2016/08/08 のログ
■カルマ > 「ラウニーちゃんか、え、初めて?それマ?
じゃ~転校生か新入生かな?」
彼はにこにこと笑みを絶やさず、楽しそうに会話を続ける。
そしてそこで初めて彼女の姿を気に掛けてみる。不審に思われないよう一応気を付けて。
彼女は、今まで見てきた人々とは違う印象を受ける。
特に銀色の髪は夜に映えるな、と感じた。
「そーだよ!あ、ラウニーちゃんは知らないんか。
今学校は夏休みなんだよ。俺は夏休みの課題をとりにきたってワケ。」
とはいえ彼は夏休みをあけた所で、滅多に登校しないのだが。
■ラウニー > 「…マ?」
なんだろう、初めて聞く言葉だ。
そして、無性に、イライラさせる。
しかしこちらでは当たり前の言葉なのかもしれない、と今日一日の記憶を探ってみるが、それらしい言葉は聞かなかった気がする。
服装といい、態度や言葉遣いといい、この人はきっとこの世界でも珍しい部類なのだろう。
「ああ夏休みだったんですか。通りで思ったよりは人がいないものだと……
課題?それは少し興味がある……あります。
例えばどんな?」
課題や勉強に対して学生は、拒絶感を持つものと、意欲を持つものの二通りに別れる。ラウニーは後者だった。
知識欲に負け、少し前のめり気味に質問を投げかける。
いつの間にか警戒を解いていることにラウニーは気づいていない。
■カルマ > 「マジ?って意味だよ」
さらっと説明をし、軽く笑った。
しかし本来の言葉の意味ではない。
しかもそれが彼女をイラつかせている原因になっているとはつゆほども知らない。
「課題なー、教科書写してこいとか、レポートとか色々あったよ。
正直かったるくねぇー?」
課題に興味があるらしい彼女に眉を軽くひそめる。
彼は心底興味なさそうな態度をみせた。
■ラウニー > 「はぁ……」
略語とは思いつかなかった。
マジという二文字を一文字に省略して何の意味があるのか
深く突っ込むことはやめておこう、と結論を不毛とする。
「そうですか。私は新しいことを学ぶのは好きだけど……
……まぁ、知り合いにも似たような奴がいるので、その気持はわからなくもない、ですが」
どうやらこの人からは学問についての情報を引き出すことはできないようだ。
仲間の顔を思い浮かべながら、気づかれないように溜息をつく。
軽く話しただけだったが、結構な時間が経っており、
気づけば家の近くの通りまで既に来ていた。
「あともう少しで家なので、この辺りで大丈夫です。
色々ありがとうございました」
特に名残惜しそうな顔もせず、ラウニーは別れを告げる。
■カルマ > 「おっ、勉強家なんだねーラウニーちゃんは。
知り合いも一緒なんだぁ?学校が賑やかになるねー。」
間延びした返事を返しながら、彼女についての情報を頭の中で整理していく。
この後にお茶でもと誘おうと思ったが、ここはぐっとこらえることにした。
「ん、もうついちゃったのか、んーんーこちらこそありがとね。
俺、話するの好きだから楽しかったよー!」
…ここが家の近く、ね。と心の中で呟いて。
「それに、学校について少しは詳しいからさ、聞きたいコトがあったら遠慮なく言ってほしいな。
携帯もってたら、よければだけどメールとかSNSとか、ど?」
教えてほしいと言いたげな顔をする。
■ラウニー > 「ん。私も、まぁ、楽しかった、です」
社交辞令と、本心を混ぜ込みながら言葉を紡ぐ。
家の近くに来すぎたかな、と思うが、杞憂だとする。
(まぁ何も考えてなさそうだし……)
彼女はカルマを、少しオチャラけた勉強嫌いの学生、としか認識していない。
もちろん腹の中に有るものなど微塵も感じ取ることはない。
「携帯……?ちょっと良くわからないです。
まぁ学生同士なんだから、いつか学園で会うこともあるでしょう」
元いた世界には、携帯電話はおろか、電話自体がなかった。
有るのは手紙だけだったが、この段階で家の住所を教えるつもりはラウニーにはない。
「さて、では。余り遅くなると師匠に怒られるので」
そういって彼女は小走りに駆けていった。
ご案内:「学生通り」からラウニーさんが去りました。
■カルマ > 「そっか、じゃぁ気を付けてねー!」
と彼女を見送った後に、
「……ケータイしらねぇ子だとは。」
と、低い声で呟いて、踵を返すのだった。
ご案内:「学生通り」からカルマさんが去りました。