2016/10/15 のログ
ご案内:「学生通り」に東瀬 夏希さんが現れました。
東瀬 夏希 > かつかつかつ、と地図を片手に歩く少女。
周囲を見渡しながら、ブツブツと言いつつ地図に何かを書いていたりする。

「……ここの路地は、入れば思ったより入り組んでいる。追い込まれれば危険だが、逃走時には使えるな」

先だって『司祭様』に言われた通り、地理把握をしているのである。
学園都市と言うだけあって、学生主体と言えど一個の都市として機能している。
つまり、思ったより道はややこしいし、人通りは多い。
ここで異端狩りを軽々に始めようものなら、確かに人目に付きすぎ、多数に鎮圧される危険を孕んでいた。

「(サンティアゴ……は、異端にしか反応しない。人の子に囲まれれば打破手段は精々ベオウルフ……それも遠距離攻撃手がいれば封殺の恐れがある。思ったより厄介な任務かもしれんな)」

学生の都市と言うのだから、講義時間中はもう少し人通りが少ないのだとばかり思っていたが……時間割の履修に自由度がある関係上、いつでもそれなりに人がいるようだった。
自分の想定が甘かったことを自覚し、歯噛みする。

東瀬 夏希 > 「(しかし)」

歩き回りながらしかめっ面をする。
ここを歩き回っている途中にも、何体かの『異端』を目にした。
吸血鬼、人狼、竜人その他……調べてみれば、人狼の教員もいるとの事だ。吸血鬼が店を営んでいるともあった。

「異端が、のうのうと……!」

目に暗い炎が宿る。
それでも堪えたのは、司祭様が『軽々に動くな』と言ったからだ。
その抑止がなければ、自分は即座に剣を抜いて襲い掛かり……そして、この学校の風紀委員とやらに鎮圧されていたであろう。
それを思い、司祭様に感謝するとともに、この学園都市に苛立ちを覚える。
これだけの『異端』が蔓延っている。それだけで、既に許しがたいことだった。

「…………」

しかめっ面を更に険しくして、つかつかつかつかと歩き回る少女。
……だが、ただでさえまだ若いのに、彼女の見た目はその平均より更に小さい。
よって、幼女が迷子になって意固地になっているように見えてしまうのは、本人にとって幸なのか不幸なのか。

東瀬 夏希 > 「……そう言えば」

ふと疑念が浮かぶ。
司祭様が言っていたので、無条件で風紀委員を『強敵』と認識していたわけだが。
……果たして、ここの風紀とやらは本当にそれほどのものなのだろうか。
異端を狩ると心に定めてから、実際に異端を狩ってきた数は10や20ではきかない。
先達の異端狩りに比べればまだまだとは言え、先達からも、司祭様からも一目置いて貰っている自分が、高々学徒の委員会に後れを取ることがあるのだろうか。
ある意味で異端狩りには関係ない、純粋な興味。
だが……。

「確かめようがないな、その為だけに暴れ回るわけにもいかん」

首を振る。いくら風紀委員の実力が気になるからと言って、わざわざそのために暴れ回ってしまうのでは本末転倒だ。
だが、実際に命のやり取りをしてきた自分が、学徒の委員会に苦戦を強いられる、もしくは負ける可能性があると判断された。
それが純粋に悔しかった。

東瀬 夏希 > 「(本当に優秀なのであるなら、異端狩りの方法も考えねばならん。主に『シャステル』での狙撃になるか……)」

業腹だが、本当に風紀委員とやらが自分を制圧するに足る戦力を有していた場合、ド派手に暴れ回るのは下策だ。
そもそも、自分は異端狩りの時になると周りが見えなくなる。
激しい憎悪で、視野が狭くなってしまうのだ。よく指摘されている欠点ではあるが、中々治らない。
否、最早治す事が出来ないと言ってもいいだろう。
この憎悪こそが、異端狩りへのモチベーションなのだから。
だが、通常の武器を使えば、近接での大立ち回りになってしまうのは必定と言う事になる。
それでは、もしもの場合本当に危ういのだ。

