2017/09/27 のログ
ご案内:「大時計塔」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > (―――!?)
こちらの挨拶と問い掛けに、勢いよく顔を上げた女性の顔。その凶相に一瞬息を呑んだ。
だが、相手が顔を慌てて背ければ、まるで金縛りから解かれたような感覚を覚えて。
…完全に、今の一瞬だけだが気圧されていたらしい。不意打ちに近かったのもあるが。
「…そう、ですか。ここは階段も長くて急ですし帰る時は足元に気をつけたほうが…あ、俺が拾いますよ」
彼女がしゃがみ込んで手探りを始めれば、夜目が利く少年は迷い無く眼鏡が落ちた場所へと歩いていく。
そのまま拾い上げれば、眼鏡のレンズやフレームに罅割れや傷が付いていないのを確認しつつ笑顔で手渡そうと。
■鈴ヶ森 綾 > いけない、危うく反射的に仕掛けるところだった
学園の敷地内で面倒事を起こすのは避けなくてはならない
まして、相手の制服、それがこの島の実質的な警察機構と言える風紀委員のものとなれば…
「あ、申し訳ありません。助かります」
落ちた眼鏡が拾われた気配を感じて立ち上がると、改めて相手の方へ向き直る
その表情は、先程の鬼気迫るものとは打って変わり柔らかな微笑みをたたえており、さながら別人のそれ
差し出された眼鏡に対し、両手で殊更相手の手に触れるようにして受け取ると
自分でも軽く傷を確認してから眼鏡を掛け直し、再度にっこりと微笑みかけて
「私、一年の鈴ヶ森綾と申します。貴方のお名前を伺っても、構いませんか?」
■飛鷹与一 > (今の…気のせい、か?いや、でも――)
殺気とは違う。だが禍々しい――例えるなら、即座に食い殺されかねないモノを感じた。
だが、それに確信が持てる程ではないので、一先ずの疑念は胸の奥に仕舞い込み。
眼鏡を手渡す際、改めて見た少女の顔立ちは柔和な微笑のそれ。
…とても、先程の鬼気迫る表情を浮かべていた人物には見えない。矢張り気のせいだろうか?
それでも、何か心に引っ掛かるモノを感じつつも眼鏡を手渡せば手を引っ込め…る前に両手で触れられた。
一瞬ドキッとするが、特に何事もなければ努めて平静を装っておこう。こういうのは誤魔化しておきたい。
「あ、ハイ。俺は2年生の飛鷹与一といいます。見ての通り、一応は風紀委員会に所属してます」
とはいえ、今はもう仕事終わりなので堅苦しい雰囲気も何も無いのだが。
鈴ヶ森綾――相手の名前を覚えるように、一度心の中で反復しつつ。
「えーと、目眩の方はもう大丈夫……みたいですね」
■鈴ヶ森 綾 > 「2年の飛鷹さん、ですね。あぁ、その制服。見覚えがあると思ったんですけど、風紀委員会の方だったんですね。私、夏休みの少し前に編入したきたもので、まだその辺りの事に疎くて……何か?」
小さく首を傾け、何か、と問う
その問が向く先は、相手の感じた凶兆に対する緊張についてか、はたまたボディタッチに対する動揺かは定かではないが
「はい。子供の頃から貧血気味で…慣れてますから。…そういえば、飛鷹さんはもしかして、見回りでこちらへ?」
ここが立入禁止である事は重々承知
咎められるだろうか、相手の表情を窺うように覗き込んで
■飛鷹与一 > 「夏休み前、となると2,3ヶ月前くらいですか…成る程。この島や学園には少しは慣れましたか?」
と、世間話を続けながら思うのは、ボディタッチも少々あるが矢張り先程の凶相だ。
今の、特に眼鏡を掛けた状態の彼女は矢張り先程のあの表情を浮かべた者とは思えない。
だが、それでも――何かがどうしても引っ掛かる。それが拭えない。
「貧血…でも、慣れていても地味に不便では?…あ、いえ俺は一種の気分転換です。
仕事は先程終わりましたんで、そのままこちらに…まぁ、生徒は基本立ち入り禁止なんですけどね。
今はもう、俺はオフの時間なんで鈴ヶ森さんにとやかくは言いません。
それに、本来注意するべき立場の人間がここにこうして足を踏み入れてる訳ですし」
