2016/07/05 のログ
ご案内:「学生通り」にエトランジェさんが現れました。
■エトランジェ > それは昨晩のこと
「今日もだれも来ませんでした……
オーナーさんはどうする気なのでしょうね
私は楽でいいですけれど」
そういいつつ古書店【平穏和維】の閉店処理をしていた時である
夜に差し掛かろうというのに速達だと郵便が届く
見れば当のオーナーからであった
いつもの本が入っている荷物にして時間もおかしいし
そしてなにより本にしてはとても小さくそして軽かった
■エトランジェ > 毎度のことながら嫌な予感しかしない
そうして開けた箱の中にはエナメル質なあまり見ない服
それに短く端的なメッセージ
『あんまりにも本が売れていないのでこれを着て客引きでもしてください
このままずっと売れないでいるとクビかもしれません
追伸:活動報告もよろしく』
突然の死刑宣告がごとき通達に
おもわず目の前が真っ暗になった
■エトランジェ > そんなわけで彼女は学生通りに立っていた
網タイツにつけ襟つけ袖、胸元から背中ま大きく開いたレオタードそしてウサ耳
どこからどう見てもバニーさんである
おまけにふわふわのしっぽまでついていた
【平穏和維 こちら→】とかかれた看板を担いでぽつんと立ちつくしている
顔を伏せウサ耳がくんにゃりとたれているが
元が色白なこともあって顔が真っ赤であるのはすぐにわかる
ご案内:「学生通り」に山吹 冠木さんが現れました。
■エトランジェ >
「--店 へい----です
--くお---ます
さーびす-ます-ー」
時折顔をあげもごもごと何かいうが声が小さくて聞こえない
そちらを見る好奇の視線に耳まで真っ赤になる
なんだかこちらを嘗め回すような視線をかんじる気がする
あのひとをもう何度も見かけている気がする
などと頭の中ばかりぐるぐるとまわる
湯気が出そうだ
■山吹 冠木 > ある時は生活委員の仕事。
またある時は消耗品の買い出し。
またある時は予想もしない出来事。
常世学園を有するこの島では、学生通り一つをとってしても
様々な……本当に様々な出来事が起きているが。
流石に、これは予想外に過ぎた。
「…………あれ、確か……エトランジェ、だよな……」
呆気にとられ、通りにポツンと立ち尽くすその白い……
今現在は白いというか黒白? な姿に視線を向ける。
久しぶりに見掛けたが……まさか、しばらく見ない間にバニーさん
として再会することになるとは思わなかった。
いや、もしかしたら他人のそら似かもしれないが……
視線を集めまくっている姿を、人垣から覗きこむようにして確認しようとする。
好奇の視線が多いのは……それは、そうだろうか。
■エトランジェ > ああ…ああ……
ご飯の為とはいえ私はなぜこんな場所でこんな恰好をしているのだろうか
お母さんも草葉の陰で泣いていよう
それでも精一杯の声を絞り出し客引きをする
「こ―― いか―――か―」
だが声が出ていると思っているのは本人ばかりである
人が振り向き見ていくのも
縮こまろうとして何やら強調されているところだとか
プルプルしている(とくに一部が)ところだとか
微妙に前かがみで逆に突き出されたところだとか……
どう見ても目が合わない
「うう……」
涙がこぼれそうだ
■山吹 冠木 > 「…………」
物凄く気まずい。
近づいて分かったのだが、多分本人だろう。
辛うじて聞き取れた声で判断するなら……多分。
しかし、何がどうしてこうなっているのか。
縮こまっていても手に持ってる看板から何をしたいかは分かるが、
それが何故バニーに繋がるか分からない。
色々といっぱいいっぱいになっているようで、
見なかったことにするのはあんまりな気はするが…………
仕草や体勢や動きで色々強調されてしまってる別の部分に
周囲の視線がチラチラと向けられてる状況もあいまって、
はっきり言って非常に声がかけづらい。
衆人環視のこの状況で声をかけれるのはどんな度胸がいるか……
なんて思っていたら、記憶より潤んでいる赤い目がよく見えた。
思いきり泣きそうだし。
■エトランジェ > 「……」
ほろり
涙がこぼれる
オーナー恨みます……
なぜ最初がバニーなのか
せめてメイドさんとかほかにも選択肢はあったでしょうに
これはのんびり食っちゃねをした罰なのでしょうか
でもちゃんと商品管理とかしてましたよ
まわりがざわめき何やら声をかけようとするものの気配が見える
もしかしたら気づかぬうちに目があって魅了にでもかかったのか
だが本人はそんな様子に気づきようもなかった
■山吹 冠木 > …………ここは、腹をくくって声をかけてみよう。
これでも最近は色々あって多少は慣れた。
今更バニーさんになった同級生に声を掛けた位で
何かが悪くなったりすることもないだろう。
…………多分。
「……えーと、久しぶり、だな? 元気、だったか?」
無難きわまりない言葉で、涙を流すバニーさんに声をかけた。
■エトランジェ > 先を制されたからか、どこからか『チッ』と舌打ちが聞こえたかもしれない
こころなしか人だかりが減ったような気もする
