自分の事は棚に上げる。こんな雨の降る中、態々時計塔に登る理由など、そう多くはないだろうと予見したから。

磐野 州子 > 一人でいる時間にもう一人が割り込んで来た場合、それは果たして体感時間が変わるものなのか。
その証明はこの話が終わった後に慧か、または州子が説明してくれるのだろうか。

『あれ以来』。
彼が一度とんでもない落ち込みを見せながらカフェテラスにやってきた事がある。
慰め、慧の尻を蹴るような真似はせずそっと立ち上がらせるようにはしたがあれ以来ある程度は元気になったのか、多少心配ではあった。

…丁度その時に州子の弱みを握っていた人物もいたが、何も触れられずホッとしたのだが、
その人物は今も追いかけられているのだろうか

因みにカフェテラスの勤務は続けている。
前に比べれば客に対応出来るようにもなったし、給料も少し増えた。

「暇人に暇人と言われると悲しくなるですが、否定する事もねーですしね。
暇です。何か面白い事をしてくれると助かるです」

明らかな無茶振りではあるのだが、
気まずそうにしている慧に対して少しでも気持ちを和らげればという気持ちは篭っている。

渡辺慧 > 「ははん。……そうだな」

面白い事。無茶振りであるが……それはきっと気遣いであるのだろうし、無碍にすることもない。
かといって唐突に面白いことを思いつけるほど脳の配線は整備されていなかった。だから、少し大仰に、芝居じみた動きで手を広げ。

「こんな雨の中、立ち入り禁止の場所に、相も変わらず理由を持たずここに来た俺と」
「そんで、それが些細なものに変わるほどの暇を持て余した君が偶然ここで会ったなら」

と、そこまで言ったところで飽きた様に、悪戯気とでも言うかのように笑って、元の体勢へ戻り。

「……まー。それ自体がおもしろいんじゃねーかな」
一息つくように、缶コーヒーを煽った。
そんな、適当な流れの中。

「なぁ。………………あー。……州子」
「ごめんさ」

今更のように、罰の悪そうに、謝って。笑った。

磐野 州子 > 慧の芝居かかった言動、動き。どこかの劇団でも想像しているのだろうか。
慧にそんな趣味があるとは思えなければ面白い事と言うその発言の内容を聞いて
内心悪いと思いながらもついつい鼻で笑ってしまった。
その気まずい心を立て直すように、州子は口を開いて

「あぁ、いや…無茶ぶりしたのは悪かったです。
 でもいつもらしい慧に少し戻ったように気がするですね」

袖を口にあて、その場の空気を続けていきたいのか州子はくすくすと笑みを溢しているが、
慧から謝罪の言葉が飛んでくると途端に真顔に戻り、そして

「許してやるです。州子の心は常世島のように広いです。」

きっとあの時の事なのだろうが、本人の心中は謝罪される覚えがない。
しかし謝られたのならばその言葉を突き返すのも悪いと思っての判断なのであった

渡辺慧 > 「ひでえな」

と言いながらも気にする理由がない。
どちらかというと、この雰囲気こそが前のようだった気もする。

「……さてね」
いつも通りか、と言われると首をかしげる。
何処に置いていたかわからない。見えていたのはどんなものだったか。
傘に雨が当たる音。この音を聞くのが好きかもしれない。

「大丈夫さ、大丈夫。もうこのままでいれるよ」

口元にくわえていた煙草を離し、ポケットのソレへ戻した。
いつも通り、いや。今まで通りの軽い返事。

「そーかい。……どーだったい、この久々の間」
「何か面白いことでもあった?」

直近で言えば、学園祭だ。彼女が、積極的に参加したようには思えなかったが……存外楽しんでいたりするのかもしれない。

磐野 州子 > このまま、と言われるとこの前のは今の慧ではないのか、と頭のなかで新しい疑問と推理が飛び交ってる最中に慧の言葉が入る

「学園祭があったそーですね。」

あまり興味なさげにおそらく慧が求めていそうな答えの事項にスポットを当てる。

「州子はいってねーですよ。
 流石に祭りの真ん中で爆発を起こす訳にはいかねーでしょうよ」

その言葉を吐き出すと同時にまた鼻で笑う。
祭りにも勇んでいけない。出し物も出せない研究者なんて対したものじゃないという意図があった
しかし、起こりうる惨事を防ぐ為に彼女は学園祭期間の間は研究所に引きこもり続けていた。
しかし無駄に引きこもっていた訳ではなく、勉強や研究も続けていた…それしかすることがなかったから

