2018/03/13 のログ
ご案内:「大時計塔」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 本日の授業と補講を全て終え、時刻は日没の少し後。やってきたのは時計塔の頂上部。
外縁を柵に囲まれた吹きさらし部分、そこに吹き付ける風にもう冬の厳しさを感じることはない。
寒さに震えるような日はもう数える程もなく、時には初夏と思えるような陽気の日もある。
冬の間はあまり近づかなかったこの場所も、またいい気晴らしの場所になってくれそうだ。

珍しく勤勉さを発揮させた結果、どうやら進級も問題ないらしい。
自分の心は晴々としているのだが、それに反して学内の空気はどこか物悲しいものが漂っている。
さもありなん、もう後10日もすれば卒業式が執り行われるのだ。

「卒業、ね…。」

そう言えばと、今までに何度か経験してきた学生としての自分を振り返る。
卒業式で誰かを見送る事はあったが、見送られるという事はなかった。
多くの場合、2年もすればどこか他所の土地に移ってきたせいだ。

鈴ヶ森 綾 > 「さて、ここには後どれぐらい居る事になるかしらね…。」

最初は傷さえ癒えればすぐにでも出ていくつもりでいたが、今は僅かばかりだがここに残りたい理由もある。
少なくともその理由がなくなるまでは、このでたらめな島での日常を過ごす事になるだろうか。

外周の柵の近づき、遠く広がる街並みを見やる。
学生街、歓楽街、異邦人街、そしてその先の落第街。
特異なこの島の中のその最たる場所をじっと凝視する。

鈴ヶ森 綾 > 「あちらも、暫く行ってなかったわね。」

日没後の世界は瞬く間に夜の色が濃くなっていく。
自分が見ている街並みも、薄暮のそれから宵闇のものに変わっていく。
闇に浮かぶ街明かりは、自分を誘っているように見えた。

「…ふっ。でも、また今度ね。」

自嘲めいた笑みを口元に浮かべ、街並みから視線を外す。
脳裏によぎったのは、薄暗い路地裏での秘め事よりも明日の事。
そのための準備は今日の内に済まさなくてはならないのだ。

鈴ヶ森 綾 > 「ひとまずは…買い物かしらね。」

準備の前段階として、まずは必要な物を買い揃えなくては。
買うべきものは頭に入っているから良いとして、売り切れにでもなっていたら事だ。
気分転換をそこで切り上げ、いい加減店に向かう事を決めた。

そうしてどことなく楽しげな様子で階段へと向かい、時計塔を後にした。

ご案内:「大時計塔」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。