2016/06/27 のログ
白泉椿丸 > オカマは眉を軽くしかめ、脳内の情報を軽く整頓した。

「知り合いというほどでも無いわ。さっき会ったばかり。
 寝ている感じのあなたとは、ここ15分もしないうちの仲ってところン」

フルーツサンドを一口かじる。オカマは確信した。
夢遊病よりも少し発達した、なにがしかの症状か――2重人格のようだ。
たぶん、そのどちらか。そして記憶が一致しないという、相手にすれば厄介な状態。
いつだかに、そういう子のお薬を面倒みたことがあったわネ…と、少し懐かしさを覚える。

「一応で聞いておくケド、あなたは今起きてるのよねン?
 いつから記憶が無いかは、覚えてたりする?直前までの記憶でもいいけどン」

世永明晴 > 「あー……そりゃ……ご迷惑をおかけしましたっス」

頬をかいた。眠そうな顔を少しだけ申し訳なさそうにした。
間違いなく迷惑をかけたという予測はまず間違いないだろう。

「起きてますっス。……変な言葉っスね」

そういえば……と。この目の前に置いてあるボードの上にあるものは食べてもいいのだろうか。なんて考え、少しだけ目線を彼にやった。
呑気さで言えば、どちらもそこまで変わりないのかもしれない。
ない記憶をさかのぼるというのも、矛盾を孕んでいるような気がしてしまう。もちろんそんなことはなく、ないのだから遡れない。ならばそこがないのだ、それだけの話。
そして現在思い出せるのは。

「昼前、寮を出た辺りっスね。そっからはちょっと」

白泉椿丸 > 「昼前。じゃあホントそこまで時間経ってなかったのねェ。
 ンマァ…気にしなくて良いわ、ぶっ倒れられるよりはずっと良いものォ。
 アタシも教師だから、生徒の様子がおかしいなら気にかけなきゃだし……ネッ」

乾く前に食べなさい、とサンドイッチやスコーンを指さす。
その爪には、綺麗に塗られたマニキュアが光っていた。

「アタシは白泉椿丸よ。学校で魔女薬科の教師をしてるの。
 名前を聞いておいても良いかしら?寝ぼすけさん」

さっきと話す口調もしぐさも、同じ人物だけれども違う人物ってカンジ。
自分が何してたか分からないっていうのも、かなり厄介ねェ!
寝てる間に自分がプリントの文章校正、問題集の書き出しをしてくれたら…とか考えてたけどォ、
記憶にないのは流石に困っちゃうわン。ちょっぴり可哀想な子……。
眠った気がしなさそう、というのもあるけれど。子守唄を歌ってあげたいワ……。

世永明晴 > 「あー。……先生スか? そりゃまた、更にご迷惑を。……魔女薬ですか。そーいやとってないスね」

自分にかかったことなどいつも通りなのだ。それを気にしても仕方ないし……どちらかというと何かやってしまったの方が非常に胃が痛い。
まぁ実のところ、慣れてきてもいるのだが。
「凝ってまスね……」
爪をふと見た後、そうつぶやくと。
まぁそれはともかくお腹がすいたのだ。軽く頭を下げてサンドイッチにかぶりついた。

「俺は世永明晴っス。改めてどーも」
「……そーいや、俺何してたんでス? ここに連れ込まれるような事って」

白泉椿丸 > サンドイッチを食べ終えると、フラペチーノを吸う。
ほどほどに中身が溶けてきたので、軽くストローでかきまぜながら。
爪を褒められると、きょとっとした眼をした後にニコッと笑った。

「アラァ、ありがと。先日デコルテを塗り直したばっかりなのよン。
 世永晴明、晴明クンね。覚えたわァ~。あ、アタシのことはジュディって呼んでも良いからネ」

バチコーンとウィンクを飛ばした。
それから、何をしていたかと聞かれると、あー…と小さく声を漏らす。

「なにをしていた、というわけでも無いと思うのだけどン。
 ちょうどあそこに立って、暑いってつぶやきながらジュースを吸って(ずごご、よ)たわね…。
 強い日差しの下で汗をかいてたから、新作を試しがてら連れ込んだのよォ」

世永明晴 > おいし。ふと小声で洩らして、そのままサンドイッチを食べきった。
「なんだか久しぶりに昼食食べた気がするっスね……」
そもそも、ただ、昼食を食べに外の出かけただけなのだ。
起きていたし。

「デコ……?」
よくわからない言葉に首をかしげるが、まぁいいか、とフラペチーノを吸い。
「えー……ジュディ先生ってことでよろしくス」

ふぅん……。言葉をこぼして、そこを見た。
自分がしていた記憶がないということは実感がないということだ。
何が目的だったのか、それも分からないが……。
……ただ。
「ずごご。……喉とお腹がすいてたんスね。恐らく」