渡辺慧 > 雨が弱まってくる。
少しだけ、それにも、こんなことにも寂寞感を感じてしまった。

彼女は変わっていないらしい。

「他にも楽しみ方はあるだろうに。ま……人の事言えないけどさ」
安堵、安堵。これを安堵と言っていいかわからないが――。

「人の事言えないから、あえて言わせてもらうけど」
「友達を作るといいさ」

彼女なら、心配なく出来るだろう。
それ以上言うこともなく、半身をまた、少し霧がかった景色へ向けた。
笑みが薄れて、ぼんやりと景色を眺めながら、コーヒーを煽る。

「……寒い」

磐野 州子 > 雨が弱まる。
そんなことに意味は特に無いのだが、雨が天の恵みだと言うのならば泳げる程に降ってしまえばいいのに。
そうすれば世界から爆発なんて言葉は消えるというのに

「友達、ですか」

じっと慧を見る。雨の景色にどこか似合うような、しかし絵になる訳ではない。
ただそんなオムカレーに福神漬けではなくたまには辣韮を用いるみたいに、
たまにはこんな景色を見るのもいいのかもしれないと思った。ほんの少しだけ

「なるほど、州子は少し悲しいですね」

そんな口ぶりをしているが、今から泣き出すような顔をしている訳ではない。
寧ろにやけているというのが正しいだろう

渡辺慧 > 人材が人材なら、もしかしたらドラマのような、絵になるようなそんな場所だったのかもしれないが……生憎自分と彼女しかこの場にはいない。
だから、精々風情があるとしたら、この弱まっている雨音だけだろう。
少しだけ欠伸をこぼしていると。

「ん……」

悲しい、という言葉に目線をやる。
そこにあったのは、似つかわしくない顔。

「……なんだよ」

今の言葉にどこに悲しいという要素があって……そしてどこににやける意味があったのか。
それを考えても分からないのは、自分だからか。

磐野 州子 > 「別に?」

小振りになる前に合わせて言葉は小出しにしているつもりはないのだが、
分かっていない様子なら一気に話してもこちらもあちらも面白くない。
ならば、言葉だけでも遊べる内に遊んでおくべきだろう…州子からすれば友達以上のような彼と

「一応、友達はいるですよ?」

ふふ、と意地悪い笑みを浮かべて慧の反応を伺う。
こうして考えてみるにこうやって話す分には面白い人物である。
どこか抜けて、どこか締めすぎている、そんな彼

渡辺慧 > 「……そりゃ。余計なお世話だったかな」

勿論彼女のことをまるっと知っているわけではない自分が、何を言えたわけでもなかったのかもしれない。

「……はは。……全く。なんだろうね」

何かを遊ばれているのは分かるが、さっぱり察しがつかない。
元よりこういう関係だったような気もするから、変わりようがない部分なのだろう。

「楽しそうだね、ったく」

こちらは、何をからかわれているのか分からずにいるというのに。
時間がたつにつれ、寒さが増す。
さて、自分ならば……この寒さも楽しんだ方がらしく見える、のかもしれない。

思考通り、言葉とは裏腹の楽しそうな笑みで、缶コーヒーを煽った。

磐野 州子 > 「楽しく考えないとやってられねーですからね。」

相も変わらずくすくすと慧を笑う形式は変わらず、
しかし今度はいつもより真剣な面で、少し頭の中に言葉を貯めている倉庫一言引き出すように

「慧にとって私は友達以下なんです?」

少なくとも、州子の中では慧のことを友達、または以上と見ている。
しかし慧の口ぶりからすると友達ではないのか?という予測が現れる。
慧の事をあまり笑い続けるのも良くない、から少しだけ質問をしてみる