2017/08/28 のログ
ご案内:「風紀委員会棟」にセシルさんが現れました。
セシル > その日、セシルは風紀委員会棟で防御術式の試験を受けていた。
もちろん、魔術関連の授業のためではない。そのためならば、委員会棟など使わない。
…実力の認定を受けて、警備課への配属の如何を決定するためだ。

セシル > 課題は、護衛対象に相当するデコイを四方八方から飛んでくる攻撃から一定時間守り抜くこと。

「………!」

デコイの周囲に、半円を描くように風の防御障壁を張り、残り半分は自らの魔法剣で受け止め、撃ち落とす。
防御術式を維持しながら、もう一方の術式を維持し、鋭さを損なうことなく剣を振るう…ひどく、集中力のいる作業だった。

運動によるものとは違った種類の汗が、セシルの頬を伝う。
魔術行使の負荷に悲鳴を上げる頭を表すかのように…その目は血走っていた。

『………ちょっと、怖い』

見物している同僚が、ぽつりと零す。
試験のためのブースに入っているセシルにその言葉が聞こえなかったのは、幸か不幸か。

セシル > そうして、時間終了を告げるブザーが鳴ると同時に…セシルは、糸が切れたようにその場に倒れてしまった。

次に目が覚めたとき…セシルは、救護室のベッドに横になっていた。

「………私は………つっ」

身体を起こしたセシルは、頭に走る痛みに思わず苦鳴を零して頭を抱える。

『魔術の多重使用で頭に凄く負荷がかかってたよ。もうしばらく安静にしてね』

「…あ、ああ…」

救護担当の指示に、セシルは再びベッドに横になる。
知覚してしまうと、頭痛はより強く感じられて…目を開けているのが苦痛だった。

セシル > 「………試験成績はどうなった?」

『…まずは自分の身体の方を心配してね。学園を卒業する前に燃え尽きたら意味ないんだから』

「………ああ、そうだな………すまん」

相手の口ぶりに、セシルは試験で無理をし過ぎたことを少し悔やんだ。
…また、同時に、試験結果についても悟った。護衛対象を守りきったとしても、きっと、無理していることを見透かされてしまったのだろうと。

セシル > 「………ままならんな」

右手で目元を覆い、セシルはそう呟いて溜息を吐く。
自分と、他人を同時に守ること。その難しさが、改めて思考と心にのしかかった。

『今は思い詰めないで、ちゃんと休んで。眠れないなら、薬なり他の手段なりで眠らせるけど』

「………いや、大丈夫だ。少し呼吸を落ち着ければ、すぐに起きていられなくなる…」

救護担当の勧めを断り、努めて呼吸を落ち着かせる。
そうして、セシルはほどなくして、再び意識を手放した。

後日、改めて警備課への配属は保留となる通達が届くことになるが…その頃までには、気持ちを落ち着けて、受け止めることが出来るようになっていた。

ご案内:「風紀委員会棟」からセシルさんが去りました。