2016/09/27 のログ
ご案内:「委員会街」にセシルさんが現れました。
セシル > 放課後。
委員会に呼び出されたセシルは、その用件を終え帰路についていた。

(…まさか、非番の日に呼び出されてしまうとはな…鍛錬の予定が少々狂ってしまった)

その用件とは、二週間近く前に起き、重傷者も出した「妖怪もどき」事件のことである。
学園地区からは概ね駆逐されたものの、一部の生き残りがこの学園都市の「闇」の部分にしぶとく居座っているらしい。
普通の警邏とは別に討伐部隊が送られてはいるものの、根絶には至らず…。
結果、近いうちに大討伐部隊を編成することになった。

セシルが呼ばれたのも、そのメンバーとして編成されうる能力があるかどうかの試験のためだった。
…セシルには、その手のものを「斬る」力があるのだ。

セシル > 試験の内容としては、「妖怪もどき」に対する攻撃能力、戦闘術の確認。
そして、それらの存在を察知する能力の確認だった。

(一通りはこなせたから…まあ、補欠人員くらいには入るのだろうな)

セシルの攻撃力は、そこまで高いわけではない。
しかし、「妖怪もどき」などが嫌う属性と合わせた剣術、そしてそれと異能を組み合わせた「点」に留まらない攻撃。
それらの存在を視認する能力は人並みだが、力の気配を感じ取る能力は人より鋭敏。

それらを総合して、セシルは試験として与えられた演習を、それなりの時間をかけてとはいえクリアしたのだった。

セシル > 無論、退魔を専門とする者には、及ぶべくもない。
優先順位は低いだろうが…

(まあ、招集されれば良い経験にはなろう。元の世界では、技術は学んでいても実戦で扱う機会などなかったからな)

セシルの故郷では、剣で身を立てようとする者はよほど適性がない場合を除けば魔法剣を学ぶことになる。
セシルのように専門的に学ばない者でさえも、まず修得させられるのが「怪異・不死者を「斬る」ための魔法剣」だ。

それは、セシルの世界の歴史が、かつて経験した混乱に根ざした慣習だった。
…しかし、その歴史が繰り返されないようにと世界が文武両面から牽制している最中で…武を鍛える現場で、必要性を疑う動きが現れ始めて久しかった。

セシル > いわゆる、「平和ボケ」とでもいうものだろうか。
剣術で身を立てたい人間がわざわざ魔術を学ばされることに、不満を抱いていた先達は少なくなかった。
それに、かつての混乱を経験した人も死に絶えて久しく…おまけに、怪異の脅威自体が、セシルの元いた世界から、急速に消えつつあった。
セシルの親世代くらいまでは、まだ自然発生の怪異の駆除くらいはしたらしいが…セシルの世代では、それすら聞かれなかった。
この学園都市の方が、よほど怪異の脅威がすぐ傍にあると思えるくらいだ。

(…明確な被害が見えづらいというのも、「こういう立場」にいると恐ろしいものだな)

セシルは、委員会街をマイペースに歩きながら考えを巡らせる。

セシル > 試験の結果は、今週中には出るだろう。

(剣術の鍛錬をやり込みたかったが…時間が厳しそうだな。
軽く流して、走るか)

セシルは予定した訓練から内容を変更することを決めて、実習地区へ足を向けた。

ご案内:「委員会街」からセシルさんが去りました。