2015/06/17 のログ
ご案内:「委員会街」にテネス・アルキメスさんが現れました。
テネス・アルキメス > 夜更けの委員会街に此の時間と此の場所に相応しくはない幼い少女が一人。
軍服のような暗め上着に黒のスカートにブーツも黒とほぼ黒一色で埋めた足回りで耳にその手のひらにはやや大きく見えるスマートフォンを当てて『報告』を行っていた。

「先日の目標の異能が覚醒しかけた件については余も確認しきれてはおらんよ」

偉そうにどこかどうでもいいことのようにそう喋る幼女は歳相応には思えない。
相手からの返答を聞き、軽く息を吐き捨てると近くのベンチに腰を降ろし足を組む。

「お前たちが何を目指そうと余の知る事ではない。『不干渉』でいる、そういう契約であったであろう?」

嘲笑いながらそう言う。

「……まさかと思うがお前たち――」

言葉に威圧が加わると電話相手は否定したようだ。

「それならばよい。契約は守られている。ならばよい」

そして会話は続く。

「先程、封印兵装が解放された件か。かの男の協力もありバグは撤退、目標は健在で兵装は霊化し所有者の元へと帰ったな」

そして面白そうに、少女らしからぬ笑みを浮かべて続ける。

「お前たちも中々に面白い見世物をするなと関心した。目標を放し飼いし始める時期もそうだが、その周辺にいる人材の良さよな。全て見越しての采配ならば余の臣下に加えてやりたいくらいだ」

ははは、と相手の返答に笑う。

「貴様らとその『上』とやらが何をどう目指そうと勝手だが"人形ならともかく人は"御し難いぞ?」

そう言って通話を切ってポケットにしまうと立ち上がる。

テネス・アルキメス > この少女は、臨時の教育実習生でありながらも授業を行うことなく教室の後で授業を見守る不思議な存在として極最近一部の学年の生徒には有名であった。
テネス・アルキメス。
異世界から来たこの少女には色々と秘密があるが、今はただの教育実習生で商店街にある肉屋「マサカド」の手伝いをする少女のはずである。

「遠条寺菖蒲……まさか、あのような存在がヒトの身で在り得るとは流石に余も驚かせてもらった」

そう一人の少女の名を呟いた。

「確かに、アレならば監視するのも納得しよう。ああ、納得しよう」

そう歓喜の声を漏らして少女は学生街へと続く道へと消えていく。

ご案内:「委員会街」からテネス・アルキメスさんが去りました。
ご案内:「委員会街」に『室長補佐代理』さんが現れました。
『室長補佐代理』 > 公安調査部の一室。
別室に宛がわれたデスクで、男は机一杯に書類を並べていた。
始末書。上申書。報告書。管理記録……枚挙に暇がない。
それらを片手で片付けながら、教科書も広げている。
こっちが済んだらすぐに取り掛からなければならない。
時間的猶予は最早ないのである。

『室長補佐代理』 > 暫くこうして仕事と課題にだけ打ち込んでいた。
何故そうしているのかと言われればそれは恐らく逃避なのだろう。
自分でも薄々感づいてはいる。
それでも、やらねばならないことが目の前にあればそれに手を付け続けることで気は紛れる。
何かから逃げる言い訳が常に準備されていることだけは、この仕事の良い所といえた。

『室長補佐代理』 > 塵埃とインクの匂いが混じり合った狭い部屋の中、ペンの走る音と紙擦れの音だけが響く。
飲むどころか封も切っていない缶コーヒーを文鎮代わりに、書類を開く。
一枚。また一枚。
遅々ながら確実に進む事は、気を紛らわせてくれる。
着実に進んでいるという実感が己を愛撫する。
自覚があるだけに苦笑しか漏れない。
だが、この話の一番の笑いどころは自覚はあると自分に言い訳している自分もまたいるというところだ。

『室長補佐代理』 > 何枚目かの書類を処理して、また一枚捲る。
ただ、一枚ずつゆっくり捲る。
捲る。書く。捲る。書く。
繰り返す。ただそれだけを繰り返す。
それしか今はする事がない。
この狭い執務室はそれを全力で許容してくれる。
今だったら、死ぬほど始末書を量産してくれるクロノスに感謝してもいいのかもしれない。

