2016/05/09 のログ
ご案内:「共同慰霊碑」に佐伯貴子さんが現れました。
佐伯貴子 > (程々に広くなっているその場所に、
 手のあいている風紀委員たちが整列していた)

「敬礼!」

(号令に合わせて、風紀委員式の敬礼を取る委員たち。
 先日殉職した委員たちへの追悼と冥福の祈りである。
 佐伯貴子は事件を抱えるということがほぼないので、
 こういう場にはいつも出席するのであった)

佐伯貴子 > (目をつぶっている間考えている。
 犠牲者が多すぎる。

 世界には、顔と名前がわかっていれば、
 名を記すだけで死に至らしめる魔導書があるときく。
 それには及ばずとも、居場所が特定できる異能や魔術は多い。
 なぜ負け戦ばかりが繰り返されるのか?
 鑑識が無能なのではない、と自分は思う。
 「何者かの意図」によるものであると)

佐伯貴子 > (「何者か」が、落第街に住まう二匹の魔物を、
 『精神束縛』や『呪術』から守っているのだろう。
 理由は分からない。
 3年前の呪いがまだ残っているのかもしれない。
 今後も犠牲者は増えるかもしれない。
 自分であることはないだろうが、
 自分がチョコレートを送った人間たちでないことを願う)

佐伯貴子 > (追悼式が解散になった。

 佐伯貴子は木陰に置いておいた花束を取ってきて、
 慰霊碑に供えた。
 名を知っているものもいた。
 言葉を交わしたものもいた。
 事務処理を代わりに引き受けたものもいた。

 だが、もういない。

 だから、仕事に戻る。
 これ以上犠牲者を出さなくてすむように)

ご案内:「共同慰霊碑」から佐伯貴子さんが去りました。