2016/06/15 のログ
ご案内:「大時計塔」に四季夢子さんが現れました。
四季夢子 > 「ふぅん……こうなってたんだ……。」

街中より見あげると、まるで天を突くように視得た場所。
時計塔と云うには些か長大に過ぎ、何か別の用途でもあったりしてと、
前々から気になっていた場所に私は立っている。

時刻は丁度お昼を回ったくらい。昇っている途中で豪快に鐘が鳴って吃驚しちゃったわ。

「景色が良いくらいで特に何も無い……わね。それなら望遠鏡でも置いてくれればいいのに。
……なんてね、表向きは立ち入り禁止の所にそんなものあるわけないわ。」

立ち入り禁止を謳う割には守衛が居る訳でもなく、入口が施錠されている訳でもない。
それでも謳われているからには今私がこうしているのは不法にあたる。
入る時には透明になって来たから、入口に監視カメラとかがあっても大丈夫でしょうけど、
内部にあったら意味が無いのだから、普段の私からすれば大胆な行動と言えた。

ご案内:「大時計塔」に霧依さんが現れました。
霧依 > 大きな大きな時計塔。そんなものに立入禁止がぶら下がっているのなら、入ってくれと言っているようなもの。
堂々とした素振りで中に入り込んだ女は、最上階の見晴らしの良い場所で風を受けつつ、外を見下ろし、煙草を取り出しながら唇に咥え。

………それをそっと仕舞い込んだ。
階段を上がってくる女子生徒の姿が見える。


「………お嬢さん、ここは立入禁止だよ。
 フェンスも無いから、少し危ないかもね。 大丈夫かな。」

階段の上からさらりと声をかけるのは、生徒の制服を来た長身の女。
年齢こそ上のようではあるけれど。

四季夢子 > 眼下に学生街を望み、遠くには荒野や山が視得る。港には大きな船が――

「――えっ!?」

視界を巡らせている所に予想だにしない声がかかったものだから吃驚してしまって、
体勢を崩しかかって何とか御して、そう高くはない手摺を掴んで声の方を見た。
もしかしたらうっかりと点滅するように透明になったり、ならなかったりもしてしまったかも。

「急に驚かさないで頂戴。まったくもう……立ち入り禁止を言うならそっちもでしょう?
制服姿で入るなんていい度胸をしているわ?」

じ、と相手を疎んじるように見据える第一印象は……なんだろう、制服、似合ってないなあって一寸酷い感じのもの。
整った制度が似合わないような、なんか雲みたいな感じ。
でも常人離れしたような雰囲気は無くて、所謂ノーマルな人間さんかしら?と予想とてした。

「……ま、それはそれとして……今日和、初めまして……よね。貴方も好奇心に惹かれたの?
それとも鳥の気分にでもなりに?」

高度が高い所為もあって地上に比べたら風も強いし、気温も少し低いような気がする。
私は問いながら鳥も楽じゃないんだなって、嘆息を一つ。

霧依 > 「偶然目に入らなかったんだ。
 そう、入るのも最初だからね。
 それに、本当に絶対入って欲しくないなら、チェーンくらいは巻いておくだろうから。
 制服姿で入ることが、その何よりの証左ってことかな。」

ぱち、と軽くウィンクをしながら、大人びた風貌の女。
こっちに来ない? と手を伸ばしたりしてみながら。

「初めまして。 立ち入り禁止っていうのは、入ってみたくなるものだから。
 むしろ人間として自然な行動だと思うんだ。

 鳥の気分にもなりたいところだけれど、目的地も無いからまだいいかな。
 それに、空と同じ髪の子が隣に来てくれるのに、飛び立つ理由も無いからね。

 少し風も強いから、気をつけて。」

相手が僅かに点滅するのを、その目ではっきりと見た。
それでも、二回だけ瞬きをして、それはそれ、と受け入れる。
隣に来ることを既成事実にするかのような言葉。

四季夢子 > 歌う様ように喋る人だと思った。
役者とは違うけれど、お芝居をしているような不可思議な感じ。
私はむぅと唸ってみせるけれど、それは彼女の態度だけが原因じゃあなくって、
彼女の言葉にも思う所があったから。

