2015/09/21 のログ
■四季 夢子 > 商店街には一軒の古本屋が在る。
昼も夜も無い薄暗い店内は穏やかに曖昧で、まるで時間の流れから取り残されてしまったかのようで
店主のお爺さんも寝ているのだか置物なのだか判らないような按配で、立ち読みをしても咎められる事も無い。
無頓着なのか、無関心なのかは店内の様相のように杳として知れないのだけど
御陰で学校帰りの私の暇はそれなりに自由に潰れてくれるのだから、それでいいと思った。
「何か面白そうな本でも……なにこれ。ふぅん、"優しい作用素代数入門"?」
私の前に聳える書架に収まる古本達はジャンル分けされておらず、目で追うだけでも面白い。
不思議なもので、ある程度日を置くと中身がすらりと入れ変わる辺り、読書家な暇人でも何処かに居るんでしょうね。
等々、与太な思考を篭らせている私の視界に何だか入門書のような代物が留まったから、手にとってみた。
「…………うん、判らないって事が判ったわ。哲学的ね。」
手に取って、渋面となって、また戻して。もうちょっと柔らかい本は無いのかと溜息を吐くと
平積みされた本が目に入る。
――こんにゃくの造り方。
ご案内:「商店街」に由乃 廻さんが現れました。
■由乃 廻 > (学生の本文は勉強である。……一般的な生徒の範疇では中の上ぐらいの成績は
維持していたつもりだったのだが、何しろここは常世学園である。
通常の授業の他にも異能だとか魔術であるとかそーいう物がある事だけは
おばあちゃんから聞いていたが、実際に学ぶのは別問題ということだ。
俺の格好は常世学園の制服にバットケース。つまりは学校帰り。)
1日30分で分かる!異世界史……ダメだマーカーの書き込みが多すぎて何が重要なのかわからん……
(そんな訳でたどり着いたのが古本屋だった。生活に必要な額は
伯母に援助してもらっているが、学生の本分は勉強と同時に遊ぶことでもある……いやこれは俺のセリフだ。副読本にしろ安くすむならそれに越したことはない。
だがこの本はハズレだった、書き込みはむしろこの手の本なら歓迎するところだが
蛍光ペンで引かれたマーカーのラインは赤だったり黄色だったり青だったり
統一感がなさすぎて重点箇所が全くもって読めない。)
なになに……現代MMA(総合格闘技)の基礎知識……?
(既に興味が別のところに移り始めているのを自覚しつつ、当たりを軽く見回す。
店主の爺ちゃんは……アレは一応起きてんだろうな。近くには……俺と同じく学生が一人。女子だ。
横目で視線の先を追ってみると「こんにゃくの造り方」などと言ったタイトルが見えた。
傍から見れば挙動不審な男子生徒がチラチラと女子生徒を伺っているようにしか見えない。)
■四季 夢子 > こんにゃくの造り方。を見無かった事にして深呼吸をすると、黴臭さが鼻をついて少しばかり実家を思い出す。
書画骨董を、だなんて言えば見栄えは良いけどその実、どうみてもお父さんが趣味で集めたとしか思えない品々が倉庫を堆く占領していたっけ。
確か倉庫の中にも本棚が在って、理路整然と支離滅裂に雑多な書籍が収まっていて
大昔の滑稽本だとか、誰かの日記帳のような変なものとか、さっぱり判らない外国語の奴だったりとか、他にも色々。
本以外だと、確か鮭に齧りつかれている木彫りの熊。なぁんて冗談みたいな奴もあったっけ――
「………ん?」
――思い出の海に潜り込んで、口端が愉快気に歪んだ所で誰かの視線を感じた。
周囲を見回す……までも行かず、横を見たら見知らない、有体にいえば"チャラそう"な男子生徒が居て
ついついと二度視をしてしまう。
だって本屋よりは繁華街とかのが似合いそうなんですもの。
「ね、そこの貴方。私に何か用?もし何か本を探しているならこの御店、ジャンル分けなんかされていないから頑張って探すしか無いわよ。
それともナンパ?だとするならこの夢子さんは安くないからね。他の人を探して頂戴な。」
足繁くしている場所。なんてものは大仰に言えば地の利を得ているようなもの。
これが歓楽街の往来での出会いなら、きっとさっさと逃げていたんでしょうけれど
生憎とそうじゃあないから、ずかりずかりと近付いて、薄暗い中でも私の青い瞳がようく判るくらいの距離で語気を強めたりもする。
■由乃 廻 > うわー……。
(なんか本見てニヤついてるよあの子。ビブリオマニアとかそういう類の人なのかもしれない。
などと失礼な想像をしていたところに声をかけられた。)
お、おう。いや用ってほどでもないんだけどさ。てかマジで……。
(まさにチラ見をしていた女子に急に声をかけられて声がオクターブ上がりかけるのをどうにか押さえる
落ち着け俺。どう見ても年下だぞ。気圧されてんじゃねーよ……と、思っていたところでショッキングな情報が
俺の耳に届いた。思わずガックリと肩を落とす。総当りとなると背が高い本棚だ。なかなか骨が折れそうな話だ。)
っていやナンパで女子チラ見するとかハイセンスな手法すぎるだろ?!
