2016/05/13 のログ
■RK-3137 > スッと目を開き手を離す。黙祷タイムは終わりである。
思わず足を止めて見入っていたまわりのもの達もゆっくりと動き出す。
「了解いたしました。優先順位を変更。帰投日時を明朝0700へ、待機を続行いたします」
まわりからすれば何がわかったのか、そもそも何を話し合ったのかさえさっぱりである。
とはいえ双子(?)にしてみれば阿吽の呼吸というものか。
そのまま横並びになると、数瞬前少女が来る前のように直立不動となる。
今度は二人ならんで。
同じ顔同じ服同じ髪型同じ背格好。
さすがに今度は声をかける物好きはほとんどいなかった。
ご案内:「商店街」に山吹 冠木さんが現れました。
■RK-3137 > 時間がたちメイド姿が景色になじんだころ
二人が全く同じタイミングで振り向く。
一糸乱れぬ動きにまわりのもの達がおもわずびくりとする。
ついついつられてふりむくとそこにいたのはやはりと言っていいのか
同じ顔のメイド少女だった。
■山吹 冠木 > その光景を見かけたのは、全くの偶然であった。
「なんだ、あれ」
ある事情から、学園外に注文した品を引き取った帰り道。
そういえば幾つか日用品が不足していたな、と商店街に足を向けてみれば……
普段ならば淀みなく流れているはずの人の流れに、奇妙な淀みができていた。
何かを気にしつつ、しかし近寄れない。
その意識が作った隙間に目を向けてみれば……
「……………………コスプレ?」
メイドさんが並んでいた
■山吹 冠木 > 「……うわ、増えた」
メイドさんを見守る人混みに混じりつつ、思わず呟く。
瓜二つ……いや、よく見れば片方は怪我……をしたメイドさんの
所に、さらにもう一人のメイドさんが現れる。
「……三つ子……なわけはないよなあ」
あまりにも似通いすぎているし……何よりも、ピクリとも動かなかったあの様子は、
何処か人形じみたものがあった。
■RK-3137 > てくてくと三人目が近づいていきスッと掌を出す。
見れば三人目のメイド服はボロボロ。戦闘の跡といった感じである。
先に来ていた二人はやはりわかっていると言った風に掌をさしだす。
結果三人で輪を作るような形となった。
二人で手を合わせている程度であるならば美しいだとか神々しいだとか言った感想もわこうが
三人ともなれば奇妙である。
よくよく見れば合わせた掌の隙間から光がもれているのが見えるだろう。
「『『了解いたしました』』」
何を了解したというのだろうか。
■山吹 冠木 > 「……何かの異能か? 学園にあんな奴らいたっけな……」
学園での生活に思いを馳せ……しかし直ぐ様かぶりをふる。
接点があろうがなかろうが、メイド服を着た三つ子などという
目立ちすぎる人物が話題にならない訳がない。
思い出せないということは、つまりは知らない誰かには間違いないだろう。
「…………」
そして、現れた三人目は何かしらのトラブルにあった後……
の様に見える。
メイド服がボロボロになる様なトラブルが何なのか、
それでいて平然としているのは何故なのか。
あと商店街で何をしているのか。
何だか手を繋いでいるし。
周りの買い物客物を似たような疑念を抱いているのか、
僅かに表情がひきつっているのが見える。
正直に言えば、風紀委員なり教師に丸投げしたいが……
「えーと、何をして、る……ますか?」
意を決して、一歩を踏み出した。
生活委員としては、何があったのか位は聞いておくべきだろう。
流石に、気圧されたからボロボロになったメイドさんを放置したなどとは、顧問に言えるわけがない。
……獣と違って、とって食いはされないだろうし。
■RK-3137 > 「『『情報の共有を行っています。ご主人様』』」
異口同音に答える。
端的勝つ即答である。
三人そろって優雅に一礼。
型にはめたような見事な礼であった。
その後返答を待っているかのようにまた直立不動に戻る。
ほんの少し口角が上がって笑顔になっているようにも見える。
外向きの顔だろうか。
■山吹 冠木 > 「…………いや、多分ご主人様じゃないから」
一歩引きかけた足を辛うじて押し止めつつ、
思わずそう呟いた。
目の前のメイドさん複数形はその乱れない……
文字通りに一糸乱れぬ動きで頭を下げてきた。
あまりにも正確な動きに動きに正直びっくりしたが、
ここで引き下がったら何も進まない。
迷うように手を揺らめかせつつ、笑みを浮かべるメイドさん達に目を向ける。
改めて見れば、人形の様に整った顔をしている。
その分、額の傷や服の様子が気になるのだが……
「えーと……情報共有って、何……ですか?」
戸惑いからか、敬語が混じりかけた変な言葉遣いになる。
歳上なのか同い年かも分からないが
■RK-3137 > 『私どもは常世学園の皆さんに奉仕すべく活動しております』
「私どもはデータリンクにより情報の交換を―――」
『業務上必要な情報を交換しております』
発言が乱れ互いに顔を見合わせる。
さすがに常にタイミングをあわせたりするのはむずかしいようである。
首をかしげきょとんとしている姿を見れば。
それなりに人間味も感じるかもしれない。
■山吹 冠木 > きょとんとした3人の姿に、今の瞬間だけは、
世に言うメイド萌えとやらの気持ちが分かった気がする。
おかしな方向に流れた思考を引き戻しながら、
同質ながら僅かにずれた響きを思い返す。
「……異能か何かで通信ーー」
頭を軽くかく。敬語や丁寧語を使うのはどうも苦手だ。
「えーと、つまりは情報のやり取りをしてるってことか?