「(伝聞は当てにならん。どこかで、実際に風紀委員の、出来れば上位の使い手のレベルを確認したいものだが……)」

見たところ、ここはなんだかんだで基本的に平和な学園都市である。
だからこそ、それほどの使い手がいるかが疑問なのであるが……その疑問を晴らすに足る事案が発生する気配がなかなか見えなさそうなのである。

ご案内:「学生通り」に巓奉さんが現れました。
東瀬 夏希 > 「(司祭様の言葉を疑うわけではないが……逆に、風紀がそうでもないレベルの組織だったとすれば)」

普通に、自分が本気で立ち回れば撃退可能なレベルの組織なのだとすれば。
何のことはない、インノケンティウスの『異端迫害聖域(スンミス・デジデランテス)』まで使って、大立ち回りすればいい。
異端を誘き寄せながら、狩る。それだけの事。
つまり……いつもの、異端狩りだ。

巓奉 > 暇を持て余しかと言って暇を潰す当ても無くフラフラと練り歩く少女。
曰く『何か面白いことが落ちているかもしれない』との理由で。

そんな彼女だが大通りの軽食に目を奪われたり、カフェテラスのケーキに目を輝かせたりと実に自由気ままにしている。
するとどうだろう、前方に地図を片手に何やらキョロキョロしている赤毛の娘。

「ふうむ……これは何やら面白そうな匂いがする……。」

すっごく人が悪そうなにやけ面を一瞬浮かべ、どこかの潜入工作員よろしくスニーキングしつつ背後を取ろうとするだろう。

東瀬 夏希 > 「(異端は……狩る。それが私の全てだ)」

目に暗い光を宿し、決意を新たにしたところで……。

「(ん?)」

後方から気配を感じる。
そちらを振り向こうとして、しかし逡巡。

「(……マズい、こういう時どうすればいい?)」

自分は武器を構えておらず、現状背後を取られている状態。
……基本、今まで常に武器はどれか手元に持っていたし、自分から仕掛けるシチュエーションばかりだった。
つまり、悲しいかな『襲われ慣れ』していないのである。
これでまあよくも自信満々だったものだ、と言う話であるが、攻めかかる時には本当に自信があるのである。
ただ、ちょっと想定外の事になって困ってるだけなのだ。

「(……)」

更に少し悩み、敢えてつかつかと少し距離を取る様に歩いてみる。
本当に自分に意識を向けているのか、単なる勘違いか。これで大体わかるだろう。

巓奉 > 「(にゅふふ……その実力の程、検めさせてもらおうぞ!)」

少女は手を意味深にわきわきさせながらじりじりと目標ににじり寄ろうとする。
いや、していた。
付かず離れずの距離で目標が歩き出したのだ。

「(むむっ? 気付かれたか……? いやいや、そんなはずが……。)」

このまま後をつけるべきか、つけないべきか。
今この場で判断を下さなければならないと、本能で悟った。

──否、既に答えは決まっている。
少女は目標に向け駆け出した。

東瀬 夏希 > 「!」

唐突に、後ろの気配がこちらに向かって駆け出した。
こうなったらもう、自分を狙っているのは間違いない。
もしや何かしらの理由で任務がばれたか?それとも過去に狩った異端の関係者の報復か?
いくつかの可能性が頭をよぎるが、咄嗟に取った行動は単純だった。
振り向きざまに、ゲート魔術を起動。居合抜きに近い形で、自分の武器を空間から取り出す。

「ヘルシング!」

取り出されたのは一振りのブロードソード。
刀身には『Anti Heresy Holy Weapon Series Assault type「Helsing」』と刻印されている。
取り出すのが間に合うのならば切っ先を突き付け、間に合わないのならば柄で制するかそのまま襲い掛かられるだろう。

巓奉 >  
「ちょっ……こ、こんな街中でっ!?」

目標の行動に思わず声を上げる少女。
これが落第街や路地裏ならともかくここは学生街。
にも関わらずこうして己の獲物を抜こうとは!