そんなんで引っかかってくれるなら誰でもやるわ。つか俺でもやるわ。
それに……それなりの対価があれば付き合っていただけると?夢子さん?
(や、近い近い近い!ズケズケと距離を詰めて行く夢子に内心ビビりつつも、軽くツッコミを入れておく。
後半部分に若干の切実さが乗っかって居たような気もするが。)
■四季 夢子 > 「用も無いのにジロジロ視るのは関心しないわ?観測するなら……対象にばれないようにしなくっちゃ危ないんだから。」
沛艾の馬を抑えようとしているのかのような、不可思議な語調の男子生徒に得たりと忠言を加えるのは
普段私がそうして色々を視て暇潰しをしているからって奴。
伝わったか伝わっていないかは兎も角として、彼が肩を落とすなら鼻の一つも鳴らして勝者の余裕を瀟洒に象り得意顔。
「……ん、そうなの?ハイセンスでもハイカラでもいいけど、実際の手法なんて私知らないもの。
そりゃあ物語とかなら?此処は貴方が私に一目ぼれして……とか始まるんでしょうけど……。」
けれども次には困惑し、頬だって含羞に染まって視線も逸れちゃうの。
「え"……やだ、ちょっと本気?ま、まあ貴方結構格好いいし、御茶くらいなら付き合ってあげてもいいけど……
そうそう、私一年の四季夢子って言うんだけど、貴方の御名前は?あと何を探していたの?」
但し逸れるのは彼の身体に添って、上から下に、下から上にと品定めをするような逸れ方で
何かに納得したかのように頷いて自己紹介。後に誰何し用向きも問う。
袖触れ合うもなんとやらなら、まあ本探しくらいは手伝ってあげようかなって思ったりもするのだ。
決してこう、手伝う気なんか無かったけど口説かれかかった事に気分をよくしたからとか、そんなんじゃあない。
ないったら、ない。
■由乃 廻 > や、別に俺スパイとかじゃないから……。
(気取られずに、という意味であるならば可能だろうが古本屋でそんなテクニックを披露したところでどうしようもない。
何やら俺のリアクションにご満悦のようだ。)
自分で言っておいてナンパの手口知らないんかい!?
いやそれもたぶんなんか読んでる本のジャンルが偏ってるような……。
(思わずの二連ツッコミだった。とはいえ、少女漫画でも今時そんな導入はないだろう。
意外と見た目通りの年齢の子なのかもしれない。しかしここ(常世)に於いては油断は出来ない。)
アレ!?俺今ナンパしてたっけ?!俺これから女子チラ見することにするわ……。
(ついにツッコミを放棄するしかなかった。まさかのリアクションに驚愕するしかない。
あとこれから俺はこの手法で危うく2回ほど通報されかかる事になるのだが、おそらくそれは別の話。)
お、1年っつーことは同じ学年か。とは言え常世では多分先輩になるんだろーな。
1年の由乃 廻……メグルとかカイとか皆は呼んでるわ。
9月の頭から入学?てか転入してきたから参考書とか安いの置いてねーかなって……。
ま、見つかったらお茶ぐらいは奢りますよ、センパイ。
(明らかに値踏みをされていたことにおめでたい俺が気付くことはなかった。
ともかく。先輩は敬うものである。)
■四季 夢子 > 「だって私ナンパなんてした事ないもの。そりゃあテレビだったり本だったりで視る事はあるけど
そーゆーのって実際のとは違うものでしょ?百聞は一見に如かず、なんて言うんだし……あれ、違うの?」
スパイでも無いしナンパでも無かったらしい。であれば面前の彼は何なのかっていうと、宛らお笑い芸人のよう。
狭い室内にスーパーボールを投げ放ったかのように跳ね飛ぶ語調が洒脱に感ぜられて、私は問いながらも喉が愉快そうに揺れてしまう。
「ふふふ、貴方……ええと、由乃君ね。いきなり呼び捨てにするのはちょっと御行儀が悪いから、そう呼ばせてもらうね。
私の方は好きに呼んでくれていいからさ。でも一年生なんだ。此処、同じ学年でもやたらクラスが多いし生徒の年齢はばらばらだしで
一寸煩雑な感じ……ああ、いやいいのよ先輩だなんて背中が痒くなっちゃう。私が此処に居るのが長くっても由乃君のが年上なんだし
それでプラスマイナスゼロとして、その上で同じ学年なんだし、同じでいいじゃない。疲れちゃうわ?」
無遠慮に腕をぱしぱしと叩いて首を傾いで提案をし、それらが済んだら背を向けて本棚へ
