2015/08/08 のログ
ご案内:「学生通り」に佐伯貴子さんが現れました。
佐伯貴子 > (夕方である)
(人通りはまだ多い)
(本日の任務は主に聞き込み)
(フードをかぶった人物について心当たりはないか、画像を見せながら聞いている)
(特に何をした人物というわけではなく、人探しの体である)

佐伯貴子 > (昨日ライガに慰められたとはいえ、逆行催眠で自分が見た人物も「フード」をかぶっていた)
(何か関係があるのかもしれない)
(とは言うものの、真夏でもフードをかぶった学生は案外多い)
(その多くは異邦人だ)
(「人間」の中で上手く生きていく術なのだろうか)
(自分はもう何でも見慣れたので気にしないが)

佐伯貴子 > 収穫はなさそうだな…
(顔写真があるならまだしも、フードとは顔を隠すためにあるのだ)
(聞いて回っても「よく見るよ」とか、)
(「あいつだよ」と言われて調べてみると普通レベルの能力者だったりだとか)
(砂浜で砂つぶを探すような話であった)

ご案内:「学生通り」に蘆 迅鯨さんが現れました。
蘆 迅鯨 > 夕刻の学生通り。特に目的もなく、ぶらぶらと歩く一人の少女がいた。
普段ならこの時間は歓楽街方面へ向かっていただろうその少女――蘆迅鯨は、先日怪我を負ってからというもの、歓楽街方面を避けて歩くようになっていた。
そして、彼女もまた――黒いフードで顔を覆っているのである。
しばらく歩き、見知った顔の風紀委員が何やら聞き込みのような事をしている様を目にすると、すぐさま建物の陰に身を隠し、様子を窺う。
「(あいつ……佐伯貴子、だっけか。今度は何やってんだ?)」
その思考はテレパシーとして、またしても彼女に直接届くかもしれない。

佐伯貴子 > む…ダダ漏れだぞ、蘆。
(どこから聞こえてくるのかは分からないが、同じような場面に遭遇したことがある)
(その時は落第街だったが)
(どうやら危険を避けているようで何よりだ)
何やってるも何も仕事だ。
後ろ暗いところがなければ出てきたらどうだ。
(周囲を歩く学生には変人に映るかもしれない)
(もういいや…水着買うときに経験したし…)

蘆 迅鯨 > 「へいへーい」
佐伯の声を聞き、気だるそうな声と共に建物の陰から姿を現すと、
彼女の方へ向き直り、若干近寄る。
「仕事なのは見りゃわかるよ。だから隠れたんだし。んで、佐伯ちゃん今度は何やってんのさ」
聞き込みらしきことをしているまでは遠目に見ても理解できたものの、
詳しい事情まではまだわかっていない。改めて佐伯に目的を問うてみる。

佐伯貴子 > そっちにいたのか。
(振り返って近づく)
犯罪者でもないなら隠れるなよ。
ところでこの人物に見覚えはないか。
(携帯デバイスに映る白フードの人物を見せる)
(写りはお世辞にも良くないだろうし、顔はもちろん見えない)

蘆 迅鯨 > 貴子が差し出した携帯端末の画面に映し出されているのは、白いフードの人物。
どうやら自分を探しているわけではないようで安堵するも、
端末に映し出されている画像は画質も粗く写りもあまり良くない上、肝心の顔が見えない。
そもそも迅鯨はこの人物にまるで見覚えがなく、思い出そうにも明確な判断材料とはなりにくいだろう。
「ん?……誰だ、こいつ?悪ィ悪ィ、俺ちゃんちょっと知らねえかもだわー。タハハー」
素直にそう告げる。この場で嘘をついても迅鯨に得はない。

佐伯貴子 > まあそうだろうな。
見覚えがあったら逆に怪しいくらいだ。
(苦笑しながら)
ところで君のテレパシー、故意ではないようだが…
「たちばな学級」に通っているのか?
(なんとはなしに聞きながら携帯デバイスをしまう)
(異能を制御できない生徒のクラスのことは知っている)
(差別するつもりはないが大変そうだなあと思う)
(自分も自分の異能で苦労した身なので)

蘆 迅鯨 > 迅鯨は、自身が『たちばな学級』に通っている事を外部の生徒にあまり公言したがらない。
しかし向こうから問われたのであれば、隠さないわけにもいかず。
「……そ。たちばな学級な。……タハハー、やっぱ佐伯ちゃんは鋭いねー。俺ちゃん、佐伯ちゃんには嘘つけねーなー」
肯定したのち、笑って誤魔化そうとするが、その声は若干暗い。
「俺ちゃんの異能さ、ヒトの頭ん中にテレパシー送るのはできても俺ちゃんが受け取るってのはできねーし、元々あんま俺ちゃんの意思でどうこうできるモンじゃねーけど、眠ってる時は完全に制御できなくなるしで、結構大変なのよ。この前も歓楽街のほうで……いや、この話はいいさな。あんまヒトに心配かけたくねーし」
加えて、自らの異能――『夢見るままに待ちいたり<ウェイツ・ドリーミング>』の特性について、改めて簡潔に説明を試みる。