少女は後に語った。
『肝を冷やしたが御立派様の活躍が見れたのは僥倖だった』と。

「ちょちょちょちょ~っと待ったぁ!!」

駆け出し勢いの付いた身体は簡単には止まってくれなかったが、しっかりと地面を踏み込む事で勢いを殺し切っ先が喉元に突き刺さる直前で制止させた。
勿論両手を上げて敵意が無い事を示しつつ。

東瀬 夏希 > そう、ここは往来。普通の常識があれば普通こんな事はしない。
……が、悲しいかな、夏希にはその常識がなかった。
と言うより、『誰かが襲い掛かって来たなら、場所を選ばず最大限の警戒をせよ』と言う戦場の常識の方が勝ってしまったのだ。
なので、明らかにこの場で明らかに浮いていることにも気付かず、詰問モードに入ってしまう。

「貴様、何者だ。何故私の後をつけた」

その幼い見た目にそぐわない、威圧感の籠った声、殺意の籠った瞳、そして獲物。
それらの全てが、この少女が見た目通りの人生を送ってきていないことを表している。
……常識の欠如も、端的にそれを表している。

巓奉 >  
「も、もー! やだなぁ! ほ、ほら! 私っ! 私だってー!」

何事かとざわざわと野次馬がこちらに視線を向けてくるだろう。
このままでは風紀に通報⇒風紀にお世話になる⇒カツ丼のコンボ待ったなしで。
それは少女にとっても都合が悪い事であった。
風紀に何故この騒動が起きたのか取調べされるだろう、賭けても良い。
『あの娘の胸部装甲が素晴らしかったので!』等と言えるだろうか?
言えない、言える訳がない。

咄嗟の判断で目標の知り合いを装い場所を移そうとするだろう。
突きつけられた切っ先にそっと手をやって己から外すように。

『た、頼むから! 私の意図に気付いておくれ!』

必死にアイコンタクトでアピールを試みている。
社会的信用を失いたくない一心で。

東瀬 夏希 > 「……?」

首を傾げる。
敵意はないように見える。と言うか、何か必死に訴えかける目をしている。
だが、まるで知り合いのように話しかけてきているのがおかしい。こんな知り合いはいない。
しかし、異端ではなさそうだし、敵意もなさそうだし……

「……人違いか?」

取り敢えずはヘルシングをゲート魔術で送り返しつつ、いぶかしげに問い掛ける。
……この少女、自分の行為が非常に浮いていることに事此処に至って気付いていないのだ。

巓奉 >  
「ま、まったくもう! タマちゃんったらおっちょこちょいなんだからぁ! お、おおおお騒がせしましたー!」

でっち上げの話をわざと大声かつ早口でまくし立てながら彼女の背を押してこの場を去ろうとする少女。
相手はこちらの意図を理解していなさそうだが、助かったと言える。
少なくとも社会的信用を失う危険性は無くなったはずだ。
場所を移し改めて彼女に語りかける。

「ふう、やれやれ……こんな街中で獲物を取り出すなんてどうかしてるよ。
 キミはアレかい、アレなのかい。戦場の住人かなにかかい?」

どの口が言うのだろうか己の行動は差し置いて相手を非難していた。

東瀬 夏希 > 「な、ちょ、私はタマなどではない!何をする貴様!」

言いつつも混乱しているのか背中を押されて移動。
そして、その後突き付けられた言葉には目を線にして返す。

「貴様が背後から襲ってきたのが悪いのだろう。
……確かに、往来でヘルシングを取り出したのは、マズかったかもしれないが」

一旦間をおいて、司祭様の教えを思い出して反省する。
無暗に暴れるな、と言うのはこういうことも含んでいたのだろう。
……それはそれとして、やっぱりバックアタックしたことに関しては問い詰めるつもりのようであるが。

巓奉 >  
「質問を質問で返さないでおくれよ、キミは常世は始めてだろう?
 じゃなければ往来、しかも中心部と言っても差し支えない学生街で揉め事を起こそうとはしないはずさ。」

掛けられた言葉をかわしつつ、先程の慌てた様子とは打って変わってマイペースに話しかける少女。

「それに私は別にキミを襲おうとしたわけじゃないよ。
 用があるとすれば……。」

やれやれと首を振り、じっと彼女の一部分を注目している。
その視線は胸へと注がれており、自ずと答えは出てくるであろう。

東瀬 夏希 > 「……いかにも、ここには来たばかりだが」

流石に少し気まずそうに返す。
自分にも非があるのはわかるし、それを頑なに認めないというのも教えに反する。
というわけで反省するのであるが……その後向けられる視線には鋭い目を返す。