『室長補佐代理』 > 不意に、電話がなる。
最早レトロに片足を突っ込んだ備え付けのそれの受話器をとって、億劫そうに口を開く。
「俺だ」

『室長補佐代理』 > 暫く、そのまま受話器の向こうから垂れ流される要件を聞く。
大した話ではない。仕事の話だ。
「わかった、それでは、予定通りということで」
手短に伝えられた要件に頷いて、受話器を置く。
今はありがたい話ともいえた。

『室長補佐代理』 > 溜息を一つだけついて、立ち上がり、コートに袖を通す。
幸か不幸か仕事の時間だ。
いずれにせよ頂けるのなら、頂戴しよう。
処理途中の書類の上に未開封の缶コーヒーを栞替わりに置いて、踵を返す。
結局、課題には、手がつかなかった。

ご案内:「委員会街」から『室長補佐代理』さんが去りました。
ご案内:「委員会街」に遠条寺菖蒲さんが現れました。
遠条寺菖蒲 > 退院した朝、早速生徒会からの呼び出しを受けて昨晩の事情を説明。
元ロストサイン“害来腫”ブラッタとの交戦。
謎の緑色の瞳の包帯の男。
話を聞いていた一人が海外の漫画のようだなんて笑っていた。

そして、

「……『オホナオミ』を使ったことは不問」

何も罰も何かを科せられることもなかった。
けれど、

『我々と上は、君が今それを所持したところで今のところ使い所を誤る事はないだろうと判断した』

故に不問だと。
どう言う意味なのかはよく分からない。
生徒会役員の一人として認められているということなのか?どうなのか。

「ちょっと拍子抜けですね……」

てっきり罰せられ生徒会役員としてクビを言い渡されたり、一定の懲罰期間を与えられると思ったのだがそういうものはなく。
不思議な面持ちで生徒会本部のある建物を見上げた。
させられたのはここ十日ほどの行動報告だけに終わった。

遠条寺菖蒲 > 手身近にあったベンチへと歩くと傍に設置された自動販売機を眺める。

「あ、これ……」

以前飲んだ桃の飲料水が売られていて、学生証から電子マネーで支払いをし購入する。

知ってしまう。
ただ、それだけで世界はその本性を遠慮無くぶつけてきた。

「……これで終わって元の生活に」

戻れればどれだけ幸せだろうか、と考えてしまう。

ご案内:「委員会街」にラヴィニアさんが現れました。
遠条寺菖蒲 > 日除けに屋根のついたベンチで手の中の冷たい缶を弄びながら
考える。

これからのこと。
病院で西園寺偲先輩との約束。

風紀委員会の能見さゆりとの接触。
『クロス』?だとかそれに類する名前の存在を可能であれば助ける事。

「……どうしよう」
と缶を見つめた。

ラヴィニア > 「あら」

缶を見る菖蒲へと横合いから声。位置は少し下。
格好は出会った時とは違い制服で、浅く半眼の瞳が上目遣いに見ている。

「ごきげんようお姉さま。
あの後はご挨拶も出来ず申し訳ありませんでした」

何気ない風に会釈する。

遠条寺菖蒲 > 声に反応して顔を上げて周囲を見渡しラヴィニアがいるのを確認した。
当然のことだが、学園の生徒なのだなと制服姿をみて今更ちゃんと認識した。

「ごきげんようラヴィニアさん。……いいのよ」

少しここ数日の間に色々あり過ぎて少女と出会った日の事やその周辺の出来事を思い出すのに菖蒲らしくなく時間がかかった。

「どこかに用事でも?」

少し思考を切り替えようとそう彼女に尋ねた。

ラヴィニア > 菖蒲の、彼女自身が認識するよりはるかに長い静止をラヴィニアは見つめていた。
口自体は、薄く笑っている。

「用事と仰られますと」

問われて、軽く眉根を寄せた。困っているというわけでもないだろうが

「ご挨拶、出来ておりませんでしたし、しばらくお休みされているということでしたから」

菖蒲がそのうち生徒会に来る事を待っていた、というように婉曲に伝え。
しかしそれも実際ではない。
菖蒲が今までどうしていたのか当然知っているし、
病院にはほぼ毎日通っていた。
だが今は、久しぶりに登校した菖蒲にようやく会った、で、あるべきだった。