「貴方の言い方だと、むしろ入って欲しいから立ち入り禁止を謳っているみたいじゃないの。
なんだか乗せられたというか、引っ掛かったみたいで癪……って何言ってるんだか。
髪、褒めてくれるのは嬉しいけどその言い方だと口説いてるみたいよ?」

柔和な様子で手招きをされても、近付かず、相手をじーっと品定めするような眼差しは崩さない。
印象は……不可思議な人、から気障な人。に認識を改めておこう。

「ともあれ……ええと、私は四季夢子《ひととせ ゆめこ》って言うの。雲色の貴方の御名前は?」

ついでに学年は?と訊ね、相手が答えるならそこで初めて一歩近付いてみせましょうっと。

霧依 > 「人は繰り返しと退屈を嫌うから。
 高い場所にフェンスがさほど無いくらいのリスクと、見たことのない景色を眺める素晴らしさを天秤にかければ、そりゃあ結果はわかりきってる。

 どうしても入れたくないなら、もっと素晴らしい展望台を隣に立ててしまえばいいのさ。」

空を見上げながら言葉を紡ぐ。
ゆっくりできるしね、と言葉を重ねて。

「僕は霧江。この前この島にやってきたばかりの1年生。
 旅先で変な力がいつの間にか身についていたから、ちょっと調べたくてここにいる。

 その様子だと、最近来たというわけではない様子だから、先輩かな。

 口説いているみたい? それは参ったな。 じゃあ、ちゃんと口説くことにするよ。」

なんて、ウィンクをぱちりと一つ。
先輩と言いつつも、マイペースは変わらない。

四季夢子 > 「む……言うじゃない。北風か太陽かで言うなら貴方は太陽ね。
退屈を紛らわせる事を考えるのって大事よね。考える葦と言った人がいるけど、
思考停止はただの植物みたいなものだもの。」

物言いは別として同好の士という奴かしらん?と心裡だけで首が傾いで一歩近付く。
名前のみならず、真偽は不明だけれど目的まで教えてくれるなら尚の事。

「ふぅーん……それは難儀してそうね。ええ、御推察の通り私は去年から居るわ?
二年生だからキリエさんからみれば先輩……別に敬語とかそういうのは良いからね。
ここ、学年も年齢も色々とばらばらすぎて先生相手でもなければ一々気遣ってると疲れちゃうし。
……あと口説いてどーすんのよ口説いて。言っとくけど、言っとくけど私は女だからね?」

更にもう一歩…とは言わず、拳を握り締めながらずかずかと近付く。
見るからに相手は女性に見える。
それなのに口説くとか言っている。
見目からしてありえないだろうけど、私を男子と思ったか。とちょっと鼻息が荒くなるのも無理はなくって。
近くまで近付いたらその頬を一発……なんて事はせず顔を良く見ろと言わんばかりに見上げてやった。

霧依 > 「考えるのも大事だし、感じることも大事だよね。
 毎日同じ時間を過ごしていると、退屈であることすら忘れてしまうから。
 そうしたら、本当に植物になってしまう。

 きっと違う人と見る景色は、やっぱり違って見えるから。
 僕の隣で景色を見ておけば、また一人で来て眺める楽しみが残るかもしれない。

 やっぱり先輩なんだね、四季先輩でいいのかな。」

近づいてきた彼女にほほえみかけつつ。
僕は何でもいいよ、と付け加えて。

「……ふふ、こんなに顔を近づけたら危ないよ?」

なんて、頬を指でさらりと撫でた。
その上で口を開いて。

「分かっているよ。 分かっているからそうしている。」

またウィンク。くすくすと笑って相手を見やり、手を引いた。