2016/06/29 のログ
ご案内:「学生通り」に世永明晴さんが現れました。
世永明晴 > 世永明晴は異能者だ。例えその異能自体が満足に扱えずとも。
例えその異能を制御できずにいるとも、異能者であることは間違いない。
だからこそ、世永明晴は目を覚ました。

眠りに落ちた時から、シーンが切り替わるように、それは見知らぬ風景に映る。少しだけ困惑したように周りを見渡した。
日が少しだけ落ち始めている。……なんのことはない。
ここは学生通りの往来だ。それと、見知らぬ多少の満腹感。
こうなってからというもの、少しだけ現状把握能力が上がったように思う。

「……まー、いつも通りっスか」

世永明晴 > 喉が渇いた。
何故ここにいるのかわからない。帰り道だったのだろうか。
今日は一日講義だった。ほとんど覚えていないが。


ため息をつく。喉が渇いた。財布を取り出そうと、ジーンズに後ろでを伸ばした。
硬直する。あるはずの感触がない。

(……まぁたやったな俺……!)

咆哮しそうだった。

世永明晴 > 財布がない。なんということだ。
そう数が多い事ではないが、たまに。今までに数度、こういったことがある。財布に限らずだが。
いい加減覚えろ、とも思うが、自分で制御できない物を、どうしろというのだ。

覚えがない場所を探すことほど、無謀なことはない。
しかも、この学園中を。
とりあえずは……まぁ。目先の選択肢。自分が覚えている景色。
それは、まぁここである。周りを非常に困り果て乍らも見まわしていた。

世永明晴 > (えー……あー……)

ない。みつからない。
あるわけがないこともないが、今はない。
ともかく今はない。
こういう時、何処に届ければよかったか。そちらを考える方がよほど建設的とも言うが、どうしてだがこういう時、目先のあるかないか分からない可能性の方にかけようとするのかは、相変わらず人間の不思議か。
それとも自分だけか。

(風紀……? 公安だったっスっけ。……いや、公安はなんか違うか。怖いし)

益体もないことを考えながら、見回す、探す。歩く。

ともかく、今は財布がない。

ご案内:「学生通り」に沈目 言正さんが現れました。
沈目 言正 >  
 ホットパンツにタンクトップ。
 栗色の髪を結わいだ少――女だろうか。
 ボーイッシュな少女 ないし ガーリーな少年にみえるような幼さの強い誰かがふと、そこを通って見かける。
 沈目言正。公安委員。通称エルピス――頭に色々なものが付くこともあるが、概ねそう呼ばれる存在だ。
 
「――ん。」

 ……右往左往している。
 気が付けば近寄って、声を掛けた。
 
 

世永明晴 > 「……ん……あいっス?」

なんだ。声をかけられた。自分に? 誰が。この……少女に?
(誰だ?)
頭をかく。そちらへ向く。

覚えがない。自らに声をかける存在に覚えがない。
ならば、あれだろうか。視野が狭い。選択肢は複数と浮かばない。

「……あー。えぇ、っと。……もしかして、オタク、俺の知り合いっスか?」

寝てる感じの、と付け加えた。殊更に奇妙な質問だった。
よくよく考えなくても、そうでなくとも声をかけるのは。
この状態なら、可能性としてはなくはないだろうに。

沈目 言正 > 「いや、違うと思うけれど……」

 すぐに小さく首を振る。
 委員会でも講義でも見覚えがない。

「えーっと……困ってるのかな、って……」

 少々の迷いだろう。言いよどみながら思ったままを口にする。
 どうにも寝ぼけた感じの人だなぁ、と、ちょっとだけ思いつつ。
 
 

世永明晴 > 「ん。……そっスか。よかった」

それなら結構。迷惑をかけるであろう自分は存在せず、こうして目の前の相手は、自分を自分と認識している。

しかし、さて。
困っている。非常に自分は今困ってはいる。
また、頭をかいた。

「……気を遣わせちゃいましたっス? まぁ、困っちゃいるでス。なぁに、財布を落としたぐらいで……ハ。ハ」

喉が渇いているところに、乾いた笑いなんてそれはもう無益すぎる。
しかし、見れば見る程この目の前の人物の性別は分からなくなるのはいかがなものか。

沈目 言正 > 「あー……財布が脱走しちゃったんだ……」

 左手で頬を掻きながら、共感と同情を浮かべる。
 財布を落としたのなら一大事だ。公安委員としては微妙に管轄外だが――
 だからと言って放っておかなきゃダメって訳でもない。

「……どの辺まであったとか覚えてる?
 後、中身とか……学生証とか落としちゃったら再発行しないといけないし……」

世永明晴 > 「どんな言い回しでスか」

脱走。脱走か。それならばいつの間にかに減っていく自らの財布の中の現金も脱走と同意だろう。たまったもんじゃない。大体自分のせいだというのが憎たらしい。

「どの辺まで……」
強いて言うなら午前の講義が終わる間際、そこまでは自分で起きていた。財布もあった。しかし……この覚えのない満腹感からいって、どこぞで何かを食べたに違いない。そこで確実に財布は使われた。怪しいとするならそこだ。

それを言ってどうするか、というより。
どういうか、の方が問題である。

「……めんどうっスね」
説明もそうだが、彼女……彼。彼女? 何故ここ最近、呼び方に困る人物にしか出会わないのだ。
の言っていた通り、学生証の再発行についてでもある。

