2015/10/19 のログ
ご案内:「公安委員会外事部の廊下」にライガさんが現れました。
■ライガ > 窓の外が暗くなりはじめ、電灯がぽつぽつとつきはじめたころ。
廊下の一角。特殊情報課の札が掲げられたドアが開き、数人の学生が歓談しながら、あるいは黙々と考え事をしながら、足早に歩いていく。
一見それは、明日から始まる学園祭に想いを馳せた和やかな光景のように見える。
それより遅れること数分後、長身の男が現れた。
白髪の後頭部を掻きかき、黄金色の眼は眼鏡の奥で光り、分厚い封筒を小脇に抱えている。
途中で立ち止まり、鞄に入れようか迷った末に、制服の腹側に滑り込ませた。
「はーあ、皆は比較的安全なところ担当でいいよなあ。
なんで僕だけ路地裏方面なんだか」
ため息が漏れる。確かにあのメンツの中では一番落第街をふらふらしてても違和感なさそうないで立ちではあるが。
とはいえ、今度ばかりは仕方がない。
学園祭ともなれば、一大イベントだ。
当然、人の出入りも普段と比べ物にならないほど多くなるだろう。
そして、そんな時期だからこそ、あちこちに目を向けなければならない。
「例えば、……僕がもし、国際的な犯罪組織に所属してて。
学園内にスパイを送り込んでたとしたら、祭りに乗じて伝令役、メッセンジャーくらいはよこすだろうね。
スパイ側も、出店やってたらちょっとくらい客と立ち話してたって、怪しまれにくいだろうし」
独り言は誰にも気づかれないように。
といっても、この周囲は公安関係者しかいなさそうだが。
すっかり暗い窓の外をぼんやりとながめる。
■ライガ > 「さて、寒くなってきたし、ちゃっちゃとお仕事やりますか。
最初の目的地まで、1時間くらいかな。
複数、手を打っとくに越したことはない。
潜り込んだ“シロアリ”が一匹だけとは限らないし、ね」
息を吐き、寒そうに手をこすりあわせると、
ポケットに右手を突っ込み、廊下を足音も立てずに歩く。
建物から外に出れば、夜空を見上げて天気を確認し、足早に東の方角へ急いだ。
ご案内:「公安委員会外事部の廊下」からライガさんが去りました。