手が届く範囲の本の中で適当に参考書のような代物を探しかけて、手が止まる。
「えっと、科目は何?もし魔術とか異能とか、そっちの方のだと私は殆ど履修してないからさ、何がいいのかが判らないのよね。」
よもや蒟蒻の造り方なんて学んじゃあいないでしょうけど、一応止まった手が確と掴んで由乃君に向けられた。
■由乃 廻 > いやまぁ普通はそうでしょうよ!?普通はされる側だからな?
(世間ズレしているのか単に慣れてないだけなのか、おそらくは後者なのだろうが
屈託なく笑う夢子の表情にはつい俺の方まで笑顔になってしまう。)
あ、これはご丁寧にどうも……。じゃあ夢子ちゃ……センパイで。
(おばあちゃんも言っていた。女の子には優しくあるべきだと。だからといって「ちゃん」はどうなんだろう
グーパンはないにしろ、ペシペシと腕を叩く手がそのまま上段に向かって振りぬかれる可能性はあった。
思わず佇まいを正す。)
あーいや、そのまさかって奴なんだけど。魔術とか異能の科目でさ。
俺も異能って奴は持ってるけど大っぴらに吹聴するもんでもないし。
使い所も今ん所はねーしな。
(俺に向けられた手を追いかけるようにこちらも手を伸ばして、ちょんちょんと手の甲を叩くと
音もなく、影のようでもあり、刺青のようでもある平面の蜘蛛のシルエットが手の甲まで悠然と動いて止まる。)
座学の本だから歴史とかそー言う奴。無かったらこの格闘技の本を買って帰る。
(安く済めば御の字というだけである。それよりも夢子を連れて行く店をどうするべきか。
日の浅い俺にお気に入りの店なんてものはない。頭はそちらの方にフル稼働していた。)
■四季 夢子 > 「……?なら別におかしくないじゃない。由乃君って変な事に熱心ね。」
ナンパの行く先は朝とも夜ともつかない店内で白黒つかずに灰色の行方不明を呈する。
そのままずれて、乖離しきってやがては立ち消えてしまって。
次に現れるのは此処が古本屋である事に因ったもの。
私は由乃君の探していた参考書とやらが、自分の埒外である事に眉を顰め
顎に指を添えて唸らずとも唸るような思案の図を書き上げる。
「むう……魔術ってさっぱりなのよねえ。異能は私もあるんだけど――ッ!?!?」
その図に自らの異能と言う絵を加えようとして蜘蛛の絵が上書かれて叶わない。
私は思わず息を呑んで飛び跳ねて、狭い書店の通路に豪快に尻餅をついてしまった。
息を呑んで、透明になって、尻餅をついて姿を現して
倒れた衝撃で平積みされた本の幾許かが崩れて私の上に降り掛かる。
「いたたた……一寸急に驚かさないでよ。もう、私が先に脅かしてやろうと思ったのに!」
降り積もった本のうちの一つを掴んで振りかざしながら語気を荒げて頬が風船のように膨らむ。
少し騒がしかったにも関わらず店主のお爺さんはまるで三猿の三位一体であるかのようだった。
「しっかし由乃君の異能ってその動く蜘蛛の刺青?随分変わった奴なのねえ……ん?。」
尻餅の姿勢のまま見上げてぶーぶーと文句と感想を零し、風船めいた頬をぶしゅーと窄めた所で手にした書に気付く。
それは"Rosvodiz"と記された古めかしい本で、中を視てみるのだけどどうにも日本語じゃないから良く判らなかった。
ただ、挿絵が幾つかあってそれらの絵は何処か奇妙でおどろおどろしい雰囲気を孕んでいたの。
「……よくわかんないけど、これ魔法書っぽくない?」
どう?と由乃君に本を差し出してみましょっと。
■由乃 廻 > [2d10→1+6=7]
■由乃 廻 > むしろ無頓着なセンパイが怖いわ……。
(天然なのだろうか、とりあえずは探しものを手伝ってくれているセンパイの動向を伺う……。
渋面である。しまった。とは言え自分が使えるわけでもないのでセンパイの話には同意である)
だよなあ。素養があるなら使えるって聞いたけど、空飛ぶとか、きっと無理だろうし……。
適性検査ぐらい受けるべきかなー。
(とは言え「空を飛ぶ」だけなら似たような真似は異能で出来てしまう。
現状、魔法でやりたいことがないのも理由の一つだ。)
あー悪い悪い、平面とは言え虫は結構苦手な人いるもんな。見慣れてっから忘れてた。
でもこっちもだいぶビックリしたって。センパイ、今一瞬見えなくなったような……?