佐伯貴子 > 一応問題児扱いしないようにと、表面上は知っているだけだ。
(学園内でも知名度は低いように記憶している)
(その担任の蓋盛教諭は大した人物なのだろう)
ふむ…それは大変な能力だな。
だったら素直に生きたほうがいいんじゃないのかな。
欲望のままに…とは行かないまでも、隠れるとかはしないでさ。
(こういう説教や提案は聞き飽きているだろう)
(しかし自分も一歩間違えばそうなっていたかもしれないのだ)
(何か力になってあげたくはある)

蘆 迅鯨 > 「ふんふん……」
下顎に片手の人差し指を当てて時折頷きつつ、佐伯の言葉を聞き。
「そうかなー。俺ちゃん、欲求には割と忠実なほうなんだけどね。タハハー。んでもやっぱさー……正直、怖いって思う事はまだあるんだよな。だってよ、自分の考えてる事が伝えたくない相手にも全部まるまる伝わっちまうんだぜ?隠れんなつったってさー……」
やや早口気味に語る迅鯨は、いつものような笑顔は見せず、若干俯いていた。
「……そいやさ。佐伯ちゃんは異能とか持ってんの?」
顔を上げ、佐伯に対してもう一度問いかける。
自身に対してそのようなことを言えるのだから、彼女ももしかしたら自身の異能について何か悩んでいる事があるのかもしれない、と思った。

佐伯貴子 > 君は偉いと思うぞ。
怖いのに遊び歩いているんだからな。
私だったら引きこもりになっていただろう。
(真顔で言う)
(器用に嘘をつける性格ではない)
私か。
「他者の異能・魔術を強化する異能」だ。
これのお陰で実験体にされていたこともある。
(隠し事ができない相手に隠し事をするのはフェアではない)
(だから正直に言った)

蘆 迅鯨 > 「遊び歩いてんのに偉いって?冗談。タハハー」
などと笑ってみせていたものの、
「実験体、ねー……なるほど。そういうわけか」
佐伯の口から発せられたその言葉を聞くと、迅鯨の表情がひときわ真剣になる。
なぜなら、彼女もまた。
「俺ちゃんもさ……たぶん、佐伯ちゃんと同じようなコトされてた時期があんだよ。コレは話せばちょっとばかし長くなんだけど……聞いてくれる?」
長話を好まない相手を、決して明るくはない話に長々と付き合わせるのは迅鯨の望むところではない。
従って、詳しい話をする前に一度確認をとってみる。

佐伯貴子 > ほう…それは…大変だったな…。
(言いながら移動する)
(人通りの少ない場所へ)
(テレパシーの範囲がどれほどかは分からないが、声が聴こえることはないだろう物陰へ)
(相手がついてくれば真剣に聞く構えを取るだろう)

蘆 迅鯨 > 物陰へと向かわんとする佐伯に同行し、ある程度互いの準備が整ったところで、彼女の顔をまっすぐに見据えると。
「最初は俺ちゃんに今の異能が現れる前の話からだな。そこから話したほうが、たぶんわかりやすい」
そう前置きをした上で、迅鯨は自身の過去について話しはじめる。
「まず俺ちゃんな、本土じゃなくて外国の生まれなのよ。名前聞きゃわかると思うけど。でも中国とか台湾とかそのへんでもないんだナ。親がそっち系なだけ。つっても、両親ともとっくに死んだけどね」
いつものような早口ではなく、聞き取りやすいようにある程度話す速度は抑えて。
「で、俺ちゃんの母国ではある計画が進められてた。身寄りのない10代の子供の身体能力を強化して、身体に障害があるやつには機械の義肢とかも付けて、軍隊とか警察とかで戦力として使おうっつーやつだ。当の俺ちゃんも親が死んだからってその実験のための施設にぶちこまれてな。カラダの強化と一通りの軍事訓練を受けて、それからは戦場の、それも最前線に送り込まれる日々が続いた。ここまではオーケー?」
まるで創られた物語の語り手のように、流暢に話を進めていった後、
話の内容が飲み込めているかどうか、佐伯に確認をとる。

佐伯貴子 > つまり君は大陸系だがそっち出身ではなくて…
戦力としての改造を受けたわけだな。
(自分とは違う利用のされ方だ)
(持って生まれた能力ならまだしも、後天的に植え付けられた能力)
(それで明るい表情を出せているのだから)
やはり君は偉いよ。
(それだけ言うと続きを促す)

蘆 迅鯨 > 「ウンウン、やっぱ佐伯ちゃんは理解が早くて助かるわー」
と若干笑みを浮かべつつも、話の続きを促されれば真剣な表情へと戻り。
「んで、問題はここからだ。俺ちゃんは戦場の最前線で銃とか持って戦ってたわけ。そうなると当然敵は殺すし味方も傷ついたり死んだりするワケよな?そういう生活が何週間、何ヶ月、それ以上と続いて……ヒトはどうなっちまうと思う?佐伯ちゃんならわかると思うケドさ」
自分から話してしまってもよいが、あえて問いをかける形をとった。