と、肩をすくめながら笑って。実際、仕事終わりの気分転換に来たのは嘘ではなく。
ご案内:「大時計塔」に飛鷹与一さんが現れました。
■鈴ヶ森 綾 > 「ええ、そのくらいになります。概ね楽しくやっています。一人暮らしなので色々苦労も多いですし、何より学ぶことが多くて大変ですけど」
勉学など、興味の欠片も持たない女が、そう小さく笑って嘯く
「…心構えはしているので、ある程度の事でしたら。……風紀の方々って、皆さんもっと厳格で規則厳守がモットーなのかと思っていたんですが、意外とそうでもないんですね。実は内心、怒られるんじゃないかとドキドキしてました」
彼は予想外に公私をきっちり分けているらしい
その冗談に小さく笑いながら金属柵から身体を離す
はずみでキィ、と小さく軋む音が鳴った
そのままひょいと軽いステップで彼の隣に並ぶと、その耳元に顔を近づけて
「今度会うときは別の場所で、もっと別の事でドキドキしましょう?」
耳を擽るような囁き
言い終えてそれが冗談であるように女は笑う
そうして隣に並んだ時と同じような軽い足取りで階下への出入り口へと向かうと、
さいごにひらりと手を振って早々と姿を消してしまう
■飛鷹与一 > 「ああ、独り暮らしは自炊とか家事全般を自分でしなくてはいけませんからね。自己管理が大変です」
と、こちらも小さく笑いつつ、やっぱり彼女への言葉に出来ない違和感が拭えないままで。
「…うん、もし俺が鈴ヶ森さんが貧血の症状でダウンしてるのを見掛けたら直ぐにお助けします。
…いえ、まぁ「仕事」と割り切ってる部分もありますからね。勿論その間はきっちりやりますけど。
ただ、オフの時間はそういうのを忘れたいというか、えぇまぁ。…と、いうか別にこれくらいで俺は怒りませんって」
甘いのか心が広いのか、さて我ながらどっちなんだろうなぁ、と思って心の中で苦笑を浮かべ。
キィ、と彼女が身体を離した弾みで金属の柵が軋む。その音にフと気付けば…。
「……はいぃ!?」
軽いステップで何時の間にか隣に並んだ少女が耳元に顔を近づけて囁く。その内容に素っ頓狂な声が漏れてしまった。
とはいえ、言い終えた少女の笑みにあぁ、冗談なのか…と、ホッとしたような少し無念なような。
ともあれ、軽い足取りの少女に貧血は大丈夫そうだなぁ、と思いつつ。こちらは手を振る代わりに会釈で見送ろう。
ご案内:「大時計塔」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。
■飛鷹与一 > 少女の姿が見えなくなり、階段を下る音も聞こえなくなってから…フ、と溜息を漏らした。
「……うーん、もうちょっと女性のああいう悪戯に免疫付けないと駄目かなぁ。
…けど、鈴ヶ森さん―――あの人、只者じゃないよ、なぁ」
結局、先程の少女への違和感は今も拭えずに続いたままだ。
具体的に何か明確な根拠があるか、と言われたら口を噤むしかないが…。
「…何だろう、”食べられそうな”くらいにヤバい感じがした気がするんだけど」
考えても分からない。ああいう感覚を味わったのは多分初めてかもしれない。
ご案内:「大時計塔」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「…ん、俺も帰ろう。…寝る前にエスニック料理の本を読まないと」
呟いて笑う。とある師匠に料理を振舞う計画?は少しずつ進行中だ。
とはいえ、本を読みながら寝てしまう可能性も高いのは否めないが。
(…まぁ、鈴ヶ森さんが例え只者じゃないとしても、それはそれ…だよな)
”清濁を併せ持った目を持つ”…そう、本土の方の師匠から教えられた。
だから、単純な表裏、善悪、そういうので判断はしないように努めたいもので。
ゆっくりとした足取りで踵を返し、少年も階段を降りて時計塔から去っていく。
ご案内:「大時計塔」に飛鷹与一さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」から飛鷹与一さんが去りました。