(バツの悪そうに頭を掻くと、本を受け取りながら、そこを支点にして夢子センパイに手を差し出す。)
まぁ刺青っつーかなんつーか……まぁコレで俺の体を強化するっていうか……。
いや目当ては参考書であって魔法書は俺探してなかったよね!?
異世界語とかなら無理……一応アルファベットなのな。しかも微妙に買えなくはないお手頃価格……。
(散らかった本を片付けつつ、手にした本は魔法書(らしきもの)引くセンパイの豪腕に面食らう。
そして挿絵だとか文章より真っ先に見たのは本の折り返し。胡散臭い代物だが高く売れるのではないか、
という情けないものであった。はたして、\1,600と鉛筆で隅の方に走り書きがあった。
定価が分からないにしろいいのかそれで。と店主の爺さんを恨めしげに見る。)
■四季 夢子 > 「どうせなら私も素敵な素養がほしかったなあって思うけど無い物ねだりはしてもしょうがないものね。
昔の人だってさ、貪らざるを以て宝と為せ。なーんて言葉、残しているし。」
きっと楽しくて
きっと素敵で
きっと鮮やか
空を飛ぶ。そんな事が出来たら心はそれこそ宙を舞う雲雀のように浮き立って
雲ひとつとて無い蒼天を独り占め出来るのでしょうけど
生憎私はそうじゃあ無いのだから、由乃君の独り言にも似た言葉に苦笑を向けるに留め
差し出された彼の手を握って立ち上がる事にする。
「結構どころじゃないわよ貴方……全部の虫が駄目な訳じゃあないけどさ
蜘蛛が好きな子なんてそうそう居ないんだから――と、ええそうよ。
先に驚かせてやろうと思ったのに順番が前後しちゃったけど、私の異能はそーゆー奴。」
かくかくしかじかと自らの能力を「息を止めている間だけ透明になれる」と説明し
次には由乃君の説明を聴いて興味深そうに手の甲の蜘蛛の刺青を見遣った。
「この動く刺青が起点となって身体を強化するんだ?なんだか面白い感じ。
でも強化って事はあれでしょう。腕っ節とか強い感じ?そういうの頼もしいね。
本は…あれ、そういう奴の歴史の参考書じゃなかったの?聴き間違えちゃったかも。」
見遣ってからおどけて舌を出すように笑って、由乃君に釣られて店主のおじいさんを視るのだけど
おじいさんは相変わらずの置物ぶりを発揮していて、視線に気付いているのかどうかも判らない。
これで会計に行くと案外テキパキと動く辺り、実はロボットだったりするんじゃあないかしら……。
判別する方法なんてないけど。
「1600円ならまあ、いいんじゃない?薦めた手前この後のお茶はワリカンにしてあげるわ。」
ともあれこもあれ由乃君の背をぽんと叩いて、会計に促してみましょうか!
■由乃 廻 > えーと、なんだっけそれ。漢文?
