2015/09/16 のログ
ご案内:「商店街」に日下部 理沙さんが現れました。
■日下部 理沙 > 商店街の片隅。本土でも見られるディスカウントストアに理沙はいた。
真っ白な翼を窮屈そうに畳みながら、安い服を適当に漁っている。
どうせどれを買ってもすぐにでも背中に穴をあけなければいけないので、デザインなどは余り重視していない。
気にする点は穴があけやすそうか否かのみである。
基本的に指定の制服でほとんど済ますつもりなので、今選んでいる服は余計に適当である。
■日下部 理沙 > 安さのみを指標としているので、今漁っているのは変な柄のTシャツの山だ。
四文字熟語が荒々しい筆書きの達筆で書かれたものである。
丁度、今手に取っているのは「焄蒿悽愴」と書かれていた。
読めない。
だが、どうせ穴をあけてしまう服に頓着する理由もないので、値段だけ確認しておく。
とりあえず安い。
もうこれでいいかもしれない。
■日下部 理沙 > 適当にカゴに突っこんで、次の服を漁る。
上着も何か欲しい気がするが、穴をあける手間を考えるとあまり食指が動かない。
だが既に九月。もう数週間で肌寒くもなってくる季節である。
秋物くらいは何か欲しい。
でもやっぱり制服でいいんじゃないかという気持ちにもなる。
いや、でも、私服くらいは。
等々悩みながら歩いていると。
「あ」
翼が棚に引っかかり、陳列されていた服が派手に転がってしまった。
「あー……」
■日下部 理沙 > 溜息を大きく一つ吐いてから、しゃがんで服を拾う。
ディスカウントストアは狭い。
少なくとも背中に翼が生えている人間のことを考えて作られてはいない。
故にまぁ、こういうこともわりとよくある。
分かっていても結構やらかすあたり、理沙も理沙である。
自分は学習しないのかもしれないと内心で一人ごちながら、服を拾う。
■日下部 理沙 > 拾った服を軽く叩いて埃を払い、一枚一枚たたみなおして棚に戻す。
結構時間がかかったが、まぁそれなりに上手くできたろう。
「これでよし、と」
一人そう呟いて、腰に手を当てて溜息を一つ。
■日下部 理沙 > とりあえず、不始末の後始末もできたことだし、会計を済ませてくるかと踵を返したところ。
「あ」
今度は別の棚にひっかけて、また同じことのくりかえし。振りだしに戻る。
そう、ここは狭い店である。
何度もいうように、背中に翼を付けた人間が身を翻えせるようなスペースは無いのである。
最早、無言となってまた理沙は服を拾い、今度は埃だけ払うと、もうたたみもせずに棚につっこんで、そのままその場を後にした。
服を買うという当初の目的もすっかり忘れて。
ご案内:「商店街」から日下部 理沙さんが去りました。