2015/06/23 のログ
ご案内:「委員会街/生徒会所有ビル/綾渕のオフィス」に綾渕・京さんが現れました。
綾渕・京 > 【生徒会所有のビルの一室。
壁際には本棚と積まれた書類の山が並んでおり、その奥にぽつんと一つデスクが置かれている。
それが生徒会執行委員の一人、綾渕・京のオフィスであった】

【ヒラの執行委員に過ぎない綾渕が、何故個人のオフィスを用意されているのか。
それは綾渕の車椅子と、所有する異能が原因であった。
演算系の異能による書類の処理能力があるため、綾渕は書類の整理役に最適だったのだ。
……要するに、オフィスの名を借りた書類置き場なのだが】

綾渕・京 > 「――ふ、……ぁ」

【綾渕は、不意に部屋の奥のデスクに突っ伏している自分に気が付いた。
外には既に、夜の帳が落ちている。
……どうやら書類整理をしている間に、転た寝していたらしい。
寝ている間に車椅子から落ちなかったことを、心の中で感謝した】

綾渕・京 > 「……ふ、む」

【車椅子から落ちぬよう、身をゆっくりと起こすと、デスクに積まれた書類を引き抜いて、眠る前に行っていた作業を再開する。

……まだ、やるべきことは山のように残っていた。

この学園に於いて、中央を担当する生徒会の仕事は、当然ながら島内の情勢に比例して増えてゆく】

綾渕・京 > 「部活や委員会の予算案……は、このまま通して、生徒会の会議にかける」

「……校舎の壁の修繕? これ生徒会の審議にかけることか……?
まあいいか」

【手早く書類を処理し、整理し、デスクの端から端へと移してゆく。
朝になれば他の執行委員が、書類を然るべき場所に運んでくれるだろう】

綾渕・京 > 「……"制服のスカート丈をもっと短く"? なんだこれ」

【この書類には、生徒からの提案書や、上申の類いも含む。
当然ながら、愚にも付かないような上申、提案の書類もある。
それらはここで処分しなければならない】

「"テストの簡易化あるいは廃止をお願いします単位が危ないんです"……没。
"レストランのメニューを増やしてください"? それ送るのここじゃないだろ……」

綾渕・京 > 「……今日の分はこれで終わり、と」

【書類を片付けて、一息吐く。
車椅子の自分には貢献手段がこれくらいしかないとはいえ、少々疲れる。

……車椅子を転回させて、ぼんやりと窓の外の夜景を眺める。】

綾渕・京 > 「……帰るか。講義の課題も片付けたい」

【十数分後。再び車椅子を転回させて、鞄を拾い上げると、綾渕はオフィスを後にした】

ご案内:「委員会街/生徒会所有ビル/綾渕のオフィス」から綾渕・京さんが去りました。
ご案内:「第二特別教室調査部別室」にクロノスさんが現れました。
クロノス > 目の前にある武器携帯の許可申請書を一読して、ペタンと判子を押す。
もう何度それを繰り返したか分からないが、書類はまだまだある。
学園が物騒になった分、武器携帯の申請書はそれこそ山のように届く。
読んで、判子を押す、読んで、判子を押す。

地味ではあるが、これが本来の『公安委員の仕事』でもある。

「こんなものに一体なんの意味があるんですかね。」

はぁ、とため息をつく。
彼女が着ている鮫の着ぐるみのような
パジャマのフードについているヒレが、悲しげに揺れた。

クロノス > 彼女は基本的にこの部屋で寝泊りしている。
家らしい家も無いし、何より起きたらすぐに仕事が出来る。
大抵はすぐに制服に着替えて落第街に出て行くのだが、
昨日言われた『憂さ晴らし』という言葉が気になって、
こうして『本来』の仕事をしているわけだ。パジャマのままで。