無欲であることと環境っつーか生まれはどうしようもなくないか?もうそうなっちゃってる訳だし。
(年齢の割に落ち着いてるのとやはり教養があるのはセンパイの育ちの良さを感じさせた。
一応ウチ(実家)も「いいトコ」らしいのだが、全くそんな素振りのない俺がいる辺り、環境もあまり関係がないような気がする。)
あー、そうだよな……。以後、気をつけます。
けど、それってかなりスゲーんじゃ……?
(概要を聞くとシンプルだがそれ故の使い勝手の良ささはかなりのものだ。
俺は覗きに使えるな……という邪な考えをどうにか心の片隅に押し込みつつ、
服も透明になるんだな……などと冷静に振り返る。
また、さっきの事故は正直に言って驚かすつもりが全く無かったので、これは自分の落ち度だ。
次は一応事前に言っておこう。)
あーなんていうかその……まぁ、そんな感じ……かな。
(若干言葉を濁したのは、その「強化」された姿はセンパイにおおよそ見せられるものではなかったからだ。
次は卒倒するんじゃないんだろうか。)
あと一応居合みたいなこともやってっからまぁ、それなりに?
センパイぐらいなら担いで持ち帰れますよ。
(そう言うとちょいちょい、とカバンと一緒に背中に引っ掛けてあるバットケースを指さす。
竹刀袋に入れると持ち運びが面倒だからという理由で刀が収められているのであった。)
文字を読める気がしねえ……。ま、いっか。じーちゃん、これください。
(店主の爺ちゃんはノールックで額を伝えて来る。俺達の話を聞いてたのか、それとも全部覚えてんのか
なんだか心なしか口の端が上がってるように見えたんだけど。気のせいだよな……?)
さて、買うもんは買ったしそんじゃ行きますか……?って、センパイの本がまだだったか。
いやーゴメンゴメン。
(片手で謝るジェスチャー。変な本に気を取られて居てすっかり忘れていたので素直に謝っておく。)
■四季 夢子 > 「んーと左伝の一節……だったかな。私の家、古いものを色々取り扱ってる御店だからさ
暇潰しにそういうのを眺めて何となく頭に残ってるのよね。
あと……どうしようもなく無い場合もあるのよ?私、こうなったの生まれ付きじゃあないんだもの。」
由乃君に注釈を加えるように言葉を選び、右手がするりと伸びて、彼の鼻先を無遠慮につつく。
「すごいかなあ。そりゃあ身体を鍛えている筋肉モリモリのマッチョな人とかだったらすごいんでしょうけど
私はただの女の子だもの。あ、でもただ透明になるんじゃあなくて、私が手で触った物も一緒に透明になったりするのよ。」
その後は両手を彼に良く視得るように翳し、再びの注釈と相成る感じ。
例えば由乃君の服だけを掴んで透明になれば、由乃君の服も一緒に透明になる。等々の説明をする形かな。
そうして相互に説明が済んで、彼が私を軽々と担げると言うなら目を瞬かせて二度身とてする。
細く視えてもやっぱり男子なのかなって、ちょびっと感心するような、意外そうな眼差しも向けた。
示された鞄にも、ね。
「わ、居合い。あれでしょう、藁束とかをえいやって切ったりするのよね。良かったら今度見せて見せて!」
猫が切られて死ぬような感情の励起を隠しもせず、かしましく声を転がして会計に共なって
彼が謝るなら、私はしれっとこう言うのだ。
「あ、私立ち読みしにきただけよ。」
店主のお爺さんの眉が一瞬、上がったかもしれないけど私には判らない。
だって答えながらもう御店の出口に向かってしまっているんだもの。
「ほら早く行きましょ?此処からなら「橘」辺りかしら。」
鬼さん此方手の鳴る方へ。
茶化して御手手が数回鳴って
後は世間話に花が咲くかも判らない。
■由乃 廻 > マジで?あーいや、俺も後付けではあるのか……?
なんていうの?一子相伝みたいな?
(鼻先を突かれて少し反省。センパイもサラッと言ってのけている辺り
気にしては居ない……といいのだが。こちらも持って生まれたものでは無かったので
時代遅れだよな、なんて軽く笑って見せる。)
でもそんな筋肉ダルマが扱いが繊細そうな異能持ってたらヤだぜ……。
それやっぱ凄くないか!?
