2016/11/05 のログ
ご案内:「大時計塔」にヒカサ=カノさんが現れました。
ヒカサ=カノ > 真夜中の時計塔は、静まり返った島を穏やかに見守っている。
―——はずであった。
刹那に響いた轟音と共に、時計塔に一つの人影が空に"落ちていく"。

ヒカサ=カノ > 「ひゃー・・・まさか来れちゃうとはねー・・・」
傘を持った乙女はその屋根の上、一つ呟き佇んでいた。
傘は先を持つようにして、傘は光を纏い、それはまさしくハンマーの様に。


屋根から真下を見下ろすと、遠くに地面をハンマーで叩きつけたような後がくっきりと。
地面を鎚で撃ち出して、彼女は屋根に飛んだのであった。
騒音の犯人はまさしく彼女。
試し撃ち――の結果がこれである。

ヒカサ=カノ > 「まぁ、上手く行ったからいいんじゃない、うん」
前向きな思考に切り替える。
誰か来たら危ないかもなぁ――、と一抹を残して。

島の一番天辺かもしれないところだしと、屋根の天辺で腰かける。
そして空と、海と、街を眺めていた。

ヒカサ=カノ > なにか変化が起こるたび、時計塔に来ていたような。
前はそういや"これ"で登ってきたっけ。

傘の柄を持ち振ってみる。
傘の先から光は伸びて、屋根の支柱に絡みつく。

「—―階段使った方がいいかなぁ」
傘の少女は苦笑い。

ご案内:「大時計塔」に斉藤遊馬さんが現れました。
斉藤遊馬 > ばたばたばたばた、とも、だばだばだばだば、とも取れるような音。
屋上に続く階段から響く。
それは徐々に徐々に近づいてきて、最終的に。
「誰だこの深夜に!!!!不法侵入!!!!深夜に!!!!眠いのに!!!!」
怒鳴り声と同時に、金属が力強く叩かれる音。
屋上と階段を隔てるドアが蹴り破られるように開けば、風紀委員が一人。
「何時だと思ってんだテメー!!!!俺が駆けつけ当直の日に!!!!もっと静かにやれ!!!!」
おでこに貼り付けた冷えピタをむしり取れば、屋上の床にぺしーん!と投げつけて叫んだ。
それから月明かりの中、目を凝らして、其処に立つ人影の顔を見て。
「あっ!メリー・ポピンズもどき!」

ヒカサ=カノ > 考え事に現を抜かして、階段の音は聞こえなかったか。
突然のドアに振り向いて、
雪崩れる怒号に目を丸く、そして右から左へ受け流す。

「あっちゃー…お仕事お疲れさまです」
風紀委員の顔を見て、頭を書いてバツの悪い顔をする。
そしてゴメンと手を前に。

「もうハロウィンは終わったんだけどなぁ・・・えっと、トリックオワトリート?」
苦笑いしながら、茶化すように、メリー・ポピンズもどきは目の前の風紀に問いかけた。

支柱に絡んだままの傘の光。逃げる準備は万端だ。

斉藤遊馬 > 屋上までノンストップで駆け上がってきたのだろう。
頬に流れる汗を手の甲で拭って。
投げつけた冷えピタを、床にしゃがみこんで拾い上げながら。
「絶賛疲れさせてるのは貴女なのでは?
 時計塔でなにかあると下から上まで駆け上がる羽目になるので罰ゲームなんですが?」
ぺたぺたした面を内側に折ってから、ポケットにしまいしまい。
「じゃあちょっとこの俺のポケットの中に入ってるフリスクあげるから、任意同行してもらえますね???」
相手が既に逃亡準備完了しているのは、見るからに解っていた。
一気に近寄れば拮抗が崩れると判断したか、
ジリジリと距離を詰めるように摺足で動くさまは若干気持ち悪い。

ヒカサ=カノ > 「ごめんごめんって、とべば一発だったからさぁ・・・」
つい、ね。と傘の利き手と反対側を、もう一回そちらに向ける。

「眠いときにはピッタリよね、ありがとう。じゃあお返しにこれを――」
フリスクを渡す風紀に傘の鞭はすんなりとほどく。
「喉かわいたしょ?」と一言加え、水が入ったボトル、利き手で下から投げ渡す。

