2016/01/18 のログ
ご案内:「委員会街」にクローデットさんが現れました。
■クローデット > 公安委員会本部からの帰り路。
クローデットは、やりきれない表情で歩いていた。
先日の、落第街の路地裏の一角で"殺刃鬼"と「死合」となり大惨事を引き起こした件で呼び出されたのだった。
とはいえ、相手は嘗て猛威をふるった違法部活の幹部格なので、一般委員が単独で遭遇してそれを取り逃がしたこと自体は大した問題とならなかった。
問題は、
『単独で当たったら勝ち目のほぼ無い相手なのに戦闘行為に突入し、情報源になりうる存在をみすみす死なせてしまったこと』
の方である。
■クローデット > 力不足、準備不足なのに戦闘行為に突入してしまったことは事実なので、指導自体は素直に受け入れる姿勢を見せたクローデットだったが…いかんせん、騒ぎを大きくし過ぎた。
クローデットは、当分の間、落第街方面の巡回任務から外されることとなってしまった。
(…騒ぎに見合うだけ、悪意を煽れていれば良いのですが)
クローデットも"殺刃鬼"も、「表向き」方向性が違うとはいえ、落第街の住人にとっては関わり合いにならないに越したことは無い人間だ。
あの「災厄」の目撃者は多くない…というか、間近での目撃者がいたとしたら、それこそよほど魔術耐性に優れていない限り熱にやられているはずなのだ。
惨憺たる光景に愕然とする住人達はいるだろうが、それと「表と裏の対立」は別の話になってしまっていることだろう。
(………修行が足りませんわ)
悩ましげに、深いため息をついた。
■クローデット > 生身の脆さ故、クローデットは過剰と思えるほどの魔術的防御を身につけ、身を守っている。
それを、あの東郷という男は、単なる力技で、あっという間に破ってみせたのだ。
もう少し時間を稼げれば、あそこまで大規模な術式を行使せずにすみ…情報源になり得たあの異能者(バケモノ)の少年を死なせずにすんだかもしれないのに。
それを踏まえて、今は今まで以上の防御を備えているが…その強度が高過ぎて、魔術同士が干渉し合い、効率を落としている。
(…効率を落とさず、防御を手厚くするための改良を加えなければなりませんわね)
また1つ、ため息。
東郷の方は大敗だと認識しているかもしれないが…実際のところ、クローデットにとっても、痛み分け以上にショックな出来事となっていた。
■クローデット > (…まあ、「気分転換」の機会がしばらく遠ざかるのは残念ですけれど…
これを機会に、あたくしの魔具作成術を見直してみても良いかもしれませんわね)
ひとつ、今度は気分を切り替えるかのように、強い息を吐く。
クローデットは、この機会を「魔術の探究に専念する期間」と自分の中で定義することで、その先の目標を見据えた。
とりあえず…ひとまずの目標は、
『1人で"殺刃鬼"をいなせるくらいの魔術的防御を得ること』
だ。
そうと決まっては、ゆっくりしてもいられない。
まずは、魔具作成術の師たる母に助言を求め…それから、こちらでの「同志」である「彼」に、借りられる資料が無いかの打診をしなければならない。
「………たまには、「壁」にぶつかるのも悪くありませんわね」
楽しげに、少しだけ笑って。
クローデットは、早足で委員会街を後にしたのだった。
ご案内:「委員会街」からクローデットさんが去りました。