(ある程度任意の範囲で消えれるのか……。刀だと長さがわからないだけで相当な
アドバンテージがあるはずだ。俺がやるにはセンパイを抱えるかおんぶでもしなければならないのが決まらないが。)
やれるけど、おばあちゃんには抜いた後が重要だって、メチャクチャ稽古つけられたっけ……。
(なんなら今からでも担いで行きますけど。とばかりに屈んで見せる。
おばあちゃんの稽古は本当になんでもアリだった。さっきMMAなんかの本を手にとったのもその影響だ。)
サンキューじーちゃん。ただ、少なくともこんにゃくの造り方は立ち読みするもんじゃねえんじゃねえかな……。
橘、ね……覚えとこ。ところでセンパイは委員会は何やってんです?風紀委員ってトコ入ったんだけどなんかやたら物騒で……。
(店主に軽く片手を上げておく。喫茶店に向かう道すがらでここの所の懸念事項をセンパイに尋ねてみる。
歳が離れてるとはいえ気軽に話せる「同級生」であり先輩のの存在はとてつもなく貴重なのであった。
お代は強引に俺が払うことにしよう。せっかくの記念だ。)
ご案内:「商店街」から四季 夢子さんが去りました。
ご案内:「商店街」から由乃 廻さんが去りました。
ご案内:「商店街」にサツキさんが現れました。
■サツキ > (実際の所、この島の特性上"変な奴"というのは幾らでも湧いて出る訳で。どう足掻いてもストリートチルドレンなサツキであっても商店街を冷やかすくらいなら別段変な目で見られることもあまりなく。)
んーーー、なにくうかなーーーー。
(キョロキョロとしながらあちらこちらと歩き回る姿はおつかいでやってきた小学生のようにも見えるだろうか。)
いやいや、むだづかいはいけないぜー。
おかねほとんどもってないからなぁ。
(頭陀袋の中を手で探り、非常に珍しい現金という所有物を声に出さず数え上げる。
現金が手に入ったからわざわざここまでやってきたのだ。
すこしでも有意義に使いたいという気持ちはこのバカにもあった。)
■サツキ > (下手くそなスキップをぴょんこぴょんこと刻みながら屋台じみた軽食販売を行っている店だとか、駄菓子屋だとか。そういったお店を覗き込んでは、また次へ。
といった具合に散策を続ける。)
(暫くして立ち止まるのは雑貨を取り扱っている店の付近。
ヘアアクセサリーなぞに目を奪われてしまうあたりすこしは"出来上がって"きていた。
バイトやら、補修やら、そういったものの帰り道であろうか。
商品を手にとって眺めるそんな女生徒たちを、さらに遠巻きにして眺めていた。)
■サツキ > (所在無げにアップにした髪を弄ぶ左手に気付くと、はっとしてすぐに収めた。
このためにお金を稼いでもう少し社会的な生活を営んでみようか、くらいには思っていたことを自覚するとその思考をかぶりを振って追い出した。)
やっぱりさ、こーいうんじゃなきゃ。な。
(逃げるように走って、たどり着いたのは串焼きの露店。
差し出した手に握っていたのは幾ばくかの小銭。
引き換えに受け取った牛串に噛り付いた。)
ご案内:「商店街」にギルゲイオスさんが現れました。
■サツキ > (ぱりっと焦げ目のついた表面と肉汁の溢れ出す内側とのコントラストが絶妙である。
こうして場所を占有してお金を稼ぎに来ている以上、学生の出店とはいえなかなかに侮れるものではなかった。)
ん、うめぇうめぇ。
まーだわたしにははえーっての。まったく。
(そこらのベンチで一休み。もぎゅもぎゅと肉を噛み締めながら足をぶらぶらと。)
■ギルゲイオス > 最近、少しとばかり外食に頼り過ぎているかもしれぬなぁ。
(などと言いつつも、その辺の店で購入したカツサンドを齧りながら、歩く魔王様。
落第街で似た様なのを食べた事があるが、アチラと違って此方は美味しい)
ファミレスに行くのも考えたが、昨日どうも大騒ぎがあったらしいし。
まぁ、店舗が修繕されているとはいえ、ややと足が遠のくのも仕方ない事か。
……もっとも、気になるのは治安の方、であるが。
(ため息一つ、零せば肩を竦める。
どうも最近、事件が多過ぎる気がする)
(とかなんとか考えつつ、緩い足取りが近づいていく)
■サツキ > (最後のひとかけらを飲み込んでしまうと、すっからかんになった串を咥えたまま辺りを見渡す。
幸いまだ少しはは小銭もあるのだ、次を見繕ってもバチは当たらないだろう、と——)
まおー!!!
