2016/03/25 のログ
ご案内:「委員会街」にセシルさんが現れました。
■セシル > 本格的に春休みに入った昼下がり。
委員会街の中を、委員会所属を示す腕章も、身分を示す制服も身に着けずに歩く人間は少ない。
セシルは、いつもの服装で委員会街の街並みを歩いていた。
風紀委員会へ入るための面接の帰り道である。
■セシル > 面接の手応えは悪くなかった。
風紀委員会は、国家の中では警察機構に相当する組織だ。
軍人の卵たるセシルが何故公安委員会ではなく風紀委員会を志望したか、その動機について。
「風紀を守る」ことの意味について。
力の行使について。
セシルは、それらの問いに対して、「風紀委員としては」そこまで問題のない解答が出来たと思っている。
■セシル > 軍人の、特に武官たる人間は開戦の意思決定に携わってはいけないというのが、セシルの故郷における軍人教育の思想面の基礎にある。
戦いの中の因縁に引きずられた判断をして、国を傾けてはいけないという、歴史の教訓だ。
セシルの故郷は魔術と異能が当たり前に存在しており、こちらの世界とは別の次元で、戦争の中で非人道的な行いが繰り返されてきたのだ。
それらで流された血と、倒れた人々の亡骸の上に、セシル達の世界の国際秩序や、軍事機構が作られてきた。
セシル達士官学生に対する教育も、その延長線上にあったのである。
■セシル > そういったバックグラウンドから、一般委員からどこかの課に割り振られた場合の希望として、警備課への配属希望を提出した。
犯罪捜査などに役に立つ能力は備えていないし、武力としては一魔剣士の域を出ないからだ。
無論、魔剣士「だからこそ」出来ることもあるにはあるが。
(…まあ、異郷の地で無為徒食を貪るわけにもいくまい)
委員会活動で生活の糧を得るだけでなく、単位も得られる。
座学ばかりやるのはあまり好まないセシルとしては、その方が都合が良かった。
■セシル > 正式な採用通知は数日待たねばならないが、とりあえずセシルは検討に値する存在と認識はされたようである。
(…正直、他に向いた委員会に心当たりもないから…通っていれば良いのだがな)
そんなことを思いながら、空を見上げる。
春に近づく空は、故郷ではあまり見たことがないような淡い空色をしていた。
この地の気候でいうならば、春が近いらしい。
■セシル > (…まあ、念のため情報収集はしておこう)
面接の手応えは悪くないが、油断は出来ない。
(とりあえずは、生活委員会で資料でももらってこようか。開拓荒野の監視も業務のうちらしいからな。
…公安委員会は、今まで私が受けてきた教育に照らして、役目が果たせるとも思えん)
セシルは、生活委員会棟に足を向けたのだった。
ご案内:「委員会街」からセシルさんが去りました。