2016/09/27 のログ
ご案内:「大時計塔」に霧依さんが現れました。
霧依 > 女子寮から抜け出してバイクを吹かせば、そこから始まる彼女の時間。
自由を望む彼女からすれば、この学園生活は若干息苦しい。
ちゃんと授業は出ています。当社比。

今日は、高いところから月の一つでも見たいな、なんて考えて校舎の中へ。

「さて……。ちょっとだけ、ちょっとだけ。」

鼻歌混じりに時計台を登れば、手すり越しに景色を見下ろす。
風が髪を揺らして、少し肌寒い。

霧依 > ……おや。

(空を見上げれば、階段を上るまで照らしてくれていた月が、そっと雲に隠れてしまい。
 彼女の姿が闇に消える。)

…残念。せっかくここまで来たのに。
月に振られちゃうとは、今日はついてない。

(苦笑を浮かべながら、手すりに背中を預け。
 あえて学園側を見下ろしてみる。)

霧依 > (………静かなものだ。
 些かの退屈を覚える程に静かなこの空間で、今日歩いた足取りを上空からなぞる。
 夜の街に繰り出すのも悪くは無いが、ここ数日前にルール順守の大切さを教えられたばかり。
 ルールをできる限り守って、夜の落第街に行くことだけは避けた。
 良い子。)

………お酒の一つでも持ってきたらよかったかな。

(良い子ではなかった。
 ひょい、と手すりに腰掛けて、宵闇の中で不安定な場所に自分を置く。)

ご案内:「大時計塔」に滝川 浩一さんが現れました。
滝川 浩一 > 真夜中の大時計塔。
スニーカーの足音を鳴らし、階段を上っていく。

「ひえ~…暗いな」

手には小さな懐中電灯を持ち、足元に気を付けながらそう呟く。
とある事情により長い入院生活を送っており、つい最近退院した。
退院してからやりたいことを設定していたようで、それを実行するために夜の時計塔へとやってきたのだ。

時計台へ登りきれば不安定な手すりに腰掛けている女性を視認する。

(まさか…)

自殺?などと頭の中で単語が過り、顔を青ざめさせる。

霧依 > (さて、少しゆったりと曇り空に隠れた月を眺めた上で、ふと気が付けば、誰かが昇ってくる音。
 こんな現場をみられたら怒られてしまうだろうな、と思いながらも、のんびりと空から視線を戻して。)

「……誰かいるのかい。
 月は恥ずかしがって雲に隠れてしまったから、眺めるにはちょっと惜しいところだったね。」
 
 穏やかな言葉をさらと漏らして。階段に視線をやる。
 誰が来たかはさっぱり分からぬ。
 だからといって態度を変えるつもりは、ほとんどなくて。

滝川 浩一 > 「あ、えっと…その…はい?」

誰かいるのかという問いに対し、おどおどしつつその様に返す。
懐中電灯の灯りを消し、彼女に見えるように姿を現す。
カジュアルな格好の長身の少年がそこにいた。

「あ…あの、は、早まらない方がいいと思います!ここで死んだら…その…」

目の前の女性がまだ自殺すると勘違いしている少年。
目を泳がせながら、説得のような何かをする。
このようなシチュエーションは初めてなために心臓の鼓動が加速する。

霧依 > 「こんな時間にこんな場所に来たらいけないよ。
 ルールがあるし、何より危ない。
 この世のものではない相手にだって、出くわしてしまうかも。」

しっとりとした声でそう囁いて、僅かに笑う。
唇の端を持ち上げながら、相手の言葉に静かに耳を傾けて、ああ、と得心。

少しだけ考えて、そうだな、と呟き。

「大丈夫。………まだ死ぬ気はないよ。
 ……ただ、ちょっと気になるね。 ここで死んだら、どうなるのかな。」
 
首を傾げて、相手の言葉の先を引き出そうとしてみる。
確かに、彼女をこの場につなぎ留めておく鎖は、あまり太くは無い。

滝川 浩一 > 「はは……実際、出くわしたんですけどね…」

僅かに笑う彼女に対し、こちらは苦笑いして視線を逸らす。
最後の方は小声で呟き、その時の情景を思い出す。
つい最近この世の物とは思えない相手に腹に穴を開けられたところだ。

「そうですか…えっ?」

まだ死ぬ気はないって言葉に安堵し、胸を撫で下ろした…かと思えば、意味深な発言する女性に体が固まる。
冷や汗を掻き、彼女を説得する言葉を再度考える。その目は完全に泳いでおり、動揺を隠せない様子で。

