2016/05/08 のログ
ご案内:「医療棟601号室」に久藤 嵯督さんが現れました。
久藤 嵯督 > 「―――ッ!」

―――視界いっぱいに広がるったのは、純白。
それが病室の天井だと気付くのに、そう時間はかからない。
安眠していた割には、妙に目が冴えている。悪い夢でも見ていたのだろうか。

(……黒い、空。二つの虹……わからん、思い出せんな)

頭の寝癖を手で軽く梳きながら、カレンダーの日付を確認した。

(……今日で、退院か)

久藤 嵯督 > 左手で点滴スタンドを押しながら窓の前まで歩いていく。
締め切ったカーテンを開けると、薄く優しい日差しが差し込んできた。
今日で最後かもしれないが、早寝早起きも決して悪くはなかったと思う。

窓を開ければ、涼しくも新鮮な空気が古い空気と入れ違いになる。
開かれた窓の前で深く息を吸って……ゆっくりと吐き出す。

久藤 嵯督 > 体も元気になったことだ、ここに長居する必要はない。
訪問してきた保健課役員と顔を合わせた後、洗面所に向かって顔を洗い、髪を整える。
朝食を済ませたらあらかじめ荷物をまとめ、回診を待つ。

回診が終わればようやく、この病室からおさらばできる。
甚平を脱いで、風紀の制服に着替え始めた。

久藤 嵯督 > (……なんだかんだで、これが落ち着く)

数日ぶりの仕事着に、軽い高揚感を覚える。
やっとまた働ける。戦場に帰ることができる。
帰る場所が戦場だというのも、生物として可笑しな話ではあるのだが。
だが結局、自分はそこで生きているのだから。
自分で決めて、自分で選んだ場所なのだから。
だからこの苦しみが不自由だとは思わない。

俺は、自ら望んで戦う。
俺は、自ら望んで苦しむ。
俺は、自ら望んで死ぬ。

平和なんてくれてやる。そう吐き捨てて、戦士は病室を後にした―――

ご案内:「医療棟601号室」から久藤 嵯督さんが去りました。