2017/03/17 のログ
ご案内:「委員会街ラウンジ」にセシルさんが現れました。
■セシル > 午後。
委員会街ラウンジのカフェのテーブル席で、コーヒーを置いて難しい顔で本を読んでいる中性的な人物。
彫りの深い整った顔立ちで、少し眉間に皺を寄せて本と睨めっこをする様は絵にならないわけではない。
………が、その中身は、中学生くらいの年齢に向けて書かれた魔術学入門なのだった。
■セシル > 今年度履修した魔法剣の座学の授業のおかげもあって、セシルの魔術に対する理解は、この1年で劇的に深まった。瞬間的には、空中での立ち回りすら可能になった。
…それでも、「守る」という職務のために、足りないものは多い。典型的なものは、防御術式。
いきなり専門書を読むのはどうかと思って、魔術学全般についての理解を深めようと思ったのだが…
(………我儘を言わずに、もう少し姉上と勉強を頑張るべきだっただろうか………)
「包括的な論議・論説」に自分がここまで向いていないとは思わなかった。
気分転換にコーヒーを口にして…それから、再度字の連なりと睨めっこを始める。
また少し、眉間の皺が深くなった。
■セシル > 『あれ、ラフフェザーさん?今日の警邏は結構後じゃないっけ?』
そこに通りかかったのは、魔術によるサポートを担当している同僚。
「ああ………いや、図書館から借りた本の返却期限が近くてな。
外ならば集中して読めるかと思って、早めに来てここで読んでいたんだ。
………苦手な領域は、文字を追っても目が滑るな」
そう言って、溜息を吐く。
『苦手な分野って…ラフフェザーさんだと、化学とか機械とか?』
そう言って、何となしに本の中身を知ろうと覗き込む同僚。あまりに他意がなさ過ぎて、セシルの反応も間に合わなかった。
■セシル > 年齢からすれば易しい内容に苦戦しているセシルに対して、笑いの1つでも出ることを覚悟したセシルだったが…同僚は、寧ろ意外そうに目を瞬かせた。
『あれ?ラフフェザーさん普通に魔術使ってるよね?魔術学苦手なの?』
「…理論への理解はまだまだ浅いよ。身体で覚えて使っているものがほとんどだ。
おまけに私は、一般論をやるよりは個別に考える方が向いているらしくてな…魔術学全般への入門と言われても、全然頭に入って来ないんだ」
セシルは、溜息を吐いて本を閉じると、またコーヒーに口をつけた。
■セシル > 『そっか…それじゃあ、覚えたいことが決まってるならそっちの入門書を読んだ方が良いかもしれないね。』
「決まってる?」と聞く同僚に、今度は確かな瞳で頷いて。
「ああ…防御のための魔術を、今覚えている魔術や異能で対応しきれん時のために覚えておこうかと思っている」
と、答えた。
『それじゃあ、そこから当たった方が良いね。明日の自由時間にでも図書館かな?』
同僚がそう言うと、
「………一応、この本も期限までは頑張って読んでみようと思う」
と、苦い声の返事がセシルからなされた。変なところで意地っ張りである。
■セシル > 「無理しないでね」と笑って、同僚は自らの用事をこなしに、飲み物片手に共用オフィスへと向かった。
セシルは宣言通り、警邏に出なければならない時間ギリギリまで魔術学入門の本と格闘していたという。
ご案内:「委員会街ラウンジ」からセシルさんが去りました。