「貴様……やはり襲おうとしていたのではないか。
女の身で女の胸に興味を示すなど……そっちの趣味なのか?」

警戒心アップ。流石に、初対面の相手が胸を狙って後ろから近寄りました、などと言い出せば警戒はする。しない方がおかしい。

巓奉 >  
「やだなあ、タマちゃん。重たかろうと思って支えて差し上げようとしただけさ。
 そう、これは優しさ。優しさなのだよ。愛と言っても差し支えは無いだろうね!」

己の非を詫びるどころか、かえって開き直っていた。
タマちゃん(仮)を維持しつつ意味不明なロジックを自信を持って語る少女。

「……とは言え、今はもうそれほどかな。
 ねえねえ、それよりも。さっきの魔術で取り出したあの剣、もう一度見せてくれないかな?」

先程とは違う、真面目な表情で語りかけるだろう。
今までへらへらとしていたのが嘘の様である。

東瀬 夏希 > 「いや、どう考えてもおかしいだろう!それに私はタマではない!」

名乗っていないのだから名前が分からないのは当然として、流石にタマでは猫みたいでなんだか嫌だ。猫が嫌いと言うわけではないが。
と言うより、この自信満々さはなんなのだ。
そう考えていると、目の前の少女の顔が真面目になる。

「(……別に、武器について秘匿せよとは言われていない。だが、見知らぬ相手に見せてよいものなのか?)」

逡巡する。まず、異端狩りと言う特殊な任務を背負っている以上、やはり情報は秘匿しておきたい。
それに、何より、目の前の相手が信用出来るかがわからない。

「何故アレに興味を持つ。そもそも、知り合ったばかりの相手に自分の得物を見せると思うのか?」

問い掛けると同時、取り敢えずの拒絶を表明する。
どちらかと言えば、判断保留に近いのだが。

巓奉 >  
「えー! 良いじゃないか、タマちゃんかわいいよ!」

等と至極真面目な表情で語るこの少女の底知れなさ。
そして彼女の正論に少し考える仕草をしてみせ、答えるだろう。

「理由は至極単純、良い剣に見えたから。
 今後のね、参考になるかなあって思ってさ。」

自らを十八代目巓奉、刀匠だと名乗り出しドヤ顔。
その目は『ホラ、名乗ったでしょ? 見せてよ、ね? ね?』と語っている。

東瀬 夏希 > 「そういう問題ではない!私には東瀬夏希と言う名前がある!」

肩を怒らせながらそう返すも、その後名乗った上でせがまれると考え込む。

「(……筋は通る。それに、出来うることならば、人の子には施しをせよとの教えだ。見せることを躊躇うのは、いくらなんでも渋りが過ぎるのではないか……?)」

それに、見ただけではヘルシングの持つ固有性能まではわかるまい。
そこまで考えて、分かったと頷く。

「見るだけだからな。 ……こい、ヘルシング」

ゲートを開き、先程のブロードソード『ヘルシング』を呼び出す。
刀身に『Anti Heresy Holy Weapon Series Assault type「Helsing」』と刻印されている以外は、出来のいいただのブロードソードに見えるだろう。
だが、知識があれば、その剣が何かしらの魔力を宿している事と、素材が儀式によって浄化作用を与えられている事が分かるだろう。

巓奉 >  
「ふむふむ……ヒガセナツキ……ぶー。
 なんだい、なんだい! タマちゃんのタもなければマもないじゃにないか!」

人の名を聞いておきながらにしてこれである。ぷんすかと怒ったように振舞う巓奉。
どうもこの人物は自由気まま、猫ですら呆れるような性質らしい。
先程までぷんすかとおこだったのが先の剣──『ヘルシング』が取り出されるやぱっと表情を変え、満面の笑みを浮かべた。