佐伯貴子 > ただ真剣に聞いているだけだ。
私は味方が死んだことはないが…いや、味方だけを殺してきたのかな?
ともかく…まともな精神ではいられないのは確かだな。
(人を殺すということは自分を殺すことに等しい)
(たとえ正常に見えてもどこかしら心は狂う)
(自分だって悪夢を見ることがある)
(そしてどうやら植え付けられた能力ではないらしい)

蘆 迅鯨 > 佐伯の言葉を受け、ようやく続きを話す。
「そ。俺ちゃん言っちゃえば限界になっちまったんだわな。そん時だよ、異能が目覚めて今みたいな体質になったのはさ。だってーのに、母国の連中は俺ちゃんのこの異能さえ兵器として使えないもんかって考えて、アレコレ実験に突き合わせてくれちゃったんだけどサ。全部ものの見事に失敗してやがんの。タハハー……」
乾いた笑いを浮かべる。その声は明らかにいつもの調子ではない。
「結局、俺ちゃん銃も持てなくなっちまって母国じゃお払い箱よ。この島に送り込まれたのだって、一種の厄介払いみたいなモンだわな。だから……もし『たちばな学級』やこの学園自体卒業できたとして、行くアテもねーんだよな。……悪ィね、こんな話最後まで付き合わせちまって」
いつもよりトーンの低い声で。暗く、救いのない話に付き合わせてしまった事を詫びる。
その表情もまた、曇ったままであった。

佐伯貴子 > (自分の過去を思い出す)
(随分と恵まれていたものだ)
(なにせ自分の命に心配はなかったのだから)
話したら気が楽になると思ったらそうでもなさそうだな。
(少し思案しながら)
なら「たちばな学級」に就職すればいい。
君なら生徒のことをよくわかってあげられるし。
この島から出る必要もない。
それに後天的に目覚めた能力なら失う場合もある。
お先真っ暗ってわけでもないだろ。
(片手で相手の肩を叩こうとする)

蘆 迅鯨 > 肩を叩かれ、その表情には少し普段の明るさが戻る。
一番の不安要素であった自身の卒業後の進路について、
自分だけではとても考えつかなかった答えを提示されると。
「なーるほど。俺ちゃんが『たちばな学級』の教師にねー……そりゃ考えたことなかったな。言われてみりゃ、そういう道があってもいいよなって気がするよ(迅鯨先生の個人授業……っつーとなんかエロいな。タハハー)」
少々邪な念が入り込みつつも、素直に納得し。
「そうなると、やっぱ話してよかったのかもなー。あんがと、佐伯ちゃん」
改めて、最後まで話を聞いてくれた佐伯に感謝の言葉を告げる。

佐伯貴子 > (交じるテレパシーに苦笑しつつ)
目標ができたのなら良かった。
ならとりあえず勉強だな。
仮にも教師になるなら学問を修めなければならない。
(お説教じみたことを言う)
なに、私は聞いていただけだ。
先を決めるのは君自身だ。
でも、私のアドバイスが君の力になればと思うよ。
(微笑んだ)

蘆 迅鯨 > 「やっぱそうだよなー。参ったなー、俺ちゃん頭使うの苦手だし」
身体能力の強化を受けている迅鯨は運動こそ人並み以上にはこなせるが、頭を使うのは苦手である。
ついこの前行われた試験の成績もギリギリのところであった。
「……でもまァ、なんとかなるか。んじゃ、俺ちゃんはそろそろ寮に帰るわ。貴子ちゃんはまだ聞き込みとか続けんの?」
他に用事もないのでそろそろ寮に戻ろうとしていることを告げつつ、念のため聞いておく。

佐伯貴子 > 学問は筆記だけというわけでもないだろう。
何かしら得意なことでもいいさ。
性教育でもな。
(真顔で言った)
ああ、もう少し聞き込みを続けていく。
もしかしたら自分が原因で起きたかもしれない事件なものでな。
帰り道は…気をつける必要はないと思うが、気をつけて。
(手を振りながら見送るだろう)

蘆 迅鯨 > 歩いてその場から離れようとしていたが、
「ふむ……」
自分が原因で起きた事件かもしれない、という貴子の言葉を聞き、一瞬立ち止まりつつも。
「おう。そんじゃ、またなー」
こちらに手を振る佐伯に対して、迅鯨もまた振り向きながら手を振りつつ、
改めて別れの言葉を告げた後、駆け足でその場を後にした。

ご案内:「学生通り」から蘆 迅鯨さんが去りました。
佐伯貴子 > (相手を見送る)
(たとえ聞かれても詳しく応えるつもりはなかった)
さて、彼女に幸せがありますように。
(誰にともなく祈りのような言葉をつぶやくと、大通りに戻る)

(当然のことながら何の収穫も得られなかった)

ご案内:「学生通り」から佐伯貴子さんが去りました。