……。

「……どっかでなんか食べたんで、そこが怪しいっスね」
面倒になった。

沈目 言正 > 「え?ダメ?
 ほら、なくなるのが分かると大騒ぎだし……」

 そういう問題ではない。どっちにしても看守が仕事しないと言う問題でもない。
 ともあれ、それはとても不思議そうに小首を傾げただろう。

「見つからなかったら、僕からも話を通しておくよ。
 あんまり意味はないけれど、事情聴取された時にちょっとマシだと思う。」

「うぅん、覚えてないんだ……
 ……面倒だけど、やらないとお財布になっちゃうよ。
 そっかぁ、食べた時……食べたの覚えてないとちょっと難しいなぁ……
 ……生活委員さんの所にでも行ってみる?」

 コイツの方が夢見心地ではないか。
 そんなすっ呆けた言い回し。
 

世永明晴 > 「少なくとも……あんまり無生物には使わないっスかね」

苦笑。苦笑を零す。なんだか変な奴だった。

「いいスよ、別に。慣れてまスから」

事情聴取に慣れているというわけではない。ただ、まぁ……見つからないなら、見つからないことに慣れてしまっていた。
また苦笑。

「変な人」

手伝ってもらいながらこの言い草はなかろうが、けなしているわけでもない。ただ、危ういな、とも感じた。詐欺とか。

「生活委員……あぁ、そういう手もありましたっス」
「態々すいません。見つかって、いつか会ったらジュースでも奢らせてもらいまス」

それじゃ、と言い出して、歩き出した。
止まった。

「どこっス……」
生活委員。独り言は虚しく脱走した。

沈目 言正 > 「そっかぁ……
 ――慣れてるの? もしかして結構悪い人?」

 事情聴取に、と、受け取ったのだろう。
 ぢとっとしたような、訝し気な視線を注ぐ。

「…………。」

 へんな人、と、言い放たれられれば訝しげなまま首を傾げた。
 冷たく訴えるような所作だ何か。
 
「うん。楽しみにさせて貰うよ。
 ………ついていこっか? 委員会街なら良く行くから分かるよ。」

世永明晴 > 「アナタが思うままに」
「まぁ……なんもやってないっスよ」

少なくとも、自分は悪事なぞやっていない。覚えている限りは。
手を顔の前で振った。

「そんな目で見ないでくださいよ。悪い意味じゃないスから」
変な人ならそこら中にいまスしね。余計な言葉を付け加え乍ら、眠そうな目をこすった。もう十分寝ただろう、自分は。

「あー……。んん。……えー、と。……んん」

一人で向かえるものなら向かいたいのだ。それが一つの自衛だ。
だが、どうにも。

「……ハイ。おねがいしまス」

仕方なかろう。

沈目 言正 >  
「んー……」

  冗句や言い訳を手を替え品を替え繰り出してみせる彼を一通り訝しみ……
 
「そう言うことにするね。お兄さん。」

 納得したのか頷く。
 やっぱりぼんやりした感じだし、と、他意はなかったのだろうと。

「うん。それじゃあいこっか
 ……ぁ。折角だから名前とか、聞いていいかな?」

 

世永明晴 > 「助かりまス」

安堵したように息を吐いた。
だからこそ、少しばかりの恐怖もあるのだ。
そういう意味では、アナタが思うままに、は本音だ。
ある意味、先にあちらを知っていてもらったほうが、よほど気楽だ。

「あー、そう……でスね。世永明晴っス。どうぞよろしく」
別に覚えなくてもいい、等というつもりはない。
彼について行く。後は、いつでも自分でも行けるように。

沈目 言正 > 「僕は沈目言正。今の所公安委員だよ。
 そっちのお仕事回りではエルピス、って呼ばれることが多いね。」

 通称エルピス。頭には公安のカーテンやら、ヴェールやら、色々付く。
 表立って活動する類の公安委員、もしかすれば、名前ぐらいは聞いた事あるかもしれないし、ないかもしれない。
 縁が無ければ、気にしなければない程度だ。

 そのまま歩き進める。
 暫く歩けば、委員会街・生活委員会の区域まで辿り着くだろうか。

「……と、ここだけど……」
 

世永明晴 > 「公安。え、公安でス?」

今のところ、という点は気になるが公安のイメージからかけ離れていた。
漠然と、ではあるが……もっと怖い、いや、怖い。

「へ、へぇ……公安でスか」
イメージは崩れた。まぁ、別に些細な事か。
生憎聞き覚えはない。いや、あったのかもしれないが、ない。
名前からして、男性だ。本当にこの学園はどうなってるんだ。

ついていく。ついてきていた。
彼の歩く道をついてきたおかげで、どうにかこれた。

「どーも。お礼分が増えましたっス」

沈目 言正 > 「うん。公安だよ。
 ……あ、やっぱり不思議に思う? だからこそ、でもあるんだけどね。
 公安でも委員会だからね。怖くない公安委員もいるんだよ。って事みたい。」

 矢面に立つ分、危険もあるけどね。
 くすくす笑って、鈴のような声を転がします。
 甘い香りがするかもしれません。

「お礼なんていいのに、もう。
 ……大丈夫? 生活委員にも一緒に行く?」

世永明晴 > 「いや……。……人のイメージもすぐ変わっちまうもんでスから」
「アナタみたいな公安がいても、可笑しくはないんでしょう」
「それこそそういう事ならば、スね」

驚きはしたが、それだ。
一つの答えのような気もするし、ただの経験則なだけでもある。
それが崩されることもあるだろうとも、何となくわかってはいる。
喉が渇いた。

……本当に男性か? その疑念は、確かめなくてもいいものだ。

「借りというのは、返さなければ残る側にいつまでも残るもんなんスよ。どちらの意味でも」
いえ。苦笑しながら、首を振った。やはり変な奴だ。

「何を飲みたいかでも考えといてください」
手を振って歩きだした。ではまた。起きている時に。
生活委員会へ姿を消す。後日、財布が見つかったどうかは、またその時であろう。

ご案内:「学生通り」から世永明晴さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から沈目 言正さんが去りました。