遠条寺菖蒲 > それもそうかも知れない。
自分は彼女と会った翌日の午後には行方不明で今まで入院していた。

「……えっと、ごめんなさい。少し体調を崩して入院していたの」

少し目が泳ぐ。
別に生徒会の上から口止めされている訳ではないが、後輩であるこの子に態々物騒な事に巻き込まれたなんて教えることもないだろう。

「ラヴィニアさんは変わりなく健康に過ごせていたかしら?」

話題を逸らすように、いつもより僅かに早口でこの少女は嘘がつけないのだろうと誰が見ても勘付くであろう。

ラヴィニア > 知っておりますよ。とは言わず

「それはそれは、ご自愛くださいませ」

言って、問われれば少し顔を傾ける。眉根の八がわずかに大きくなり、
それでも

「わたくしのほうはつつがなく過ごさせて頂いています」

そう、何も無く過ごしていた。
夜の学校で会った呪法の本体を探せるわけでもなく
あるいは害来腫は管轄違いで。
ただ挨拶することさえない見舞いだけを。

「横に失礼してもよろしいでしょうか?」

遠条寺菖蒲 > 「私の方はもう大丈夫よ」

少しだけ陰りが見えるかもしれない顔で。
それはこれから先にあるかも知れない不安に対してか。
しかし、自分はそうであっても目の前の少女は何事もなく健やかに過ごせていたのならそれはよかったと陰りは消えて安堵した顔をする。

「よかった。この時期って気温差や湿度の差が凄いから体調を崩してしまう子が多いと聞くから」

それからやや横にズレて、

「私の横なんかで良ければどうぞ」

笑顔でラヴィニアを迎える。

ラヴィニア > そう簡単な話ではないだろうに、話をそらす意図があるとはいえ自分の体調の方に気を遣う相手がおかしくて、微笑ではなくふふっと笑みを漏らす。

「お姉さまこそ病み上がりでいらっしゃるのにお外に引き止めてもよろしかったですか?」

言いながら、白いストッキングに包まれた脚を折り曲げてベンチに腰をついた。

「さきほど」

そうして不意に話の流れを断ち切る。

「どうしよう、と仰っておられましたけれど」

遠条寺菖蒲 > 「だから大丈夫よ。さっきまで退院したことを生徒会の上の人達に報告して来るくらいにはもう元気だからね」

心配してくれるのが嬉しいのだけれど、後輩に心配をかけるだなんて先輩としてはダメかななんて少し苦笑して困ったように微笑んだ。
実際のところ病気ではないのでそんなに気にすることもない。
自分から漏れた苦笑いは自分の嘘からのものなのか、自分を気遣う後輩の可愛さからなのか、それともその両方か。

「…………」

突然の話題の変更に思考が停止するのを感じた。

「……うん、なにか気になることでもあったかしら?」

努めて平静であろうとする。しかし、この少女にそんな芸達者なことは出来る筈もなく内心で感じている焦りは声から伝わっていきそうだ。

ラヴィニア > ラヴィニアに他人の心が読めるわけではないけれども。
つぶやきの理由は、ある程度は見当が付いている。
“破門(ゲートクラッシャー)”を監視に指定したのは、ラヴィニアが密かに属する第九教室の担任だ。
その、“次開予刻(トゥモローネバーダイ)”光岡緋蜂は現在重体のままではあるものの、
夜の病院での顛末に関しての情報は、生徒会・公安委員会より完全に開示されている。

菖蒲の心に余裕があれば、軽く首を傾げて横手を見るラヴィニアの表情が相手を労るようであることがわかるだろうし、
もっとよく観察できるならば、更にその奥の瞳の光にも気づくだろう。

「いえ?
最初に少し聞こえてしまったものですから。
ご予定が決まらないのでいらっしゃるのかしら、と」

何気ない日常の言葉を。
強張る少女をじいっと見つめたままで。

遠条寺菖蒲 > 少女の真っ直ぐな瞳はどこか自分の心を見透かしているような気がして顔を逸らして缶飲料に口をつける。
鼻から息を漏らし、遠くの空を見る。

予定。予定だ。
本来ならそんな予定なんて考えたくはない。
ロストサインと言うかつて存在した違法部活(イリーガル)に西園寺偲の言葉に最早見てみぬふりなど出来ない『現実』に生きようと考えたこれから。

