2016/07/13 のログ
ご案内:「商店街」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 「今日も日差しがきついわ…」

昼下がり。木陰のベンチに腰を下ろす蘭。
きつい日差しに相応しい熱気を持った空気にもかかわらず蘭が第一印象に「日差し」を挙げるのは、それなりに強力な冷却魔術を身に纏っているからだ。
魔力を纏っているようなものであるためそれを「見る」者に対しては目立ちうるものの、街中であればそのまま使い続けていいか、と思ってまだ改良を完成させないまま出歩いている。近づけば、ひんやりすること請け合いだ。

「………やっぱり、決まらない………」

この天気の中暑さに苦しまずにすむ「特権階級」に身を置きながら、蘭は何か深刻そうにうなだれた。

美澄 蘭 > 決められずに悩んでいたのは、先日も悩んでいた「誕生日プレゼント」こと、水着選びである。
決められないまま…とうとう、誕生日が来てしまった。

…とはいっても、去年は開き直って秋までもらったお金を塩漬けにしていたので、諦めずに足掻いているだけ進歩だろう。
…進歩だと、思う。
………進歩だと、思いたい。

「………出来ることは増えたけど、人ってなかなか成長しないものね」

出来ることの方面が完全に別方向であれば、こういったことで自分が変わらなくても、変えられなくても仕方ないものではあるが。
蘭は、溜息を吐いた。
脳内でキュート?ナチュラル?カジュアル?スポーティ?といったカタカナ用語が踊っている。

美澄 蘭 > 一応、蘭はそれらのカタカナ用語が「分からない」タイプの人間ではない。
…ただ、それらからどれを「選ぶ」のか、一人では決められないことが多いのだ。未だに。
何だかんだで、普段着はトラッド・フェミニン・コンサバ寄りくらいでまとめるに至っているが…

(普段選ばないものって、どういう風に選んだらいいのか分からないわよねぇ…)

また、溜息を一つ。

美澄 蘭 > (…でも、いつまでもうじうじしてても仕方ないわね。
考えを整理しないと…)

顔を上げると、目の前にあるショップのディスプレイを見据えながら、考え始める。

(基本的に海用で、海では泳ぐよりは海辺で待機してる方がメインだから…
わざわざ運動用の水着を買う意味もないわね。あんまりオシャレじゃないし。
あんまり露出したくないけど、ワンピースとか、それと変わらないように見えちゃうシルエットのタンキニは流石に…)

頭の中に、今までウィンドウショッピングしてきた様々な水着のデザインを思い浮かべながら、候補を整理していく。

美澄 蘭 > (パーカーって柄でもないから…上に羽織るのはTシャツ?パレオワンピース?
最近はカバーアップも色々オシャレよね…レースっぽいのもあったし。

………そっか、私カバーアップで悩んでるのね)

ここまで整理して、やっと自分の一番悩んでいるポイントが整理出来たらしい。
…が。

「………どうしよう………」

頭を抱えるようにしてうなだれる。
一番悩むポイントの絞り込みが、簡単にいくわけはないのだった。

美澄 蘭 > (………喉が渇いたわね)

冷却魔術を使っているとはいえ、(少なくとも蘭の主観としては)まったく季節感を感じないほどではない。
…それに、暑かろうが暑くなかろうが、人間は生きていれば喉が渇くものである。

(適当なお店に入って本格的に休憩しながら、もうちょっと考えてみましょうか)

蘭はベンチから立ち上がり、日傘を広げると…適当なカフェを探して歩き去った。

ご案内:「商店街」から美澄 蘭さんが去りました。