(知った顔を見つけると、体を跳ね上げ駆けて行く。
ひょいひょいとすれ違う人を躱して、顔見知りの魔王様の元へたどり着いて。)
どうした、まおーもめしか?
ここのめしはうまいな!
(通りかかった近所の人にじゃれつく柴犬のように満面の笑みを浮かべて話しかけた。)
■ギルゲイオス > ま、余りと我が考えても仕方があるまい。
本職の方に、より一層と頑張って――んあ?
(まおー、という謎の掛け声が聞こえてくる、しかも明らかに此方へと向かって。
ちょいと考えて首をかしげた後に、『魔王』だと理解し手をポンと打ち合わせた)
おや、久しい上に、こんな場所で奇遇であるな。
「も」という事は、お主も食事か。
そうであるな、我の世界と比べ、此方の世界は食文化が洗練されおる。
保存食でも美味いというのに、焼き立てのパンや、揚げたての肉となれば言うまでも無い程である。
(うんうんと頷いた後に、微かと双眸を細めると。
じゃれついてきた犬をあやすように、頭へと軽く掌を乗せるように近づけ」
ふむ、しかしちゃんと金を持っておったのだな。
(素朴な疑問。
流石に商店街のど真ん中で食い逃げして、なんて訳ではなかろうしと)
■サツキ > それでけっこうやすいんだもんなぁ。
えーぎょーどりょくのたまものってやつだな!
(頭の上に手がやってくると、そのまま受け入れる。
嬉しそうに目を細め、なされるがまま。
むしろこちらから擦り付けていく勢いで魔王様の掌を堪能した。)
おかねはもってるぞ!
ひろったのとー、もらったのとー。
あと……いろいろ!
すくないけどいがいとおかねはもらえる!すくないけど!
(指折り取得手段を思い浮かべるものの、すぐに断念して放り投げた。
このような島であるからこそ、案外スラムで生き抜く糧はあるのだ、と。
頑張ってアピールしてみる。)
■ギルゲイオス > 全くであるなぁ。
このカツサンドも、我の世界であれば軽く数倍はする筈なのだがな。
営業の努力もあるだろうし、食材の安定供給能力も優れている、という事なのだろうな。
勉強になるのである。
(うんうんと、頷いた後。
軽くと頭に掌を乗せていたが、むしろ下からぐいぐいと来る感触。
小さく喉を笑みに鳴らすと、少しとばかり髪をくしゃくしゃとするように、手指をうぼかした)
拾ったのと、貰ったのと――色々か、まぁその色々については……とりあえず置いておくか。
(前回に続き今回も、というのはまぁ少々説教が臭すぎる。
思いつく所は幾つかあるが、ひとまず置いといて)
ふむ、どちらにせよ手持ちはそう多くない、という事であるか。
よかろう、もし食い足りぬのなら、何か一つ奢ってやるとしよう。
その代りに、っと。
(楽しげに再度、片手で頭を撫でまわした)
■サツキ > わっ
(髪をくしゃ、とされて一層嬉しそうなオーラを醸し出す。
たぶん心の目で見たら物凄い勢いで振られている尻尾なんかが見えるだろうレベル。)
ほんとか!じゃあな!
えーっと……どうしよう、まおー。
(やったー!魔王様の奢りだぁ、と顔を輝かせたのも束の間。
難しい表情に切り替わって、深刻なトーンで告げる。)
まよっちまってきめられねーぞ……!
■ギルゲイオス > 我は人の感情や思考を読む魔術は持っておらんが……なくても分かる位に滲みだしている気がするのである。
(笑い声を分かりやすく漏らせば、食べ物探しの邪魔にならない様に一旦と手を離す)
色々な種類の食べ物があるからな。
この種類の豊富さも、この世界の凄さでもあるが。
ふむ、肉に魚、パンに米。
何なら甘いモノという手もあるが……
(周囲に視線を巡らせた後、唐突と変った様子に目を一瞬丸くとして)
そこまで本気で悩んでおるのかっ!?
別段時間は急いでおらんから、ゆっくりと考えても構わぬのだがな。
お主は何が好物なのだ?