無論、彼女の許可を取りつつその刀身を始めあらゆるパーツを様々な角度から眺めじっくりと観察している。
数分観察したところで『もう大丈夫』と持ち主に返すであろう。

「これはアレかな、お清め的な何かしているのかな。
 まあ、何にせよ良い武器だね。大事にすると良いよ。」

うんうん、と一人納得した様子で頷くのであった。

東瀬 夏希 > 「適当に言った名前が被っている方がおかしいだろう……」

溜息。何とも掴みがたい人物である。
そして、ヘルシングを見る目の真剣さにわずかに驚きながら、その後の言葉にさらに驚きを見せる。

「(ヘルシングが法化処置を為されていることに気付いた……!?)」

刀身にAnti Heresy Holy Weapon Series Assault type「Helsing」……即ち『対異端法化兵装強襲型「ヘルシング」』と刻まれていることから読み取ったのかもしれないが、そうでないというのならば侮れない眼力だ。

「(流石に、二つの固有性能までは気付いていないと思うが……)」

内心わずかに動揺しつつ、ヘルシングを転送する。

「ああ、無論大事にする」

と、言いつつ、夏希の戦い方はかなり荒いため、結構無茶な使い方をしてしまうのであるが。

巓奉 >  
「まあ、へるしんぐ?を見れば手荒な場面が多いみたいだが……ってそうさ!
 それにしてもだ。刀身に彫刻を施すのはどうなんだい?
 こんなチャラチャラしたものを大事な部分に刻み付けるなんて頭どうかしているよ!
 この武器を鍛え上げた職人を出せ!! その腐った性根を叩き直してくれる!!」

一転、感情を爆発させ『ヘルシング』を作り上げた職人への怒りの声を上げている。
どうもこの刀匠は装飾を非常に嫌っているらしい。

「ううむ、残念だ。至極残念。」

しょんぼりとしてみせる巓奉。その表情は歳相応のそれであった。
するとどうだ。突如力なくよろめき、夏希へと寄りかかるだろう。

よろめく⇒抱きとめられる⇒結果的に御立派様にダイブ!
巓奉の目的はそれにあった。まだ諦めていなかった。

東瀬 夏希 > 「そうは言われても……私も、誰がこれを鍛え上げたのかまでは知らんのだ。それに、これは識別名のようなものだからな……」

Anti Heresy Holy Weapon Seriesは、他にもいくつかある。
その中の強襲型がこの『ヘルシング』であり、それを分かりやすく示すための銘のようなものでもあるのだ。
……確かに、刀身に刻むものかと言えば首をかしげるが。

「っとと、貴様大丈夫か!?」

慌てて素直に抱き留める。
異端には苛烈だが、そうでない相手には普通に厳しいだけの夏希である。
途端によろめいた相手を気遣うくらいのことはするし、それを抱き留めるのも普通の行為だった。
……結果として、胸が押し付けられた。

巓奉 >  
「あっ……!」

か弱い女の子の(つもりで)声を上げ、よろめく。
予想通りの行動、予想通りのダイブポジション。
彼女の胸をわずかとは言え、堪能した巓奉。

後に『アレが教会でよく説教してる楽園やら天国ってヤツだと思ったよ。』と語っている。

「す、すまない……どうやら少し疲れが。」

心にも無い事を言ってあくまで事故を主張する巓奉。
だがしかし、その顔は妙につやつやとしていたとか。

東瀬 夏希 > 「……まあ、それならいい」

どうにも疲れたようには見えないが、それを言っても仕方ない。
溜息をついて彼女を立たせ、なんとなく天を仰ぐ。
何をしているんだろう、自分。と自問。そして、考えても仕方ないと放り投げる。

「ともあれ、これで気はすんだのか?」

溜息交じりにそう問いかける。

巓奉 >  
「いやはや、堪能させてもらったよ。
 変な意味ではないよ? あくまでそのへるしんぐとやらのだ。」

どう考えてもそっちの方がメインの様な言い方をしつつ、夏希の言葉に頷く巓奉。
事実、彼女としてもヘルシングのそれは面白いものであった。

「……まあ、あの装飾が無ければってキミに言っても詮無き事だったね。
 普段ならこんなの願い下げだがキミの事は気に入った。
 剣関連で何か困ったら青垣山の中腹にある我が家を尋ねると良い、何か力になれるかも知れない。」

