2018/08/14 のログ
■江風 白 > 「んっ.....」
ドアを開ければ、吹き付ける風に驚き、そんな情けない声を出してしまう。
閉じた目を開き、そのまま街が一望できる場所まで歩いていく。
「すっごいきれい...。」
見たこともない絶景に思わず声を漏らす。
柵に身を乗り出し、広大な土地を見渡せば、まるで子供のような笑みを浮かべ。
こんな夜に来る場所ではないと思っていたが、想像は裏切られた。最高だ。
■江風 白 > 「あれがあそこで...あそこが...」
自分の脳内の地図と照らし合わせながら場所を確認していく。
いままで小さな部屋でしか過ごしたことがなかった自分にとって、この景色はとても新鮮で、羨ましいものだった。
「世界って広いんだなぁ...。」
ポツリとそう呟く。
そのまま風に吹かれながらじっとこの空気に浸っていた。
■江風 白 > 「そろそろいい時間か...」
目を擦りながらそのまま踵を返し去っていく。
この景色、また見に来ようと。
ご案内:「大時計塔」から江風 白さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にアリスさんが現れました。
■アリス >
私、アリス・アンダーソン。
常世学園の一年生!
好きな食べ物はフルーツタルト、嫌いな人は悪意を隠さないタイプ。
私は、今、常世学園の空にいます。
時速200kmで落下してます。
「うっああああああああああぁ!!」
全くカワイクない声を上げながら落下する。
ついさっきまで学生通りにいたのに!!
ここで説明させてもらいましょう。
時空神隠し、という言葉をご存知だろうか。
世界でテレポート系能力、時間停止能力、とにかく何者かが異能で世界法則に干渉した際に
その反動で世界のどこかに天然モノの転移ゲートができるという理論。
古くはカーネギーメロン大学のガルード・モラヴェック教授が提唱したもので……
ああ? 興味がない? それは失礼。
とにかく、私は下校中に真っ黒い何かを見つけて近づいたら、気がついたら高度数千メートルの常世島上空だったわけで。
間違いなく、時空神隠しだろうなとは思ったけど、対応策は今のところない。
現在、高度4000メートル。
ご案内:「大時計塔」に白鈴秋さんが現れました。
■白鈴秋 > 来た目的を言うならば暇つぶしだろうか。
特に来た意味などない、ただ前にここに来た時とても景色が綺麗だったからもう一度来たくなったただそれだけの話。
「ホント、ここ景色は良いよな」
缶コーヒーを片手に眺める。丁度下校時間、夜に近い夕暮れにここから見る景色は夜に見るのとはまた違った感覚がある。
夜は綺麗だとかそんな感じだった。だが今の時間のこの場所は少し悲しげだとか不思議な感じだとか……そんな感じだ。
一口、缶コーヒーを飲み一息吐く。と上から声。
「あん?」
上を見る、ありえない事……とはこの島の場合言い切れないが少女が凄い速度で落ちてきている。表情と声からわざと落ちているという訳ではないはず、ということはこのまま見過ごせば確実に地面に激突し見たくも無い花が咲く。
缶コーヒーを地面に置き声を出す。
「少し待ってろ。今網を張る」
腕を振り上げ糸を飛ばす。時計塔に絡まりながらそれはシュルシュルと伸びて行く。
作り出すのは非常に柔軟性の高い糸。切り裂く目的ではなく受け止めるための糸で網を空中に張る。
ついでに痛みを抑える為に魔具で毒……というより薬を流す。持たせる効果は痛みを抑える効果。仮にも落下するのだから多少は出てくる痛みを止める為。勿論生死に影響などあるわけが無い。落ちる一瞬で薬の効果は消える。そしてもう一つは淡い紫に染まりそこに受け止めるための何かがあると相手に知らせるためだ。
■アリス >
まずい、とにかくまずい!!
今のスピードで私の体重のものが落下したらええと…Fは5000kgfくらい?
真っ赤なトマトになることは確実!!
「鳥やッ! 猛禽のように!! 強靭な翼をぉぉぉぉぉ!!!」
両手を広げて、鷲の如き勇猛なる翼を異能で生成する。
「空論の獣(ジャバウォック)ッ!!」
眼下にちっぽけな島を眺めながら、両手の羽根を広げる。
物質生成能力で作り出したイカロスの翼は。
「うわああああああ!?」
空気抵抗を半端に受けて錐揉み回転しながら落ちていくようになっただけで
全く何の役にも立たなかった。
ですよねー。
もう少し冷静になれ、私。
特撮に出てくる鳥怪人のような翼を大気成分へと分解する。
こんなギャグみたいなものでも落下して人に当たったら大変だから。
その時、遥か眼下に蜘蛛の巣のようなものが見えた。
淡い紫に染まっていく。
とにかく、なんか柔らかそうだしあそこに行こう!!
「ジャバ………ウォックッ!!」
イメージするのが空気抵抗であることに変わりはない。
作り出したのは、パラシュート。しかし構造がわからないので簡易な……
コントロールレバーなんてない! 仕組みがわからない!!