「そうね、どうなるか分からないし本当にそうした方がいいのか分からない。私は今までどおり生徒会の本部で机を前に座り続けた方がいいのかもしれないって」

未だに自分のすぐ横にある気がするその『楽園』のような平和の幻に未練はあって、

「でも、私は知っちゃったし私に頼まれちゃったし逃げるべきじゃないとも思ってるの」

現実は過酷で今この瞬間にでも目の前の幸せを奪ってしまう可能性はあるかも知れなくて、
それがどうしても怖いから私は『夢見る』ことはしたくない。

「それでどうしようかなって……」

答えは既に決まっているようなそんな困った顔をしながら缶飲料をまた少し口にする。

ラヴィニア > 自分から視線を外して綴られる言葉に、瞳が細くなる。
きゅうっと、口角が釣り上がる。

「                      ぁは
…………そうでいらっしゃいますか。
いえ、わたくしには難しくて、よくわからないのですけれども」

そうして、お辞儀をするように首を倒す。
実際には勿論礼をしているわけではなく、両手が首の後に回る。

「また、危険に出会うかもしれないということでしたら、わたくしからはこちらを。
聖別されているとはいえ、気休めのものではありますし、
お姉さまのご信仰とは違えてしまうかもしれませんが」

外したロザリオ。
昼の光に輝く十字架を、数珠の部分を持って差し出す。

「魔の者に、多少の意義はありましょう。
父と子と聖霊は、“いつでも見守っています”から。」

上げた顔で、にこりと笑いかける。

遠条寺菖蒲 > 彼女を見るとと自身が身につけていた十字架の首飾りを外していた。
その動きはどこか神秘的な儀式のように思えて見惚れてしまった。

「……ふふっ。別になにも危険なことが待っているみたいに言わないで欲しいわ。
あの日のアレだって、きっと偶然よ」

運が良かったとは言え、助かっている。私もあの“失落園”のなんらかの術に捕らわれていた女学生も。ただ“害来腫”に捕らわれていた少女たちのその後は聞いていない。

「私の家はともかく、私は信仰の違いはそこまで気にしてはいないわ。
だから、ラヴィニアさんが私にそれを貸してくれるならラヴィニアさんが心配だと思う間、貸してもらうわ」

それを微笑み返して受け取って

「私には返せるものはないけれど、感謝だけはさせてね」

と言ってラヴィニアのいる反対側に缶飲料を置いてロザリオを手にしたまま親愛の意味を込めて抱きしめようとする。

ラヴィニア > 「はい。
そうある事を願っておりますわ」

でもわかっている。そして彼女がわかっていることをわかっている。
そうはならない。彼女は『踏み』こんだ。
それを分かっている真っ直ぐな青い瞳が、綺麗だと。

「あ、あら、お姉さま」

見とれていたので、反応が遅れた。
両手を回されて、やや半眼の目が見開く。ぱちくりと瞬かせる。

遠条寺菖蒲 > 「嫌だったらごめんなさいね。
私は余り多く人に気持ちを伝える手段を知らないから」

こうして、感謝の気持ちを伝えるように優しく抱擁することしか知らないのだと。

「何があってもあなたには笑顔でいて欲しいわ」

そう言って抱きしめながら願い微笑む。
ああ、なるほど。
私では守りきれないだろうけれど、自分を守ることすら危ういのだろうけれど、
それでもこの子や笑顔を向けてくれる人たちがどうにかなってしまうのを手の届く場所にいて何もせずに目を逸らしているのは、


―――後味が悪い。


「私もラヴィニアさんが健やかに明るく過ごせる事を祈ってるわ」

勝手な自己満足だけれど、それでもそれは間違いではないだろうと信じたいと思った。
今、確かな『答え』を見つけた気がした。

ラヴィニア > 「いえいえ、そんなことはございません。
ふふふ❤」

抱きしめられたまま、軽く体の重さを預ける。
年上の少女の匂いに包まれ、
違えた首の向こうで、明るい朱色の瞳が潤む。

頬を押し付けるようにして首をかがめ、
首筋に口付ける。

「――――はい、お姉さま」

そうして預けた体を起こそうとする。