2016/06/23 のログ
ご案内:「委員会街」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 公安委員会本部を出て、腕につけていた腕章をポシェットにしまうクローデット。
先ほど話をまとめた「作戦」の都合もあって、今日はもう委員会の仕事はないのだ。

先日、落第街の大通りで見つけた「玩具」。
その首を綿で締め上げる「作戦」提案が通り、今日はそれの詳細を詰めていたのだ。

クローデット > 先日遭遇した「玩具」と、それを用心棒として抱える、危険物などを取り扱う非合法の店。

その「用心棒」が社会的な善悪の認識が拙く、教育を行えば更生の余地ありということ。
小規模な店であるので、「用心棒」さえ引き離せばこちらの戦力の損耗少なく検挙出来そうだということ。
それらを報告して、自分が「用心棒」を引き止め、説得をしている間に検挙するという提案をしたのだ。

小さな店ではあるが、検挙すれば一応実績にはなる。武力をさほど投入しなくて済むのならばこれほど楽な仕事はない。
「用心棒」の更生の仕事は風紀委員会の管轄なので、そちらにも協力を仰いでおく。
それらの融和的な根回しが効いて、作戦「提案」はあっけなく通った。

縄張り争いにやんわりと抗い、生徒の「更生」を大事にする。
何と「模範的」な「正義の味方」であろうか。表には出さないが、クローデットは内心笑いが止まらなかった。

クローデット > 「用心棒」の名前と住所は掴んだ。既に本部に報告済みだ。
…予想は出来ていたが、信じ難いことに、生徒登録と照らし合わせて、名前は(少なくとも、この学園都市としては)本名と確認出来た。
「顔見知りの自分が説得したい」という名目で、確保は待ってもらっているが…もし「説得」が失敗した場合には、直ちに風紀・公安の包囲網の対象になる算段は整っている。

(…まあ、そうそう「失敗」はしないでしょうが)

クローデットは確信していた。

クローデット > 生徒登録の担当者が、よほど手抜きをしたのだろう。
クローデットが見つけた「玩具」は、ぱっと見の性別そのままに生徒登録がなされていたのだ。
…そして、クローデットは先日邂逅して気付いた「玩具」の「真実」を、あえて報告していない。

(…この事実を餌にすれば、「説得」は簡単でしょう)

「説得」ではない。それは、明らかに「脅迫」であった。
名目上、学園都市の治安に資する「脅迫」ではあるが。

無論、クローデット程度の教養があれば、あの「玩具」がMtFトランスジェンダーで女性を性的対象とし得るセクシュアリティの持ち主という可能性を、完全排除したりはしない。
…だが、あの時に「玩具」が見せた反応から、かなり強い確信を抱いていた。

あの「玩具」は、自分のあり方を定めることはおろか、「認める」ことすらまともに出来ていないのだと。

クローデット > あの「玩具」が異邦人(ヨソモノ)でも、異能者(バケモノ)でもなければ、健全に導く手助けをするのも、やぶさかではなかった。
しかし…

(異邦人(ヨソモノ)で…生徒登録の際の申請こそありませんでしたが、恐らく異能者(バケモノ)。
おまけに非合法な仕事と関わりを持っていれば、救いなど与えるに値致しませんわね?)

羽根扇子を広げて隠す口元。それが、下に弧を向ける三日月の形に歪んでいた。

クローデット > (さて…)

羽根扇子を閉じた頃には、クローデットの唇はいつもの品の良い微笑を刻んでいる。

(今日は巡回もありませんし、先日の続きと参りましょうか)

クローデットは、上機嫌な足取りを研究区に向けた。

ご案内:「委員会街」からクローデットさんが去りました。