「こんなものが無くても、武器を持ち歩く人は、勝手に持ち歩くでしょう。
 ……そもそも異能だとか魔術だとかでいくらでも出せますし。」

忌々しげに武器携帯の申請書を見る。
こんなものに何の意味があるのかといえば、何の意味もない。
道を歩く怪しげな武器を持つ学生をひっ捕まえて、
『その武器申請出して無いでしょう』と注意する事もない。

それでも、『真面目な学生』は
『公安委員会』に注意されないようにと、
こうして申請を出してくる。

ちなみに魔術や異能は近々あるような中間テストで調査され、
危険な異能や魔術についてはしっかりとマークされる。
そちらもやはり、マークされるだけで何をするわけでもないのだが。

かぶっているフードをいつも帽子の鍔にしているように引っ張ると、
それについているヒレがふるふると震える。

クロノス > クロノスは、落第街が学園に、公安委員会に見捨てられ、
そこに住んでいる人間がどんな暴虐に見舞われようと、
この学園に敷かれている『法』は何もしてくれない事を『知って』いる。

だからこそ、彼女は公安委員になった。
自分自身が『法の番人』になれば、
その現状を少しでも変えられる、そう信じて。

ぺたんと申請書に判子を押した、申請書はまだまだある。
こんな申請書をクソ真面目に出してくる時点で、
まともに読まずとも違反物が混じっている事はほとんどない。
大抵の公安委員は読みもせずにぺたぺたと押していくのだが、
彼女はごくごく真剣に申請書を読む為、どうにも手際が悪い。

「……はぁ。」
やれやれとため息をついた。
フードにかかれた鮫の顔も、
なんとなく疲れているように見える。

クロノス > 少しでも変えられると信じて、
それはもうやる気満々で公安委員会に入った彼女は、
公安委員会の現状を見てそれはもう大層凹んだ。

『法の番人』に憧れがあった事もあって、
その凹みようは本当に凄まじいものだった。

特に意味も無い事務仕事を特に意味もなくやり続け、
特に意味を成していない監視任務を行い、
やはり特に意味も無い取締りを申し訳程度に行う。

『こんなもの、何もしてないのと変わらない。』
そう思いつつも、なんだかんだで真面目な彼女は、
それにきっと何か意味があると信じて真面目に仕事をし続けた。

当然、久しぶりに『帰った』落第街は、何も変わっていなかった。
変わったのは彼女の生活だけだ。
少なくとも『彼女自身』は、落第街の夜に怯える事は無くなった。

ペタン、ペタンと判子を押していく。
ピコピコハンマーを携帯させてくれという書類に首を傾げ、
申請を出した人間の異能を確認してペタン。

銃器を携帯させてくれという書類に目を通し、
学生の資料を取り出して素行に問題が無い事を確認してペタン。

クロノス > そんな中『彼女』に出会った。
『西園寺偲』、公安を、学園を変えようと動く彼女を、
それはもう心の底から尊敬し、崇拝した。

『西園寺偲様マジ神』とばかりに彼女の事を追いかけ、
隙があれば陰からこっそりと見守り、
口にする言葉や考え方を周辺の人物に聞いてまわってメモを取り、
口調とか仕草を真似てみたりもして、
『彼女のようになろう、彼女のような人間になろう。』と必死に頑張った。

真面目な彼女はその『憧れ』を糧に熱心に仕事をして、
やがてその努力が通じたのか、西園寺偲と同じ部署に所属になった。

―――といっても、その頃には『西園寺偲』は
既に自分の手の届かないような地位に居たのだが。

「よし、これで最後ですね。」

最後の書類にペタンと判子を押すと、
そのまま椅子を並べて寝転がる。
パジャマについた鮫の尻尾がぐったりと横たわった。

『少し休憩にしましょう。』

瞳を閉じると、彼女を思い、
ゆっくりと甘い夢の世界に落ちていった。

ご案内:「第二特別教室調査部別室」からクロノスさんが去りました。