その剣なら良い音を奏でそうだ、とか言いつつ。

東瀬 夏希 > 「……」

本当かぁ?と言わんばかりに疑わし気な目を向けるも、敢えて追及はしない。証拠のないことだ。
だが、その後の言葉には驚きを見せる。

「そう、か……実際ありがたい。私は手入れは余り得意ではないのだ。
しかし、初対面だというのにいいのか?」

巓奉 >  
「……なんだい、その疑うような目は。」

巓奉もジト目で応戦の様子。
自分の非は決して認めない強い意志を感じるかもしれない。

「まあ、他にも興味深そうなものを見せてもらえるかもしれないからね。
 それにへるしんぐには他にも何か隠してるでしょ? 違う?
 あ、勿論タダじゃないよ。貰うものはきちんと貰いますから。」

えへん、と謎の威張りポーズ。

東瀬 夏希 > 「別に、何でもない」

ふぅ、と溜息一つ。追及は諦めたようだ。
何というか、こういう目をしている人にああだこうだと言っても無駄だ……と言う、そんな感じがしたのだ。

「……そこまで隠す事でもないか。確かにいくつか、同種の武器がある。しかし、剣ばかりではないぞ?」

ガントレットやライフルなども存在するので、それらはきっと期待には沿えないだろうと。
ちなみに、払うものを払う分には、一切文句はないようであった。

巓奉 >  
「まあ、なんだい。その常在戦場の精神には素直に感服するけども。
 この常世で必要以上に気を張る必要は無いと思うけどねえ、常世には竜に吸血鬼、えるふに獣人、妖と何でもござれ。
 そんな連中がうじゃうじゃ居るここが狩場に見えてくるだろう。
 でもね、大多数は秩序を持って暮らしているよ。」

一気に語って『ふう』と一息つく巓奉。

「そうだねえ、流石に銃には精通していないが近接武器の類なら大抵は対応できるかな。
 いやね、この時代刀だけじゃ食っていけなくてさー。」

さらりと言いのける巓奉。伊達に十八代続いていない訳で。

東瀬 夏希 > ぎろ、と目つきが鋭くなる。
狩場。彼女はそう言った。
即ち……夏希が、そう言った存在を狩る気であることに、気付いている可能性がある。

「……まあ、ガントレットくらいになるが。ところで、狩場とはどういうことだ?」

殺気すら発しながら問い掛ける。
場合によっては……と言う心づもりだ。

巓奉 >  
「狩場? やだなあ、狩場は狩場だろう?
 彼らを獲物と間違えて狩ってしまわないように、注意を促しているだけだよ。」

本人は至ってあっけらかんと言ってのける。
その殺気とも言える気を受けてなお、平然としてのけている。
おまけに『おお、こわいこわい。』とまんじゅうこわいと同じ調子でのたまっている事だろう。

東瀬 夏希 > 「…………」

掴み処がない。それなり以上の数の異端を狩ってきた夏希の殺気を当てられてもこれである。
……相手は別に異端ではない。特段事を荒げるより、なあなあでも友好的な関係を築く方がマシだと判断した。

「……貴様は、よくわからん」

しかし、理性での決断に感性が納得できてはいないようで、そんな言葉が漏れ出した。

巓奉 >  
「良く分からない?」

夏希の言葉にキョトンとしてみせる巓奉だがそれも一瞬だけしか見せず、すぐにニヤっと悪い顔に。
もじもじと恥ずかしそうなアピールをしつつ

「……じゃあ、お互いをもっと深く理解……しちゃおうか?」

この娘、全く懲りていない様だ。
彼女の耳元で囁きすぐに身を翻すだろう。

「なんちゃって! ねえねえ、ドキっとした!? ドキっとしちゃった!?」

別の、しかも悪い意味でドキっとしたかもしれない。
そしてこの自由気ままなこの猫は夏希に『おいとまする』と別れを告げて足取り軽く立ち去っていくだろう。

東瀬 夏希 > その言葉に色気を感じる以上に、なおのことのつかみづらさを感じる夏希。
異端であれば斬れば終いなのだが、そうでは無いので何とも言い難いのが難しい。

「……貴様は、いつか誰かに刺されるぞ」

負け惜しみを投げかけつつ、溜息交じりに見送った。

巓奉 >  
「いやん、守ってね♥」

立ち去っていったと思いきや突如真横から湧き出てくる巓奉。
そして先程とは逆方向へ脱兎の如く駆け出していったのだった。

ご案内:「学生通り」から巓奉さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から東瀬 夏希さんが去りました。