(頭を横に倒す。
好きなモノから決めてしまうのが、一番手っ取り早い気がする)
■サツキ > (頭から離れた手を、すこしだけ残念そうに見送って。
シャツの裾を軽く掴もうと手を伸ばす。)
そうなんだよな、いっぱいあってさ。
どっかのせかいのなんとかってりょうりがめっちゃならんでるんだ。
(うおお、とへんな唸り声をあげながら並んだ商店を眺める。
好物は、と問われればぽかんと口を開けて一瞬フリーズ。)
ああ、ああ!そっか!
そのてがあったか、さすがまおーだな。
こうぶつ……うーん、こうぶつか。
あっ、あれすきだぞ!せんべいじる!
(挙がったのは東北の郷土料理。微妙なラインの知名度である。)
■ギルゲイオス > ふむ……
(凄く分かりやすい感情の変化と、伸びてくる手。
視ればちょいとばかしと考えるように、喉を鳴らし。
一息とつくと、伸びてきた手を此方から握り繋ぐ)
商店街であるし、此方の世界の料理が多いのではないかな。
異邦人街の方へと行けば、また別の食べ物が沢山とあるのだが。
(さて、どらが良いか。
顎を指で撫でると、辺りを見渡して)
せ、せんべいじる?
聞いたことも見たこともない料理の名前が出てきてしまったのである。
せんべい、というのは確か硬くて醤油味のクッキーみたいな奴で。
じる――汁物、という事であるかな?
(うぅん?と頭上に巨大な疑問符浮かべ。
記憶を掘り起こしてみるが、心当たりがない)
まぁ、此方の世界でお主が食べた事あるのならば。
何処かに売ってるの、だろうな、多分。
■サツキ > (握り返された手を見、ほんの少し面食らって。
力加減を図りかねたような、慣れない手つきで。それでもすぐに、きゅっと握り返す。)
うん、にほんのな。きたのほうのりょうりだったんだけど。
あれ?ここってにほんだよな?わたしもにほんからきたんだけど……おかしいなぁ……
まあいっか!
(血生臭くない、世間一般的な意味での人のぬくもりってやつを肌に直接感じているからか、思考が内に内にと潜り込んで暴走しそうになっても、それを忘れて浮き上がってくることができている。
隣で歩いている魔王様くらいの距離であれば安定した不安定さが見て取れるだろうか。)
せんべいじるはな、しょうゆあじのしるものにせんべいがはいってる!
うまいぞ!
(雑な説明だが実際そんなもんである。
正確に言えば専用の煎餅を使ってすいとんのように……などと色々と言うべきことはあるのだがそんな詳しいことを説明するだけの脳みそは未だに足りていなかった。)
■ギルゲイオス > (何か、もっと言ってしまえば誰かと触れあいたい。
そういう心情の現れとして、シャツを掴んでみようとしたり、していたのではないか。
そんな予想から、敢えて手を握りに行ってみた訳、であるが。
鳩が豆鉄砲でも喰らったような顔に、肩を上下へとゆらして」
北の方……我も知らぬ土地であるな。
恐らく、北というだけあって寒冷な地域なのであろうが。
場所で言えば、日本近海という話であったかな。
常世自体は一種の独立国みたいにもなっておるが、範疇で言えばやはり日本、という事になるの、かな。
(入学した時の説明やら何やらを思い出しつつ。
ちょいと相手へと視線を移し。
妙に揺らいでいるような様子に、ちょいと喉を慣らし、繋いだ手を握りなおす)
へー、保存用の固いパンを、スープに浸して食べるようなモノ、なのであろうか。
まぁ個人的に興味はあるが――それを探すのか? どこに店があるのか知っていれば、手っ取り早いのだが。
店まで付き合っても良いし……他のでも良いなら、我が決めてしまってもいいのだが。
(どうするかね?と問いかける)
■サツキ > (こういった形での暖かさは、本当に機会が少なかったなぁ、と。
肩を揺らす魔王様について笑みをこぼしながら歩く。)
うん、わたしのいたにほんの、きたのほうはさむかった。
すっごく、さむかったんだ。
でも、あんまりおもいだせないんだぁ。
(握り直して貰った手を、固く固く握り返す。
思い出せない、そう言って見上げた夜空は。
そこに浮かぶ星座が見知ったものなのかどうかさえ判別できなかった。)
ん、さがしててもじかんもったいないもんな。
まおーにまかせる!
わたしはまおーのことしんじてっからな!
(なんやかんや懐いてしまった小動物はそんなことより今を大切にしようと思ってか思わずか、今度はそちらの好きなものを教えてくれとでも言わんばかりにお勧めをねだる。)