2015/08/19 のログ
ご案内:「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室」に『室長補佐代理』さんが現れました。
『室長補佐代理』 > 夕刻。橙色の明かりが差し込むその部屋で、男は書類整理を続けていた。
といっても、ここしばらく、通常業務以外は特に何もなかったため、これといって特別な書類や面倒な書類があるわけではない。
それでもこの時間まで書類整理を続けているのは、部下がそういった書類に手を付けたがらないからであり、また、男も半ばそれを黙認しているせいである。
現場ではよく働いているのだから、まぁこれくらいは普段なら良いだろうと結局のところ妥協したのである。
本当に忙しければ、無理にでもやらせればいい。

『室長補佐代理』 > そういった日々の妥協やなぁなぁのどんぶり勘定的な業務仕訳のせいで、結果的に男に苦労が跳ね返っているわけではあるのだが。
……それに自力で気付けたら最初からこの有様にはなっていない。
右手を相変わらずポケットに突っこんだまま、単調な書類整理を左手一本で続ける。
顰め面で見つめる書類の内容はどれもこれも大したモノではないが、それだって見つめ続ければ目は疲れる。
目が疲れればそれは当然眼精疲労となって瞼を落とすわけで、それを食い止めようとすれば自然と眉間に皺が寄る。
繰り返したその結末がこの顰め面といえば、正に男の不景気な面はあらゆる意味で自業自得によって作り出されたものと言えた。

『室長補佐代理』 > 諸事情で左手一本しか男は使えないため、こういった書類整理は本来不得手である。
男もどちらかといえば現場の人間なのだ。
それだってもっと出来る部下がいるのなら出る必要はないわけで、しかもその部下が書類整理からは遠ざかりがちというのなら、それは男の仕事となる。
しかも、別に出来ないわけではないのだ。少しばかり時間が余分にかかるだけだ。
なら、それはやはり男がその少しばかりの時間を割いてやるべきことで、まぁ、それだけの話なのだ。
そのそれだけの事実が、今後もこれが続くであろうことを示唆していると思うと、流石に男も気が重くなってくる。

『室長補佐代理』 > 一先ずの現実から目を背けるかのように、目頭を押さえながら男は立ち上がる。
まだ記入が全て終わっているわけではないが、それとは別に必要な資料が確かあったはずだ、それを探そう。
軽い気分転換にもなる。ずっと座っているとそれはそれで疲れるのだ。
ぐっと体を捻り、左拳で腰を軽く叩きながら、背後の棚を見る。
確かあの辺にあったはずだ。
そう、心中で一人ごちながら、緩慢な動作で棚へと向かう。