奉仕活動ってことは…………お手伝いさんか何か?」
そこまで言ったところで、視線が先程までメイドさんどうしで
合わせていた手、そして意識して逸らしていたボロボロのメイド服、その隙間から覗く部分に向かう。
もしかして、この3人は……
■RK-3137 > 「主にお掃除をさせていただいておりま―――」
『お姉様。お時間です』
最後に来た少女が遮るように声をかける。
まじまじと見る目にも気にも留めていないようだ。
肌がちらちらと見えているのを気にしてもいない。
『申しわけありませんご主人様。火急の用事にてこれでおいとまさせていただきます』
言葉を継ぐように少女が答え、おなかの前で手をそろえるとぺこりと絆創膏の貼ってある頭を下げる。
その手には節のようなものが見えたかもしれない。
■山吹 冠木 > 「あ、ああ……分かっ……と。ちょっと待った」
節の様な物が見える手。その意味を理解しつつも、
最後に来たメイドさんに、懐から取り出した
塊を押し付けるように差し出した。
「そんな格好でうろうろしてたら、通報されかねないからな。
こんなもんで悪いけど。あと、あんたも怪我してるかもしれないし」
その手には、安全ピンの入ったケースと、少し巻きの小さな包帯を差し出した。
見た通り彼女たちがそうならば、意味は無いかもしれない。
だが、絆創膏を貼っていること、言っていたことを考えたら、
多分間違ったことではないと思いたい。
刀でも道具でも、神様が宿るから大事にしないといけないと
守刀を大事にしていた山師の叔父さんは、よく言っていた。
■RK-3137 > 『お心遣い感謝いたします』
やはり綺麗なお辞儀。
しかし受け取ったはいいが使い方がわからなかったのか
きょとんとした顔のまま両手で安全ピンと包帯を持ってとことこと歩いて行こうとする。
「それでは失礼いたします」
『失礼いたします。ご主人様』
残った二人もぺこりとあたまをさげその後に続くだろう。
いつのまにか出来ていた人垣が割れていく。
さながらモーセのようである。
■山吹 冠木 > 「……また? な?」
何と言って良いのか分からず、
そんなありきたりな言葉で遠くなっていく姿をそのまま見送る。
あの様子ではわからないのかもしれないが……
今となっては、問題にならないことを願うしかない。
「……結局、一体何だったんだ?」
メイドの人海割が収まったその後を見ながら、ただぽつりと呟くしかなかった
ご案内:「商店街」からRK-3137さんが去りました。
ご案内:「商店街」から山吹 冠木さんが去りました。
ご案内:「商店街」に松渓つばめさんが現れました。
■松渓つばめ > 「買い、喰い、ターイムッ」
正しくはお買い物タイムである。しかし労働の後のこの一本みたいなのを期待している彼女には、どうでも良い。
学園は休講。娘は有り余るエネルギーを金銭に変えて来たわけだ。清く正しい学生バイトである。
常世島には正直『当局のガサ入れあったらオシマイやろ!』と言いたくなるようなオシゴトも多く転がっているし、
そういうシゴトは給金高いし、
つばめのような娘を狙う場合もあるし、
実際探してたら数回声かけられたりもしたのだが(多分誰でも良かったのだろう)、
『つまらん』とバッサリであった。
そして選んだのは
■松渓つばめ > ……卸売市場のおっちゃんに混ざって早朝からの短期決戦であった。
「いやー、っとにテレたわねアレは。俺にもその魔法教えてくれよ、か」
彼女は『慣性操作』魔法の使い手、そのキャリアも長い。
魔法そのものはそれ程レアではないが、その扱いについては一家言ある。
「人間フォークリフト!か。ウンウン悪くない」
ズビッとポーズを決めるツナギ下半分タンクトップ上半分。片手には少し可愛いお買い物エコバッグ。浮く。
■松渓つばめ > しかし、重たいコンテナをカ―リングのように滑らせて、ぶつけても中身は無事!となれば、それはそれは重宝されただろう。
「フフ、と。何買って帰ろ」
日給をポッケに忍ばせて、デリカテッセンや屋台のようなお店を覗いて回る。
その度に焼き鳥1本とか買っては口に運んでいるので「昼食」が入らなくなるかもしれない……
「昼はこれ3本とメンチで決まりね」
早朝からのハードワークなら入るようだ。
■松渓つばめ > 「お?それウチの魚使ってる?そう常世第二鮮魚。
ホントー、ネェお兄ちゃんちょっと負けてよ。?やった!」
鰹の叩きサンドを一割引きで手に入れた!!
ほぐほぐと頬張る。新鮮な鰹はあまり臭くない。生姜も相当キマっていて良い塩梅だ。
■松渓つばめ > 「おや」と足を止める。鉄製品屋だ。
中々普通の街では見られないタイプの……時代錯誤とすら言える店。
ショーウインドウには名刀のような包丁、黒光りしたヤカン……か?これは……凸凹している。
「もぐムぐ……。そういえば全ッ然料理の道具持ってないっけ」
常世を離れて以来だ。以前の自宅には多少用意してあったのだが、
島に戻ってきてからは、彼女が料理スキル1なこともあり炊飯器しかない。
「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうま…マジか」
一応、店頭の包丁隣には『リーズナブルなものもご用意してございます』とある。
■松渓つばめ > 「ん?」
見やるとその『リーズナブルな包丁』の中に刃渡り数センチのナイフ。
『これでも立派な包丁ですよ』とある。なんか可愛い。
「……家庭科の練習にはなるかしらね、というかカップラに給湯器直はダサい」
しっかり数分悩み、最初のバイト代その使い途が決まったようだ。
なお――その後八百屋や肉屋を回る娘が確認されている。その日、彼女が腕によりをかけた夕食がルームメイトにも振る舞われないことを祈るばかりだ。
ご案内:「商店街」から松渓つばめさんが去りました。