2016/05/28 のログ
■シスター・アリミア > ありがとうございましたー。
あ、これ次から使える治療サービス無料券になりまーす。
あっ今回だけの特別ですよー。
(とびっきりの笑顔でお金を受け取る。ボロボロな他の看板なんかに比べてやけに券の作りは
しっかりしている。もしかしたらこれは元の世界から持ってきたものなのかもしれない。)
それじゃあ。ありがとうございましたー。
あなたに神のご加護がありますように。
(跪いて男子生徒の無事を祈る。
異世界の神の加護がここまで届くかは不安であるけれども。)
あっこれもサービスですから気にしないでくださいねー。
それじゃあ、またのご利用をお待ちしております。
(そういって頭を下げるとその大分厚かましいシスターはすたすたと歩いて行ってしまった。)
■金良 楽 > 「……なんだか不思議なシスターさんだったね」
相棒、ピートにむかってポツリとつぶやく
話しかけられたピートは、同意するかのように、パタリ
と尻尾を振るのだった
ご案内:「学生通り」からシスター・アリミアさんが去りました。
ご案内:「学生通り」から金良 楽さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に九条 沙夢さんが現れました。
■九条 沙夢 > ―――決してこれは、趣味でやっていることじゃあない。
そう、潜入手段を増やすための訓練なのだ。日常生活の中でやれと言われたって、絶対にやりたくはない。
心の中でそう呟くのは、白金の川が流れているかのような長髪と、まるで人形のような美貌を持つ女性―――
―――ではなく、久藤嵯督。
事の発端は、財団側の上司の一言だった。
『―――あなたさ、その体質って女の子になれちゃったりするの?』
それを肯定してしまったのが、運の尽きだった。
命令されてしまった。女体化を。そう、疑似的な性転換を。
そして、その修練を……
■九条 沙夢 > 擬態は完璧だ。骨格、肉付き、顔つき、表情……表面上の特徴は全て誤魔化すことが出来る。
……流石にどうしようもない部分は一か所だけあったが、これは最早語るまい。
それで、お次は中身をどこまで誤魔化せるか。
その辺りを歩いている学生に”わざと”ぶつかって、一言謝る。
「あら、ごめんなさいね。お怪我はありませんか?」
袖で口元を隠す……という、よくある仕草をしながら。
自分でやってて気持ち悪くなってくる。さっさとデータを纏めて、このクソ指令を終わらせなければ……
学生は顔を真っ赤にしながら『大丈夫です』と連呼して、俯きながら走り去っていった。
一介の学生に顔を見られるたびにイヤな顔をされないのは新鮮だったが、この状況を肯定できるほどの感動じゃない。
■九条 沙夢 > この服装と筋肉量は動きづらいことほかない。
いざと言う時は女体化を解除すればすぐにでも動けるが……擬態したままでは厳しいものがある。
どうにかしてこの形態での丁度いい筋肉量を計らわねばなるまい。
”和服美人らしい歩き方”を再現しながら、学生街を歩いていく。
■九条 沙夢 > 歩いていると唐突に、下駄の鼻緒が切れてしまった。
……まあ、これも演習の一部だと思って対処しようじゃないか。
おしとやかな女性とやらは、こういう時に
「あら、大変。鼻緒が……」
という具合に喋るのだと記憶している。
応急処置を行うために財布を取り出して、小銭入れを開く。
五円玉の穴に裂いたハンカチを通す手法があるのだが、財布の中に五円玉は入っていなかった。
どこかの店で崩してこなければ……と、けんけん跳びながら適当な店を探しに行く。
……この体だと、どうにもふくらはぎが突っ張ってくる。
■九条 沙夢 > けん、けん、けん、けん、ぶちっ。
(ちょっ―――)
もう片方の鼻緒も切れた。ああ、今日という日こそ厄日と呼ぶにふさわしい。
上手く受け身を取れずに、鼻っ面から地面に激突してしまった。
「あ、あらあら……う、うふふ」
膝を立てて顔を起こせば、赤い小川が唇をなぞる。
ハンカチを取り出して河口を押さえながら、よろよろと立ち上がった。
下駄は全滅、鼻血は全開、そして嵯督のプライド全壊。
ずりずりと鼻緒の切れた下駄を引き摺って、なんとかして見えてきたコンビニに手を伸ばす。
ご案内:「学生通り」に真乃 真さんが現れました。
■真乃 真 > コンビニへ伸ばした手の間に一つの影が割り込んできた。
「そこの君大丈夫かい?」
道の前の方から男が心配そうに駆けて来た男だ。
首の長いタオルがやけに目立つ男だ。
「うわー…。血でてるじゃないか…。ティッシュ使う?」
ポケットティッシュを取り出しておしとやかな女性に手渡そうとする。
■九条 沙夢 > 特徴的な白いマフラータオルを見れば、一目瞭然。
話しかけてきた男のことを、付き合いは無かったにしろ風紀委員の資料で知っていた。
性格面だけで言うなら全く気が合いそうにないというのが正直なところだが、
今回ばかりはこの出会いに感謝しよう。これ以上長くこんな無様な姿は晒したくないのだから。
「え、ええ。いただくわ」
丁寧に一礼した後、ポケットティッシュをそっと受け取る。
一枚取り出せば鼻周りの血を拭い、もう一枚を鼻の穴に捻じ込んだ。
「助かりました。どうもありがとう、ヒーローさん?」
『とりあえず相手の喜びそうなことを言え』……大和撫子の心得(上司談)。
ポケットティッシュを返しながら、相手を立てる言葉を選んだ。
ここで首をちょっとだけ傾げるのがコツ。
■真乃 真 > 「いやあ、災難だね!まさか下駄の鼻緒が両方とも切れるだなんて!