ほかの人たちも声をかける機会をうかがっていたのかもしれない
そうやってかけられた声に顔をあげ
知人の顔を見れば
その顔に浮かぶのは安堵
……ではなく羞恥だった
「ぴ……ぴゃぁあああああ」
持っていた看板を目をつむったままフルスイング
たまりにたまった感情が
よりにもよって知人にみられるという醜態によりついに決壊してしまったのだった
■山吹 冠木 > 「元気じゃねえぶっ!!!?」
あ、なんか変わった泣き声だななどと
呑気なことを考えたら天罰が下った。
流石に看板をフルスイングされるとまでは予想できず、
当然回避出来る筈もなく直撃し、勢いのまま地面に叩きつけられる。
周りに残っていたギャラリーから僅かに
『うわぁ……』
という哀れみだか引いたのだか分からない声が聞こえたが、
それに構う余裕は全くない。寧ろこっちが泣きたい。
「な、に……す……」
バニーさんに殴り倒される経験は確かに稀有だろう。
幸運か不運かは意見が別れるだろうが
■エトランジェ >
「ふーふー……」
息を荒げ看板を斧のごとく構える姿は歴戦の戦士のようであったと目撃者は言う
それはともかく、何かを張り飛ばした感触にめをあけると
そこには地面に倒れ伏す冠木がいた
「……
はわわ
すいません!?」
しでかしてしまったことに頭から血の気が引くと、やっと冷静になったのか
駆け寄って膝をつきそっと頭をかかえると膝の上に乗せる
そしてせいだいに地面を舐めた顔面をハンカチで拭いた
一部にあった憐みだとか冷笑みたいな空気が
一斉にほの暗い感情にそまったような、そんな気がした
「もし……もし?
意識はありますか?」
と顔を拭きながら問いかける
■山吹 冠木 > これは、色々と、不味い。
手拭い越しにも分かる頭の下にある柔らかな感触だとか、
すぐ目の前にあるレオタードに包まれたものとよく見える不安そうな表情だとか、
顔がハンカチで拭われているとかで大体何が起きているか分かる。
分かってしまうからこそとても不味い。
体験としては嬉しいものだけど状況がまずい。
周囲から感じる気がするほの暗い気配は
寮に帰る前にフルートに命の心配をされそうな気がする。
「あ、ああ、だいじょ……」
言って体を起こそうとしたが……微妙に体に違和感があり、動きが鈍い。
……一体どんな殴られ方をしたんだ。全く思い出せない。
「……何があって、そうなったんだ?」
やむなく、口で疑問だけは聞いておくことにした
■エトランジェ > 「ああ……よかったです」
ほっと胸をなでおろす
「いえ…じつはお店が危ないので人を呼べそうな格好で客引きをしろって……
オーナーが……
!!」
と目が合いそうなところで衆人環視の真っただ中ということをおもいだし
勢い立ち上がる
当然膝枕の最中だった冠木はころんと落とされることになるだろう
「ああ!」すいません
た、たてますか!?」
■山吹 冠木 > 地面に転がされるが、多少痛みで動きにくいくらいで問題はない。
大丈夫だという代わりに軽く手を振って、ゆっくりと体を起こして、埃を払う。
「……オーナーも凄いこと考えたな……
けど、それで……その格好は不味くないか? 色々と」
人は呼べるかもしれないが、間違いなく違う意味で人が集まるだろう。
先程の様子から考えたら容易に想像がつく……客引きに人が集まりそうだ。
■エトランジェ > 「わ、わたしの御飯がかかってるんです」
現に人は集まっている、集まっているだけだが
しかし誘導できなければ何も意味はないのだ
そんな集まっただけの人たちの視線に彼女はおどおどとするばかりである
視線を避けようと
立ち上がった冠木の後ろに隠れるというか寄り添うというか
心なしか立ち位置が近く―――というか胸が押し付けられるような格好で
肩越しにそわそわと取り巻きを眺める
あたっていることにテンパっている彼女は気づいていないようだ
「せ、せめてお店の場所だけでも知ってもらわないと……」
ささやくような位置でつぶやく声は吐息が耳にかかるかもしれない
■山吹 冠木 > 「ご飯が掛かってるったって……」
と呟いた所で、痛む体に何か柔らかな感触が押し付けられてきた。
視線を僅かに向ければ……色々危険な状況過ぎて直ぐに逸らした。
体というか、二つというか。
迂闊な指摘の仕方をすればまた泣かせかねない。
ついでに言えば周囲の視線が…………色々な意味で危なすぎる。
彼女にとっては恥ずかしさ。
自分にとっては命の危機だ。
暫くの間月夜が続くことを切実に願う。
「っ!?」
小さな声音と息づかいに肩が跳ねるが、何とか内容に集中する。
場所が分かるように……場所。あと客引きをするにしても
もう少しやり方を考えないと……
「地図を書いたビラを配るとか、何か無いのか?」
少なくとも、バニーガールで客引きをしていたら、
ご飯どころかご飯にされかねない。
■エトランジェ >
「それです!」
体を離すとパンとてをあわせる
幸いにもいろいろなことには気づかなかったようだ。彼女は。
冠木の前にはねるようにして回りこむとその両手を取ってうれしそうにぶんぶんと振る
「そうだ!
