2016/06/16 のログ
ご案内:「学生通り」に鬼灯 怜奈さんが現れました。
鬼灯 怜奈 > 「マズッたよなー……昨日のウチになんか買い溜めしとくべきだった……。」

24H営業のスーパーマーケットは当然のように人通りが少ない。彼女はひとり、眠そうな目でカートを押す

鬼灯 怜奈 > 昨日は学校をサボってから丸一日、ゲーセン、カラオケと遊び歩いて朝方に帰宅。
目が覚めれば深夜も深夜だ。日付も更新後。
淀んだ頭で冷蔵庫を開ければ。あまりに広々とした空間が広がっており、適当なジャムやマーガリンの瓶だけが鎮座していた。
流石にそのまま食すには、心が「そこまで貧しくない」と主張する。

「……めんどくせェー。」
つい先ほどのことを思い出し、悪態を付く。

鬼灯 怜奈 > カップ麺コーナー。
赤いパック。青いパック。黒、緑、黄色と色とりどり。
にもかかわらず、安っぽいパッケージは鮮やかとは縁遠い。

「……。」
流石に二日連続インスタントはダサい。そう言いたげに横切った。

鬼灯 怜奈 > 何もない魚コーナーを通り過ぎ、野菜コーナーも素通り。
牛乳をカゴに2つ放り込んだら、適当に豆腐と漬物をカゴに押し込んでさらに奥。惣菜コーナーへ。

この時間の弁当やおかずは、学生には強い味方だ。
半額シールでデコレートされたパッケージは、怜奈の目にはオパールのネックレスよりも高尚に映る。
それもうなぎ丼だ。これでテンションが上がらない人間はいない。
手を伸ばそうとした矢先……。

?:「待て!」

鬼灯 怜奈 > 示し合わせたように集う男たち!女もいる!
作業着のおっちゃんや、夜勤中のオフィスレディ!色々だ!

?:「また会ったな赤毛の女! 今日こそはお前に勝ち! 俺は半額弁当を手に入れy……。」
怜奈:「ッるせー!」
?:「!?」
作業着のおっちゃんが喋り終わるのを待たずに殴り飛ばし、おっちゃんは見切り品の調味料コーナーのカートに叩き付けられる!

怜奈:「アタシんだぞ! コイツは!」

見えを切る怜奈に飛び掛かるオフィスレディ!その背後でスケボー小僧と爺さんがシノギを削る!
そう、このスーパーは半額商品を手に入れるため、財布に心もとない戦士たちが集うバトルマーケット!

鬼灯 怜奈 > いつの間にかスーパーの入り口に設置された回転灯は猛々しく光り輝き、一大イベントの開戦を告げる!
殺到する戦士たちは"食欲"という人間の本質をさらけ出し、夜ごと己の意地を賭けて戦うのだ。
編集した映像はソフト化されており、異邦人街でコアな人気を誇っているという。

怜奈:「しつっけーんだよ! テメーはそこのおにぎりで十分だろ! 閉経ババア!」
オフィスレディ:「なっ……! アナタ少し若いからって! 上司に尻を撫でられたこともないくせに!」

タイ映画のノースタントアクションめいた激しい攻防!
全盛期のジージャーを髣髴とされるほどだ!
しかし拮抗していたのは僅かの間。カートを踏み台にし跳ねた怜奈の回転蹴りが、オフィスレディの肩にめり込む!

怜奈「ったく……。 オラ! どけェ! これはアタシんだからな!」

野獣のような咆哮が、自然と道を作り上げる。
誰もが戦いを止めた。勝敗は決したのだ。
戦士たちはその背を見送るばかり。はやしたてるギャラリーを邪魔そうにあしらい、彼女は店を後にした。

鬼灯 怜奈 > 後日、常勝無敗を誇る彼女にファンサイトがつくられた。
人づてにて知った怜奈が楽しみに覗くと、"常勝無敗の赤いオーガ! 誰がこのモンスターを止められるのか!"との見出し。
あまりのショックにしばらく店に通うのはやめたという

ご案内:「学生通り」から鬼灯 怜奈さんが去りました。