霧依 > 「この島は、本当に出くわす可能性もあるから面白いんだけどね。」

囁きながら言葉を漏らして、もう一度学園内に目を落とし。
そのままもう一度空を見上げる。
まだ月は、いない。

「……うん。ここで死んだら何がどうなってしまうのかな。」

そこまで口にして、ようやく月明りが女を照らす。
似合わない制服姿の女は、妖艶に足を手すりの上にかけ、しなやかな太ももをおおきく見せる。
女性らしい体のラインを、特に隠すこともなく。

滝川 浩一 > 「……確かに」

彼女の言葉に賛同し、腕を組んで頷く。
確かにこの島ならではの生物や非生物…怪異や妖怪などは中々見どころがある。
彼女が上空へと視線を向ければ、こちらもそちらへと視線を移す。

「えぇっと…」

月明りが差し、彼女を照らすとドキッとする。
しなやかな太ももに目が良き、僅かに顔が赤くなってしまう。
いやいや、と言った風に首を振り、真面目な顔へ変えて彼女の言葉に対しての返答を考える。

霧依 > 「月明かりはいろいろなものを照らし出してくれる。
 僕の顔を見てくれれば、きっと死ぬ気が無いことは分かってくれるんじゃないかな。

 あなたの視線がどこに向かって、それをよろしくないと思って逸らしたことも、月はしっかり見ているよ。
 気にしないのに。」
 
 ころころ、と笑って目を細める女。
 からかうようにしながら、口を閉じて相手の言葉を待とう。
 誠実そうな相手の言葉には、興味が無いわけではない。

滝川 浩一 > 彼女の言葉を聞いて、その顔を見据える。
目を細めて笑う妖しい女性。しかしその表情からは悲哀は感じられなかった。
というかこれは目の前の少年…すなわち自分を揶揄ってる顔だ。うん、何人かにこの顔をされたことがある。

「ふぅ…安心しました」

胸を撫で下ろし、心底安心する。
自殺する人間を説得するなんて重荷は自分には背負いきれない。
その状況から脱すると次の彼女の言葉にカアッと顔を赤くする。

「ああああ!いや、これは~その、あまり凝視するのも如何な物かと思いまして、いや!貴女のお脚に魅力を感じないという訳じゃなくてですね!いや、むしろ好物ですけど…」

彼女の続く言葉に目を回しながらそう返す。

霧依 > 「安心するには、まだ早い。
 だって僕は、まだ生きなきゃいけない理由を聞いていないんだもの。
 
 今はまだ大丈夫でも、ここから先、いろんなことに絶望する未来が待っているかもしれない。
 それくらいは、この島は平気で鼻先に突き付けてくる場所だとも、分かっているからね。
 
 だから、他の人の意見も聞きたいな。
 ここから先、何があってもがんばって生きていく、理由?」
 
 首をちょん、とかしげて、囁くような言の葉がさらさらと流れ落ち、相手の耳まで届かせる。
 浮雲のような彼女からは、強い意志は感じられない。
 どうしても聞きたい、という意志も。ここから飛び降りてやるという意志も。
 絶対に死ぬものかという意志も。
 
「素直に言っちゃって。
 こんな夜でそんなことを言って、誘っているのかな。
 だあれも、見ていないんだよ。」
 
 ころころと、笑う。

滝川 浩一 > 「生きていく理由ですか。何とも難しい質問ですね…」

目の前の女性の言葉を聞き、顎に手を添え考え込む。
彼女から何も強い意志を感じられないのが気になったが、ともかく、問いを投げられたのであれば返さなければならない。
しばらく考えたあと、顎から手を離し口を開く。

「上手く言い表せませんけど…俺の生きる理由は後悔のない人生を過ごすためです。

 普通に学園に通って、普通に卒業して、普通に仕事に就いて…タイミングがあれば結婚して、子供を作って…
 はたまた学園生活で大事件に巻き込まれて、一生消えない傷を負ったり、復讐を誓ったり…
 仇との決戦で勝ってハッピーエンドで終わったり、それか負けてバッドエンドで終わったり…
 
 終わりはなんでもいいんです。ハッピーエンドでもバッドエンドでも。
 ただ、その経過。そこに至るまでに悔いがあったかどうか。全力で目の前のことに取り組んだかどうか。
 
 俺はその経過でぶつかった出来事に対し、悔いを残さずに全力で物事に挑みたいんです。
 そして人生の最後には後悔が無かったと、悔いは残ってないと笑いながら死にたいんです。

