2015/07/26 のログ
ご案内:「学生通り」に『室長補佐代理』さんが現れました。
『室長補佐代理』 > 「適当に処理しといてくれ」
 
そう、男は背中越しに台詞を投げる。
薄笑いを浮かべて。左手で後ろ手を振って。いつものように。
調査部別室として内偵を進めていた、とある監視生徒の身柄を執行部に引き渡した夕刻。
男は、いつものように……嗤う。
笑う男の背中に、監視生徒の罵倒が届く。
執行部の黒服共に引きずられながら、罵詈雑言を男に投げる。
だが……その声は、男に届かない。

『室長補佐代理』 > 男を呪う罵倒が続く。影を詰る慟哭が続く。
力を持つが故、監視対象となり、力を持つが故、捕縛対象となった生徒。
無論、言いがかりではない。正当な理由に基づいた捕縛だ。
だが、その生徒にはその生徒なりの事情があり、言い分があったこともまた事実である。
故に、その罵声は続く。その糾弾は続く。
それでも、その声は、男に届かない。
そのような『日常』は、男を振り向かせるに値しない。

『室長補佐代理』 > そう、これは『日常』だ。いつものことだ。
公安委員会調査部にとって当然の仕事であり、当然の責務である。
故に男は疑わず、故に男は阿らない。
『そう』なったのなら、それは『そう』としかならない。
これはたったそれだけの事であり、それ以上にもそれ以下にもならない。
正義は誰かの信仰であり、何者かの定義した相対でしかない以上、そこで相、対すれば、『そう』なるしかない。
故に男は振り向かず、故に男は、顧みない。

『室長補佐代理』 > 天を貫く絶叫は、朱の紅空に突き刺さり。強か滴る残光は、赤く流れる血が如く。
真っ赤に染まる夕日を背に、路地裏に消えていく。
これもまた、『日常』でしかない。
大捕物の後に学生街の表通りを『公安』が歩くのは忍びない。
かといって、終わった途端に腕章を取るのは見ている市民に不信を与える。
なら、折衷案はまぁ、せいぜいこの辺りとなる。
治安維持のため、市中警邏の見回りがてら、といった手前を下げれば、『不信』とは誰も言うまい。

ご案内:「学生通り」に平岡ユキヱさんが現れました。
平岡ユキヱ > 「…学生街には随分と、不似いな絶叫だな」
建物の壁に背を預けて休んでいた女子生徒が、表通りを闊歩する男に声をかけた。
腕には風紀の腕章が堂々と掲げられている。
風紀と公安で共同調査もないでないが、今回はそうでもなさそうな事にやや不満か。

「それともお前らの趣味か? 感心せん」