2016/07/31 のログ
ご案内:「学生通り」に高峰 司さんが現れました。
■高峰 司 > 「はぁ……はぁ……」
虚ろな目で夜の学生通りを歩く。
女子寮への帰路、メールを確認したら伊都波凛霞から『そっちに泊まりたい』と言うメールが来ていた。
OKの返事を出し、そのままふらふらと帰って行く。
その、途中で。
「うっ……うえぇ……えほっ……」
気持ち悪さが溢れかえる。
道の端に寄って、吐いてしまった。
理解出来ないものを見ると言う事が、ここまでおぞましく、恐ろしいとは。
ご案内:「学生通り」に烏丸秀さんが現れました。
■烏丸秀 > そんな司に近づく男が一人。
偶然か、はたまた必然か。
だが、男は躊躇しなかった。
「まるで、世界の終わりみたいな顔をしてるね?」
にこやかに、話かける
■高峰 司 > 伊都波悠薇。
彼女の思考は、常識では測れない。いや、寧ろ自分の思考が常識なのか怪しくすら思えてきた。
何が正しくて、何が間違っているのか。
何が真実で、何が虚飾なのか。
何もかもが曖昧に思えて、気持ち悪くて仕方がなかった。
「クッソ……下手な神よりもワケわかんねぇ……」
高峰司は召喚士。
様々な人外存在とビジネス的ではあるが交流をし、その性質を多く見てきた。
だが、その中でも伊都波悠薇は特級だ。
悪魔は比較的分かりやすい。利害関係で裏を掻こうとするだけだからだ。
特段に面倒臭いのは神。独自の視点から、独自の理論を展開するので理解が及びづらい。
だが、それでも、ある程度常識の範疇に収まる思考展開をするのがほとんどではあった。合理的ではあるのだ。
しかし、伊都波悠薇は、そこが大きく歪んでいるように思える。
視点が違うというより、同じチャンネルを開くのに必要なパーツが欠けているかのような……。
「うえぇっ……ごほっごほ、かはっ」
気持ち悪さがぶり返しまた戻す。
その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「烏、丸……テメェ、どのツラ下げて……」
き、と睨み付けるが、目に力はない。
ルーンガンドを構える事すら忘れている辺り、重傷なのが分かるだろう。
■烏丸秀 > 一応、これでも悠薇の事は気にかけている。
先ほど、彼女と司が接触した事くらいは把握できている。
と、なると……
「悠薇の事、かな。その様子だと?」
すごまれても特に気にしない。
司はある意味とてもわかりやすい女の子だ。
精神にダメージを受けている今、こちらとやりあうような選択肢は選ばないだろう。
多分。
■高峰 司 > 「……だったらどうした」
ルーンガンドを発動するために、魔力を励起……しない。
否、出来ない。精神的にかなりグラついているため、魔力の操作が上手く出来ないのだ。
つまり、この場では高峰司は年相応の女の子と大差ないのである。
「オマエ、アイツにご執心だったよな……アイツは、ワケ、わかんねぇぞ」
ぜぇぜぇと呼吸を整えつつ、時間稼ぎも兼ねて言葉を紡ぐ。
■烏丸秀 > 「うん、ワケが分からない? ――あぁ」
なるほど、と頷く。
そうか、彼女は知らないのか。
烏丸はくつくつと笑いながら言葉を紡ぐ。
「うーん、君、きっと前提が間違ってるよ、うん」
笑いながら告げる。
まるで、悪魔からの布告のように。
「あのね、伊都波悠薇は狂ってるよ。そりゃもう、完膚なきまでにね」
■高峰 司 > 「……は?」
伊都波悠薇は、狂ってる?
いや、それはまだすっと理解が及ぶ。狂人に常人の理論が通じないのは当然だ。
それこそ、伊都波凛霞と言う『良識ある人間』の反動で『常識の無い狂人』になる可能性だってあるのだろう。
だが、しかし。
「オマエ、それ分かっててアイツ欲しがってんのか……?」
狂人を欲するとは、どういう趣味なのか。
■烏丸秀 > 「そうだよ」
即座に肯定する。
彼は、愛している。
悠薇をこのうえなく愛し、欲しがっている。
「ボクは悠薇を愛している。彼女の全てが欲しい。
たとえ彼女がどれほど狂い、どれほど凛霞を不幸にし、そして己という存在を自ら壊してしまおうとも。
それを含めて、ボクは彼女の全てを愛するよ」
烏丸は笑った。
それは司をあざ笑ったわけではなく。
心から彼女を想う笑いだ。
「だってそうじゃないか。
何かが壊れ、狂う様は、見ていてこの上なく美しいものだよ?」
■高峰 司 > 「はは……アタシの見立ては間違ってなかったな。
オマエは根源悪だ。伊都波悠薇が狂人なら、オマエも大概狂ってやがる」
苦笑する。
ああ、あの二人は狂ってる同士お似合いのカップルになるのかもしれない。きっとその線が交わる事なんて永劫にないのだろうけれど。
だって、お互い相手を見ていない。一方通行の別方向を見続けているのだから。
そもそも、愛の前提がおかしいのだ。相手の破滅前提の愛など、倒錯的過ぎて怖気が走る。
「テメェが語る愛は、単にお気に入りのおもちゃで遊ぶようなモンだろうが。相互性の無い、一方通行の愛情……ケッ、反吐が出る」
まるで、自身を『次代の高峰』として使う事しか考えていなかった家族のようで。
心底、吐き気がする。
■烏丸秀 > 否定はしない、その通りだ。
烏丸もまた狂い、一方的な愛を悠薇に捧げようとしている。
一度受け取り拒否されたけど。
「――ま、何とでも言いなよ。
このままなら、悠薇は壊れてしまうだろう。ボクとしては、それでも構わないからね」
ふぅ、と溜息をつき踵を返す。
――司には、それなりに頑張ってもらわないといけない。
烏丸の為にも。
「精々頑張りなよ?」
それだけ言うと、踵を返し、雑踏の中へと消えていく
ご案内:「学生通り」から烏丸秀さんが去りました。
■高峰 司 > 「……テメェに言われずとも、アタシは凛霞を守るために頑張るさ」
ふら、と立ち上がる。
帰ったら、凛霞のケアをしなくてはならない。苦手分野だが、やるしかない。
最悪召喚獣の巫女に相手をさせよう。
そんな事を考えつつ、烏丸とは別方向に歩いていく。
そうだ、挫けてはいられない。
やるべきことは、山積みなのだから。
ご案内:「学生通り」から高峰 司さんが去りました。