2017/01/30 のログ
ご案内:「委員会街ラウンジ・会議室」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 委員会街ラウンジには、委員会間の折衝やら何やらのために使える会議室スペースもある。
クローデットは先日の無期懲役囚との遭遇の件をきっちりと報告し(外部の人間を信用して出し抜かれた件では注意を受けたが、注意程度に留まった)、その上で「彼女のことを知っている風紀委員を通じた折衝」を望んだ。
その結果、その折衝の場所にこの会議室スペースが選ばれたのである。

クローデットが会議室に入ると、時間には余裕を持ってきたのに、折衝相手は既に来ていた。

「………あら…久しいですわね。
お待たせして、申し訳ございません」

相手の顔を認めて、瑞々しい微笑を浮かべた後、丁寧にお辞儀をしてから相手の元に歩み寄るクローデット。
なんという偶然か。相手は、いつぞやの大規模討伐の時にクローデットと行動を共にしていた風紀委員の1人だったのだ。
相手のことは既に聞いていたらしく、彼の表情は緊張感を強く感じさせる無表情。

クローデット > 『いえ、私が早く来ていただけですので、お気になさらず。
…少し早いですけど、始めてしまいましょうか』

立ち上がってクローデットを迎え、椅子の方に案内する風紀委員。
表に出して礼を失することはない程度に自身を戒めてはいるが、「出来るだけさっさと終わらせたい」感はありありと伺えた。

当然だろう。相手は公安委員会の中でも特に強力な人間の一人で、おまけに、思想に得体の知れない部分がある。
挙げ句の果てに、「風紀委員の息がかかった人物」の悪戯についての折衝なのだ。

「…ええ、構いませんわ。
無駄な話をするほど、あなたも暇ではないでしょうから」

「ご足労感謝致します」とたおやかに笑んで、案内された席に腰掛けるクローデット。
無駄話をする気などクローデットにもないのだ。利害の一致は、寧ろクローデットにとってこそ有難かった。

クローデット > 『早速ですが…その、「彼女」がご迷惑をおかけしました』

最初に、謝罪するところから始まる「折衝」。あまり、対等な関係には見えない。
実際、風紀委員の青年の表情の硬さとは対照的に、クローデットはたおやかな微笑を崩さない。

「いえ…お気になさらないで下さい。
調べもせずに「受け取ったら撤退する」という約束を交わしたあたくしにも責任はございますので」

柔らかい口調でそう告げるクローデット。
しかし、それが意味するのは
「これからは信じない前提で風紀委員関係者と当たることも辞さない」
ということだ。

クローデット > 『いや、あの無期懲役囚が個人的に公安委員を毛嫌いしているだけで、風紀委員会全体が公安委員会を…ましてや、あなた個人を敵視しているなんてことは…』

しどろもどろの…委員会事情を考えれば白々しいほどの建前を口にする風紀委員。

「あたくし、その件で注意を受けてしまいましたの。
善意によるミスですからそれ以上のことにはなりませんでしたけれど…流石に、同じ失敗は何度も繰り返せませんので」

『………』

にこやかに告げるクローデット。
だが、甘く柔らかいながらもきっぱりと言いきったその声の響きは、弁明を通しそうになかった。
押し黙る、風紀委員。

クローデット > す…と、たおやかな表情のまま、クローデットが握った右手を持ち上げる。

「公安委員としてあたくしが確認したいことは、次のことだけです。

『風紀委員と公安委員は、お互い違う職権を持ち、それぞれの職務範囲を尊重しながら職務に当たっているということ』
『それぞれの職務の中で他方の職権範囲の事柄に当たった場合には速やかな連携を取ること』

この、2つだけですわ」

それぞれの内容をいうごとに指を1本…合わせて2本立てながら告げるクローデット。
内容に拍子抜けしたのか

『………本当に、それだけですか?』

と、やや間の抜けた表情で問う風紀委員。
「彼女」を知っているということは、風紀委員会と公安委員会の間の過去の確執なども知っているわけで、その彼からすれば謙虚過ぎるくらいに思えたのだろう。

クローデット > 「ええ、それだけです」

花の綻ぶような笑みを浮かべて頷くクローデット。

「ですから、「これからもよろしくお願い致しますわ」?」

心持ち、語調が強められた後半。
そこに嫌な予感を覚えながらも、風紀委員の青年は

『…分かりました。
でも、本職の風紀委員は信頼して下さいよ』

と、気持ち程度の保留をつけて頷くしかなかった。

クローデット > そうして、その日の「折衝」は、まあまあ平穏に終わることが出来た。

クローデットは「風紀委員関係者を信じて裏切られた」事実を風紀委員に認めさせた上で、「連携をとる」という要求を告げることが出来た。

無論、「実力不足」によって「連携」が滞ることもあるだろう。
それならば、「職務のために」堂々と「裏」を蹂躙し続けるだけだ。

(…あたくしが、悪意を表に出す必要なんて、どこにもありませんのよ?)

会議室を去ったクローデットの口元。
羽根扇子で隠されたそこには、楽しげな笑みがはっきりと浮かんでいた。

ご案内:「委員会街ラウンジ・会議室」からクローデットさんが去りました。