2015/12/11 のログ
ご案内:「商店街」にダナエさんが現れました。
ダナエ >  
──ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
  ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス


異形の全身鎧に負のオーラをまとい、一人の重騎士が
マジックアイテムや魔術の材料を売る露店の前で足を止める。
手に持っていたメモと店先に並んだ品物を見比べて、

「『眠り雪カナリヤの脚』……
 随分と相場より安いな。
 これは本当にこの値段で売ってもらえるのか?」

ここまで見てきた相場の五分の一の価格だ。
びっくりした勢いで、つい余計なことを聞いてしまう。
片目に眼帯をした怪しげな店主は、
煙草片手にそうだよとえづくような声で答える。

ダナエ > よく見ればその脚は、
本物の『眠り雪カナリヤの脚』より一回り小さい。
さらによく見れば、小さな白い鱗が重なっている部分に
茶色が薄く透けている。
つまり元々は茶色の脚を、
インクか何かで白く着色しているわけなのだが。

「それは助かる。二つほどもらおう」

そんな細かいことに気づく騎士ではなかった。
ほくほく顔で購入の意志を告げてしまう。

ダナエ > 他にも探してるものがあれば倉庫から出してやるぜ、
と裏手に雑に積まれたダンボール箱を親指で指す店主。
それがこの店の倉庫らしい。

「おお、有り難い。あとは『笑いフクロウの羽根』と、
 『聖別された銀のスプーン』、
 『ユニコーンの尾の毛』の安いものがもしあれば
 嬉しいのだが……」

店主は品物の名を繰り返し、全部あるよと答えて
裏手の変色したダンボール箱をがさごそと漁る。

ダナエ > ほらよ、と店先の品物の上に放られた三品。
全部買うなら8万でいいぞ、と親切めかした言葉。

玄人が見れば一目瞭然なのだが、
『笑いフクロウの羽根』は本物より模様が直線的で
色味の少ない、シマフクロウの羽根で。
『ユニコーンの尾の毛』は、馬の毛でさえない老いたロバの尾の毛で。
『聖別された銀のスプーン』に至っては、
聖なる気配は微塵もなく。それもそのはず、
店主が昼食にカレーを食べたスプーンをこっそり
きれいに拭いてそれらしい箱に入れただけであり。

聖騎士を目指す重騎士、
せめて『聖別された銀のスプーン』の違和感に気づくか否か──

【奇数で違和感を感じる→】
[1d6→6=6]
ダナエ > 「8万でいいのか!? よし、全部買うぞ!」

聖別された品物でないことにも気づかないポンコツ。
聖騎士になる夢は早めに諦めたほうがいい。
主に肉体労働や地下闘技場で稼いだ大切な金を、
こうしてたやすくインチキ商品に支払ってしまう。

毎度どうも、また来てくれ、と店主。
今日も馬鹿を騙してかなりの大金を手に入れたが、
顔色一つ買えないあたりは流石といったところ。

いい買い物をしたと、上機嫌で帰っていく騎士。
真実に気づく日は遠くない。

ご案内:「商店街」からダナエさんが去りました。