2016/06/15 のログ
ご案内:「商店街」にエトランジェさんが現れました。
エトランジェ > 商店街からさらに奥まった道のさらに奥
歓楽街にほど近い場所にビルに囲まれてひっそりと洋館が建っている

だがそこに住人はおらず、さりとて荒れた様子もない

柱には立て看板【平穏和維】の文字がやたらと達筆で彫り込まれていた

エトランジェ > 洋館の中には本がうずたかく積まれうっそうとしたジャングルを構成する

「ふぅ……」

そんな本の森から現れた少女はカウンターに置かれたロッキングチェアーにきぃと腰掛け息をつく

「まさか半月も軟禁されるとは思いませんでした……」

椅子にゆらゆら揺られながらくびをコキコキとならす

エトランジェ > 「研究所の御飯はたしかにおいしいのですけども…」

みたくないと言うような顔をしながらわきばらを軽くつまむ

むにっ

「……」

最近ぐっと増えた体重が悩みの種である
軟禁状態でうごきまわれずさらにおいしい食事がそれに拍車をかけていた

これを解消するには運動だ、運動しかない

むんと意気込んだ彼女は椅子から勢いよく立ち上がると
本のジャングルを抜け入口扉にかけられた札を裏返す

【OPEN】

札に結びつけられたベルが本屋【平穏和維】の開店を告げていた

エトランジェ > とはいってもこのお店はいつも閑古鳥がたむろして鳴きまわっているような惨状である

どうせ人は来ないだろう

今はそれよりも自分が不在なせいで貯まり貯まった在庫整理である

本屋や司書と言えば優雅で綺麗でゆったりとした時間が流れる仕事といったイメージがあるが
自裁の所はなかなかの重労働だ

これで余分なお肉がおちてくれれば良いのだが

エトランジェ > ぱたぱたと本を抱えて走り回る

「もう!オーナーはまたこんなものを!」

エジプト/カイロ発の段ボールの中にはヒエログリフ
石版である

絶対に売れない
そんな予感がひしひしと伝わってくる

こんなだからこのお店は不良在庫がうずたかく積まれることになるのである
もうそろそろ一部屋お店用に解放しなければならない

そんなことを考えながら夜遅くまで作業にいそしむのであった

ご案内:「商店街」からエトランジェさんが去りました。