2018/04/07 のログ
ご案内:「委員会街ラウンジ」にセシルさんが現れました。
■セシル > 年度の変わり目の休業期間の午後。
昼間という変則的な時間の警邏をこなした後、セシルはラウンジでコーヒー片手に一息吐いていた。
立場を変えてでもこの島にい続けるためには仕方ないのだが…今年度以降、講義は本格的に忙しくなる。
委員会街に立ち寄る機会も減るだろうと思うと、ラウンジのコーヒーも、さっと飲み干してしまって良いものとは思えなかった。
■セシル > 『あ、ラフフェザーさん』
そんな折、背後から声がかけられる。
「ああ、貴殿か…貴殿も仕事か?」
セシルが振り返った先にいたのは、同僚。
…かつて、セシルにとある「問い」を投げかけた人物。
『うん、引き継ぎ。
私は今年卒業だから、これから本格的にその準備に忙しくなるし…色々ね』
「そうか…お互い大変だな」
同僚の言葉に息を吐いて頷くと、セシルはコーヒーを一口啜ってから…
「…少しだけ、構わないか?時間がかかってしまったが…いつかの「問い」の答えについて、今考えていることを、少しだけでも話しておきたいんだ。
…これから、どれだけ機会があるか分からないしな」
そう、彼女に問う。
同僚は、目を丸くしてから…
『…あのこと、まだ気にしてたんだ…悪いことしちゃったなぁ。
ラフフェザーさんの気持ちが少しでも軽くなるなら、聞かせてもらうね』
そう言って、同じテーブルにつく。
■セシル > 「こちらこそ、付き合わせてしまってすまないな…そんなに、時間はかけないと思う」
セシルの方も少し苦味のある笑いを浮かべて…気持ちを落ち着かせるためにコーヒーをまた一口啜って、息を吐いてから…話し始めた。
「…私自身としては…まず、素直に「羨ましい」と頷けなかった自分に衝撃を受けてしまったんだ。
貴殿に気兼ねした分も、なくはなかったと思うんだが…」
『…ううん、それは寧ろ私の方だと思う。
物理的な帰りやすさは、私はラフフェザーさんの比じゃないのに』
「ほんと、酷いこと聞いちゃってたよね」と、その時の自身のことを思い出してか、少し縮こまってすら見える同僚。
「…いや、良いんだ。おかげで、故郷のことについて、違う角度から考える切欠をもらったようなものだし。
…その後、こちらでも色々な経験をして、改めて考えたんだが…
どうも、私の故郷でのありようは、随分窮屈なものだったらしい」
『…それは、異能とかそういうことじゃなくて?』
「ああ…どちらかというと、出自とか、そちらの方かな」
そう答えるセシルの口元には一応笑みが浮かんではいるが、それは随分と渋みを帯びていた。
■セシル > 『…出自、かぁ…こっちでも《大変容》前から色々問題だったヤツだし、そう簡単に解決する問題じゃなさそうだよねー…』
「まあ、その中でも特にとんでもない隘路を進むことを選んだのは、究極的には私自身だったから、「こう」あること自体への不満はないんだが。
…そのせいで、色々なものを削ぎ落としていたのかな、とも思うんだ」
「こうして、気兼ねなく席を同じくして会話を弾ませるとか」と言って、軽く笑ってコーヒーの入ったカップに口をつける。
「「こう」あること」と表現したのは、女の身で剣で身を立てることを選んだことと並んで、この世界でも「王子様」ととられるような物腰のことでもあるだろう。
誰にでも真摯で、誠実で。
…一方で、誰にも熱を、心を寄せることもないという。