 後悔のない人生を送る。これが俺の生きる理由です。…って答えになりませんか?」

彼女を真っすぐ見て、そのように告げる。
その瞳の奥には希望が煌めいていた。

「いや、その…誰も見てないと言ってもですね。
 人間としての尊厳とか色々が…うぅん」

そして、その直後。余り慣れない彼女の雰囲気に顔を赤くしてそう唸る。
こっちの面では完全に彼女のペースに引き込まれており、どう切り返すか考える。

霧依 > 「悪くはない、と思うよ。
 真実ではあると思うし、それは目標にもなり得る。

 道標として足元を見つめる時にも。
 目指すべき地平線を眺める時にも。
 どちらにだって意識できると思うよ。

 何より、この僕が今まで後悔しないように生きてきたつもりだから。」

 静かに話を聞いて、目を細めて。
 ああ、きっと真面目なのだろうな、と詳しく生い立ちを聞かずともわかる。


「……ただ、飛び降りる人に『生きる価値』を聞かせることを目的とするなら、どうかな。
 きっと、後悔をもう抱えてしまった人には、悲しみを与えてしまうかもしれない。

 まっすぐな生き方は、とっても眩しいものだからね。」


 囁くような言葉を漏らす時に、月は雲に隠れて、女の姿は影に隠れる。
 すぐに、また明るくなるけれど。


「あはは、正しい答えだと思うよ。

 誰も見ていないから何をしてもいい、じゃあ、それはケダモノというのさ。
 僕は、どっちも好きだけどね。」

 笑う。悪戯な笑みと共に己の唇をぺろ、と舌で舐め、月明かりが僅かに反射する。

滝川 浩一 > 「ま、まぁ…全力で突っ走って周りに迷惑と心配をかけてますが…」

頬を掻き、少し照れたようにそう返す。
少なくとも自分の回答が彼女の求めている答えに掠る部分があるようだったので安心した。

「そ、それは……」

しかし、次の彼女の言葉に表情を曇らせ押し黙る。
その言葉は最もであり、いわば正論であった為に返す言葉が見つからなかった。
拳を強く握り、下を俯く。

「っ…!
 お、俺は誰彼構わず襲うほど飢えてません!!
 第一、名前をすら知らないじゃないですか!」

彼女の言葉に顔を真っ赤にさせてそう返す。舌なめずりをする彼女の仕草にドキッとする。
それを誤魔化すように拳を握り、腕を上下にぶんぶん振る。

霧依 > 「そういうものさ。学生というのは。
 むしろ、それすらしなくなって、ただただ日々を消費するようになってしまったら、学生としてはもう失格さ。

 ……なあに、こんな場所で手すりに腰を掛けてしゃべっている女の言葉に、そうそう惑わされるものじゃない。」


 ころころと笑って、眼を伏せる。
 これ以上、深く深く突っ込んで困らせるつもりはないらしい。


「僕の名前は霧依って言うんだ。
 いわゆる、人間という枠内で言うなら、もっとも物の怪に近い種の人間だから。

 ……取って食うと、言うじゃない。」

 微笑みながら、自己紹介。

滝川 浩一 > 「ははは、そう言ってくれると安心しますよ。
 
 すいません、如何せんこういう駆け引きは苦手な物でして…」

ただただ日々を消費する人間。
昔の自分だ。才能もあるわけでもなければ努力もしない。
生きているのか死んでいるのかわからなかった自分のことだ。

それに比べれば今の自分はマシだと再確認する。

「霧依さん…
 自分は滝川 浩一。人間という枠内で言えば日本人です。一応異能持ちですけど。

 っ!初対面の女性にそんなことしませんよ!」

こちらも自己紹介をする。その後顔を赤くしてその様に返す。

「も、もう…何でもいいですけど、気を付けてくださいよ」

手すりに腰掛けている彼女の横に来て、落ちないようそう言葉を掛ける。
こちらは手すりを掴んで夜景を楽しむ。

霧依 > 「僕は駆け引きをしているつもりは無いよ?
 思ったままのことをしているだけさ。

 後悔しないようにね。」

ころころと笑って、眼を持ち上げて空を見上げ。
静かな夜だね、と笑う。

「じゃあ、二回目はどんなことをされるのか。
 ちょっと楽しみにしておこうかな。」

夜景を楽しみながら、相手をからかうことは忘れない。
穏やかな夜は静かに更けて。

月は穏やかに見守っている。暗く陰ることは無く。

滝川 浩一 > 「…頑張ります」

苦笑いして、後悔のない人生とやらを目指す。
自分で言っといて、なんとも自分向きでない人生だ。
静かな夜だね、という言葉に小さく、はい と答える。

「も、もう…!」

最後まで揶揄われて顔をわずかに赤くしてそう返す。
その後、夜風を浴びて気持ちが落ち着き、揶揄われた時の恥ずかしさも消えてしまった。

「…おっと、すいません。自分はここらへんで…」

月を見上げているとふと時間が気になりスマートフォンを取り出す。
スマートフォンの時計を見ると階段の方へと歩いてゆく。
結局自分の当初の目標を達成できなかったが不思議な出会いとためになる話を出来た。

月明りが優しく街を照らす夜、不思議な女性と出会ったことに少し喜びを感じた少年であった。

ご案内:「大時計塔」から滝川 浩一さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から霧依さんが去りました。