新品みたいなのに運が悪いね!」
見たところ古くなっていたとかではないようだった。
履きなれてなくて変な履き方をしていたのだろうか?
「いや、ティッシュ渡しただけでヒーローってそれは言い過ぎだよ。
それでヒーローなら世界はあまりにヒーローだらけだよ!」
満更でもなさそうな感じで言う。
しかし、この女性その動作と見た目が合わさってなんとなく作り物みたいな不自然さのようなものを感じた。
「どこに行くところだったんだい?おぶっていこうか?」
だが、そんな感じなど気にもせずに相手を助けようとする。
全くスマートでない方法で。
■九条 沙夢 > 「ええ本当。ついこの間買ったばかりだったのに……
明日は雪でも振ってくるのかしら?」
十中八九、歩き方に無理があったのが原因だろう。
女体化状態でこんなに長い時間歩いたのは初めてのことなので、そこで無理が出てきたか。
「あら、別にヒーローだらけでもよろしいのではなくて?
だってあなたみたいに迷わず人に手を差し伸べてくれる人がいるなら、その人はもうヒーローでしょう」
クスリ、と微笑みながら。
言い訳がなければ何も出来ないようなどこぞのヘタレとは違って、と心の中でつぶやいた。
「ええ、ちょっとそこのコンビニに。
い、いえ!何もそこまでしていただかなくても……」
両手を前に突き出して、全力で遠慮する。
おぶられる。ということは、胸のアレを当ててしまわなければならないということ。
男として自分が当てられる分には全然平気なのだが、女の身としてそれに甘んじるのはどうかと思う。
「ご、五円玉が四枚あればいいの!
ほら、ハンカチと合わせて、鼻緒を結ぶから……両替だけ、ね?」
おもむろに十円玉を二枚取り出して。
■真乃 真 > 「そうかな?でも、やっぱり僕にはヒーローはまだ名乗れないかな…。
手を差し伸べることができても助けるだけの力が足りないならどうしようもないからね。」
そう、力が足りない。自分の力では見える全部を助ける事は叶わない。
それなら、自分に見える範囲を削るしかない。
「おっと、そりゃあそうだ流石に初対面の男子に背負われるのは抵抗あるよね!気がつかなくてごめん!」
流石にこんな人中で背負われるのは気恥ずかしいものがあるのだろう。
もし自分が背負われている場合で考えると確かに恥ずかしい。
「なるほど、ラブコメとかでよく見るあれだね!」
財布を開くと5円玉一枚と50円玉一枚を取り出してそれを渡す。
「ごめん!五円が一枚しかなかったからこっちで勘弁してね!」
おそらくどっちでも行けるはずである。
■九条 沙夢 > 「……そう」
よくわかっているじゃないか、とは思ってても言えるはずがなかった。
目の前の男が力をつけようとしているのか、それとも目を反らしているのかはさておいて。
差し出されたのは5円玉一枚と、50円玉一枚。
「勘弁だなんてそんな、私がいただいてばかりなのに……!」
硬貨二枚を受け取って……よーし、よくやった。これでやっとまともに歩くことが出来る。
一枚では耐久性に不安が残るが、四の五の言ってはいられない。
何より自分自身が、貰ってばかりでいることさえ耐え難いが故に。
ハンカチを二度裂いて、二本のひもを作り出す。
それを硬貨の穴に通して、それをストッパー代わりに下駄の底からひもを通し、鼻緒と結びつける。
女子らしからぬ早業で、これを二回繰り返した。
「わたくし、九条 沙夢《クジョウ サクラ》と申します。
この御恩は一生忘れませんので、またお会いすることがございましたら……恩返しをさせてくださいね」
両手を前に持ってきて、深々と一礼した。
■真乃 真 > 「まあ、力があっても困ることはないだろうしボチボチ強くなっていくよ!」
力があるものの苦労とかは特に知る由もない言葉である。
それにもし、視野を狭めていったとして、いつか、いつかはそこに自分の手が届かないものが
飛び込んでくることがあるだろう。自分の目の前にいるのにどうしようもなく届かない。
そんな思いはしたくない。
「こっちこそそんな気にしなくてもいいよ!僕が勝手に助けてるだけなんだし。」
いやいやと大げさなジェスチャーで否定する。
「はあ、器用だね…。こういうの慣れてるんだね。
ああ、こう裁縫とかするんだね!」
見た目のイメージとは異なる早業に意外に思うけども
なるほど、裁縫が趣味なら糸とか使うから紐の扱いも手馴れているのだろう。
勝手に納得する。
「僕は真乃真、一生忘れませんて…流石に大げさすぎるよ!
そこまで、気にしなくてもいいからね!?」
たかが55円とティッシュで一生忘れないとかどれだけなのだろう…。
見た目の通り義理堅い性格なのだろう。
「それじゃあね。九条さん!また会えたらその時はよろしくお願いするよ!」
無事に下駄の鼻緒が直ったのを見届けると手を振ってどこかに走っていく。
どこかに困ってる人でもみつけたのだろう。
ご案内:「学生通り」から真乃 真さんが去りました。
■九条 沙夢 > 「乙女の嗜み、ですから」
乙女でなくとも嗜んでいることは秘密だ。
「いいえ、受けた恩は絶対に忘れないと心に決めているので!
ではまたお会いしましょう、真乃さん」
小さく手を振って返して、予想外の方向へ転がった演習へ戻っていくことだろう。
(―――しまった! 女体化する理由、増えてんじゃあないか!)
そう、結果的にではあるが……嵯督の受難は続くこととなる。
ご案内:「学生通り」から九条 沙夢さんが去りました。