しかし風に影響を受けてフラフラと、そして運よく大時計塔に近づいていく。
■白鈴秋 > 「……羽生えるなら助ける必要ねぇのか?」
空中で羽を生やした少女。問題ないと思った矢先……意味を成さず錐揉み回転を始めた。
「そう上手くはいかねぇか」
呟き糸をさらに飛ばす。目的はさらに大きく。
時計塔に絡みつき、網は更に大きくなろうとする。
「もう少し糸を大きく張って置くべき……あ?」
糸を増やしさらに大きくしているとフラフラと寄ってくる。このままなら問題ないかもしれない……が念には念をだ。
さらに大きく、そして2重に糸を張りさらに衝撃に備える。
「……落ちる位置的にこれで大丈夫……だとは思うが」
風で不規則に動く相手。一応糸で無理矢理引き寄せる用意もしておきながらその様子を見守る。
無事に網に落ちてくれれば良いのだが……
■アリス >
「ああああ…!」
網が大きくなっていく。
向こう側に助ける意図があるのは明白。
つまりあそこに落ちれば助かる。のに。
「あ お、落ち……」
ビル群が横に見えると、玩具みたいだったスケールが途端に現実味を帯びてくる。
さらにいうと異能で補強を重ねてきたけど自分とパラシュートを繋ぐ金具に強度的限界が来たらしい。
安寧を前に途端に背中の金属がビシビシと音を立てて崩壊を始めながら。
蜘蛛の巣の中心まであと少し、あとわずか。
……あとわずかズレてる。
カッと目を見開いた。
五点着地法ッ!
それは!!
体を捻りながら着地することでなんか衝撃が分割されてダメージゼロになる!!
なんか、あの……
漫画で見た。再現が難しそうなやつ。
だめだ、脳が完全に現実逃避をしている。網まで届かない。
■白鈴秋 > 「……後少し、か」
相手を見る、もう少し届かない。
息を一息吐く。別に機嫌が悪いだとかそういう意味ではない、糸を使い引き寄せるのは出来ればしたくは無かった。
用意できるのはあくまで糸、別に太いわけではない。故に相手の速度と合わせると最悪腕を切り裂く可能性もある。だから使いたくなかったのだが。四の五の言っていられる状況でもない。
網を張っている片手と反対の腕で糸を作り出す。出せる限界までを束ね極限まで太くした糸
「少し痛いが許せよ」
もう距離はかなり近い。だから届くはずだ。
魔術を展開する、空間認識。周囲の状況を把握する魔術、それで大体の速度とこれからの軌道を把握する。
「届け!」
糸を相手の少し下、その予測を利用した位置―即ち落ちている相手にとっては丁度の位置―へと放つ。
腕に絡みつけ網へと引き寄せるための糸……否、少し細めの縄と化したそれを放った。なぜ何故直接引き寄せないのか……簡単だ。
いくらなんでもあの状態で無理矢理引き寄せれば相手の肩が外れるか骨が折れる可能性がある。それを避けるには空中にいるうちに軌道修正を図るしかない。
それに、そんな事無く引き寄せられても自分に受け止めるだけの力はない。片手は網、もう片手は縄だ、受け止める糸を出す余裕は無い。つまり二人そろって時計塔にぶつかって星が飛ぶ。
太く束ねたその糸は届くのだろうか。そして機動を直せるのだろうか。
■アリス >
「!?」
縄のようなものが体に絡みつく。
そして軌道が修正され、あっという間に網に。
網に。
「っああああああああぁ!!」
落ちていく。
恐怖が全身を支配した。
目を瞑りながら、衝撃に備える。
「天にまします我らの父よ!」
そう叫んで、祈る。
人事は尽くしたし、尽くしてもらった。
だから後は神様の領分。
「ねがわくは御名をあがめさせたまえ御国を来たらせたまえ御心の天になるごとく、 地にもなさせたまえ」
早口で呟きながら、網の中へ。
「我らの罪をも、赦したま……へぶっ!」
顔から網に突っ込む。
不思議と痛みは和らいでいた。
何故だろう、衝撃はこんなに強いのに。
体を起こして、縄で引いてくれた少年に手を振る。
無事だ、ととりあえず伝えるために。
■白鈴秋 > 「出来んなら神より俺に祈って欲しいところなんだがな」
焦る表情でそんな事を言う。だがしっかりとその腕を、体を掴み取った。後は軌道を直すだけ、少し引けばそれは叶った。相手が軽くて助かったというべきか。
「後は、俺が強度を間違えてなけりゃ良いんだが」
落下を見守るしかない、もし強度を間違えていればサイコロステーキの誕生だ。極限まで目を狭くしてあるのでそんな事にはならないと思うが。
そして落下。糸が揺れる……その後の相手の様子を見て……安堵したように息を吐き出した。
「ビビらせやがって……怪我してねぇか」
そう声をかける。とかけてから思い出し。
「ああ、悪い。戻すの先だな」
そのまま糸を操作、ゆっくりと陸地、時計塔へと網ごと引き寄せ、縄は消し去った。
■アリス >
時計塔からゆっくりと手繰り寄せられた。
どうなっているのかはわからない。
そういう異能だということしか。
「怪我はしてな……」
そこまで喋って鼻血が出ているのに気付いて。
「……そんなにはしてない」
と、鼻を手で押さえながら陸地に両足をつけた。
生きている! 呼吸が苦しくない! 脚が地面につく!!
な、なんて幸せ。
人は今すぐ足元に地面があることの幸福を噛み締めるべき。
「助かったわ、時空神隠しにあって死ぬところだったの」
鼻を右手で押さえたまま、左手でバラバラになりかけのパラシュートを無害な気体に分解した。
「本当、運が良かったわ。地中や壁の中じゃなくて……」
自嘲気味に話す。テレポーターの基本、人が存在できない空間に飛ばされたら即死の法則。
そして落ち着いた頃に少年の顔を見て。
「……もしかして、怒ってる?」
そういう風に見えたので、聞いてみた。