白泉椿丸 > 素直にジュディ先生と呼ばれれば、ニコニコの度も増すのである。

「うふふ、食べきれるならサーモンパイも食べちゃいなさい」

オトコノコはエネルギーが必要なのよ。
勉強したりその日の一目惚れしたり、期待したり落ち込んだりがいっぱいなの…。
騒ぐ友達がいれば、その子とめいっぱい遊ぶのにだってエネルギー…。
そう、若さってエネルギーに満ち溢れること………若いって…良いわネ……。
たくさん食べても気にならないのも若さの特権なんだから…。

「お昼を過ぎたところ、だものネ。今の時間帯は。
 ほとほとに慣れているようだけどォ、その寝落ちちゃう?現象は長い付き合い?」

探ると言うより、髪型かえた?くらいの気軽な聞き方をする。

世永明晴 > 「ん……じゃあそうさせてもらいまスね」

遠慮なく。サーモンパイにかぶりつく。
おいしい。自分の舌で味わうからおいしいのだ。
想像以上に気前のよさ。男気、というのだろうか。
勿論それを目の前の人物にいったら怒られそうではあるのだが……。

「そうっスねー。3,4年ぐらいスか」
「まぁそこまで困ることもないんでスけどね。……いや、人様に迷惑かけるのは困ってまスが」
軽いノリだが……まぁ、軽い話だ。ただそれだけなのだから。
なにより、この3,4年で改善の気配は見えなくても生活には問題なかった、という点が軽くさせてしまっていた。

白泉椿丸 > 「あらン、結構長いのねェ。
 寝てる間の事が少しでも分かったら、気持ちも楽なんでしょうケド…」

晴明の表情は参っているわけでもない。
それなりに向き合って、どうにかやりくりしてきたのだろう。
オカマ…椿丸は一人静かに頷き、なにかに納得した。

フラペチーノを飲み終わると、ごちそうさまでしたと呟きながらゴミをまとめる。

「でもこれで、晴明クンが寝てても起きてても、声をかけることは出来るわネ。
 どうにも危なそうだったら、ガシッと止めて起きるまで離さないであ・げ・る」
筋肉の詰まった腕に抱擁されるのだ。
椿丸の配慮で息の根は止まらなくとも、別のものは止まるかもしれない。

オカマはそっと立ち上がり、

「アタシはそろそろ学校へ戻るけれど、
 晴明クンは時間があるなら、しっかり身体を冷やしていきなさいネ?
 スコーンまで食べきれなかったら…包んでもらえばオヤツにしてもらえると思うのォ」

パチンと指を鳴らした。晴明へ冷却の魔術をかけた、らしい。
一定の温度以上になるのをゆるやかに防ぐ、暑い時の必需術だ。

世永明晴 > 「そうでしょうかネ……」

分かったら、分かったでそれはきっと。
まぁ今は関係のない話だ。ふと、少しだけ思案気になる。
これとも付き合いが長い。長いが、寝ている時間を考えれば、ある意味それは半減しているのだ。ま、いいか。とでも言うかのように、サーモンパイを飲み込んだ。

「えぇ。ありがとうございまス。……あぁ、まぁ。うん」
心配はない。心配はないが……返事は、少しはっきりさせられないのも致し方なかろう。

「そうさせてもらいまス。……なにからなにまで、どもス」
魔術か。便利な物だ、と頷き。

「先生もお仕事頑張ってくださいネ」
「今度お会いするときは、ご迷惑おかけしないように気を付けまスから」

白泉椿丸 > 「うふふン、子供は大人に迷惑かけてなんぼよォ。
 あ、それからねェ、アタシの学科は"再開"だから、知らなくても仕方ないわン」

白い翼の肩掛けを軽く手直しし、食べた分のお皿の返却はよろしくネと伝える。
忘れもの無く、オカマはそのまま去る――――

……と思ったが、椿丸は投げキッスをチュッと飛ばしてから店をあとにした。

ご案内:「商店街」から白泉椿丸さんが去りました。
世永明晴 > 「再開……?」

自分の知るころにはなかった、ということだろうか。
魔法薬か。

「……」

投げキッスに、苦笑いを浮かべ手を振った。
フラペチーノを飲み終え。
熱くなっていた体はすでに冷えている。

「……慣れちゃえるんだもんなー」
「ごちそうさまっス。おいしかったでス」
結局。全てを食べきり、皿を返却し終えた。
お腹にたまった感覚に、少しだけ普段より気分を良くしながら店を去る。
また、起きている時に来たい、なんて思いながら。

ご案内:「商店街」から世永明晴さんが去りました。