それは風紀の顔面めがけて、ふわりと放物線を描き飛んでいく――

斉藤遊馬 > 「なるほど一発で下から上へ。そして俺はそのためにここまでダッシュ……あれ?
 お前が楽した代わりに俺が下からここまで駆け上がってる…?
 俺の口座宛に時給のお振込が発生する事案…?」
そうでも考えなければやっていられない様子であった。
そうこうするうちに、漸く荒くなっていた息も静かになり、
高所の風に、身体に篭った熱も払われて。
「そりゃ乾いたけど、っと」
顔めがけて投げられたペットボトル。
咄嗟のそれを、顔の前でキャッチしようとして。
「あいたぁ―――」
月明かりの下、距離感を間違えたか。べこん、と音を立てて額に直撃した。

ヒカサ=カノ > ボトルの行方を見守って、あらら、と小さく声を漏らす。
「最近一気に冷え込んだからね、手元も狂っちゃうわけ」
といいわけっぽく言ってみる。

「その・・・お勤めお疲れさまです」
階段はゴメンだなと、目の前の辛苦な顔を見て、気の毒そうな顔をして
「また、降りなきゃいけないけど、頑張ってね」
とだけ余計な一言を付け加えた。

斉藤遊馬 > ぐるん、ぐるん、とその場で上半身が時計回りに二周ほどふらついて。
「……故意では?ていうか寒いのに何故こんな高くて寒いところに?マゾ?」
言い訳を全く信用していない。
転がっていった水のボトルを拾い上げれば一気に飲み干して。
ポケットから取り出したフリスクを差し出しながら、じりじりと再度近づいていく。
「他人事みたいに言ってるけどお前も一緒に降りるんだよ……さぁ観念してその傘をこっちに預けろ……
 お前は完全に包囲されている……」
特にされていない。風の音だけが響く。
「お前には弁護部を呼ぶ権利がある……権利はあるけどあいつらめんどくさいから呼ばないでほしいな……」

ヒカサ=カノ > 「傘は渡すわけにはいかないの!、第一包囲されてないし!」
傘を手放すことに過敏になったか、声を荒げながら否定とツッコミ。

「そんなことするなら実力行使よ!なんでここに来たって、"これ"の為だし!」
と、ハンマーの形に光を帯びた、傘を高く振り上げる。
狙ったところは彼を外しながら。
威嚇なのか、それとも違う狙いか。
しかしそれでもけっこう危ない場所かもしれない。

斉藤遊馬 > 「いやされてるよ包囲…あっちの方に三年の先輩住んでるし…逆側に同期いるし…
 お前の後ろの方とか3km先に五人くらいルームシェアしてるから…大局的包囲…」
がっばがば極まりない包囲っぷりだった。ガードレールの方がまだ頼りになるレベル。
「えっ、突然の物理的テロ???不法侵入の厳重注意で終わるものを???時計塔破壊???」
目前に突然訪れた脅威に対し、一瞬呆けていたものの。
「あっこれやばいやつ」
巨大な光塊が振り下ろされようとすれば、その効果もわからない状態であれば、
相手から距離を取るように。一旦飛び退った。

ヒカサ=カノ > 「それ包囲もなにもないからぁ!」
振り上げたそれの姿勢のままに、精一杯のツッコミを返す。

「あと、残念でした!逃げるためよ!あとお試しにもう一回!許して!」
飛び退く前の寸でのところに振り下ろしながら、力いっぱいに掛ける声。

時計塔めがけて叩きつけたそれは、寝静まった夜を再び轟かせ、彼女を遠くに飛び立たせる。
「じゃーねー風紀委員、またどこかであ・・・いたくもないかなぁ」
飛び立ち際の言葉は、途中で届かなくなっていただろう。

時計塔から射出されたやけに低い箒星は、3kmを軽くあしらうように伸びて行き、さっきまで彼女がいたところには、ハンマーのような跡を残しただけとなっただろう。

ご案内:「大時計塔」からヒカサ=カノさんが去りました。
斉藤遊馬 > 「包囲否定するのやめてくれないか!俺がこんな夜に一人で働いてるのが寂しくなるだろ!」
心持ちは大事な問題であった。ぐっと手を握りしめて力説するその目に涙は決して浮いていない。
「許すか馬鹿!!そのせいで俺がここにダッシュで昇って―――……」
ごぉん、と。鐘のような音が響くと同時、時計塔が揺れた。
脳の芯を揺さぶられるような轟音に、顔をしかめて足元がふらつく。
「お、前――――!」
勢い良く射出された相手、飛んで行くのを見送る形。
少年は手の中、空のペットボトルをぐしゃり、と握りつぶして。
「あの野郎……被害増やしていきやがって……」
そして俺はここからまた降りるのか、と。少年は肩を落とした。

ご案内:「大時計塔」から斉藤遊馬さんが去りました。