よろしかったらけがの治療もかねてお店の方に……
お茶くらいしか出せませんが
その……手伝ってもらえるともっとうれしいですけど……」
と若干上目使いでたずねる
ついでに本も買ってもらえるともっと……というのは内緒である
■山吹 冠木 > ……どうやら、思いの外妙案だったらしい。
故郷で何かしら出し物がある度に、会場が分かりやすいよう
地図つきのビラが配られたりしていたのだが……
何の記憶が役に立つかわからない。
「え………………あ、分かっ、た」
乗り掛かった船であるとか。
柔らかな手に掴まれて、不意を打たれて驚いたとか。
前に飲んだお茶とお茶菓子の美味しさだとか。
バニーガールの刺激的な格好の上に上目遣いで危険だとか。
色々あるが、差し迫っては。
周りの暗い気配が危険ではすまないから、この場を離れたいということだ!!!
手伝いくらいなら何でもできそうだ!!!
■エトランジェ > とりあえずこの場を離れたいのはこちらも同じである
「わぁ。ありがとうございます」
手をぎゅっと握って胸元まで持っていき嬉しそうに笑う
胸に手が触れるか触れないかとやきもきするかもしれないが
まぁ結果を言えばさすがに触れることはなかった
「それじゃあこちらです
…って、場所はもう知っていますね?」
てへっとつないだままだった手を離し、こつんと自分の頭を小突く
ふらりとウサ耳が揺れた
そうやっててくてくと少し足早に細い路地に入る
お店は商店街の方でもさらに細い路地に入ったところ
立地的には歓楽街にほど近い場所だ
■山吹 冠木 > 続いた動きに思わず小さな笑みがこぼれる。
一瞬胸に当たるかと思った手の動きと言い、頭をこづく様子といい……色々驚かされる。
「ああ、何度かいったしな……妖怪の本が追加されてたらいいんだけど」
後について行きながら、僅かに期待をよせる。
先日、ヌシ様が液体状の姿で現れたのだ。
何があるのか分からない以上、調べてはおきたい。
■エトランジェ > 「ええと…日本の妖怪でしたら石燕の妖怪大全なんかがあったと思います
やまびこ なんかが載ってるやつですね」
どうやらあるようだ
古書の類になればその品ぞろえにレパードリーは島随一である
だてに洋館一階をぶち抜いてはいない
それにどうやら、さすがについてくる人影もいないようだ
あまり人が通らない路地だがほどなく目的地に着くことだろう
■山吹 冠木 > 「……あれ妖怪だったのか。
調べるなら買っておいたほうがいいか……?」
小さく呟く。
寮に帰ればフルートもいるから、調べものという意味では
学園より幾らかやりやすい。
図書室は貸し出しの関係もあり、中々ままならないことも
少なくはないからだ。
ちらりと後ろを見て……人影は来ないことに一息をつき、
目的地の館を目指す。
「……とりあえず、ついたら外で待ってるから着替えたらいい」
眼福かといえば頷かざるをえないが、
流石にそのままというわけにはいかないだろう……色々危険すぎる
■エトランジェ >
「えっと活動報告に写メも送らないといけないので……」
などとはいっていたものの
まさか後程バニーとツーショット写真を撮ることになろうとは冠木も思いもよらなかったことだろう
さらにエトランジェだけが写真に写っていないのを見て二度驚くかもしれない
もちろん治療からお茶の用意から会計までバニーである
きっと途中前かがみになったりもしただろう
いろいろ青少年にやさしくないことである
余談であるが
通りにいたやじうまたちは冠木がバニーさんに連れられて歓楽街(の方)へ向かったということしかわかっていない
なぜなら彼女の看板には店の名前しか書いておらず
声も小さすぎて聞き取れていなかったのだから
いかがわしい店にでも行ったのかな?
などと思われても仕方のないことである
まぁ、本人たちのあずかり知らぬことであろうが
■山吹 冠木 > 「……何かしら嫌な予感がするな」
写真を撮るのをぼんやりと見つつ、
後になにが起きるかも分からぬまま、手伝いに奔走するのであった。
その後。
寮の冠木の部屋に妖怪大全が一冊増えたそうな。
ご案内:「学生通り」から山吹 冠木さんが去りました。
ご案内:「学生通り」からエトランジェさんが去りました。
ご案内:「学生通り」にエトランジェさんが現れました。
ご案内:「学生通り」からエトランジェさんが去りました。