2017/04/09 のログ
ご案内:「商店街」に久世藤士郎時貞さんが現れました。
久世藤士郎時貞 >  
「時は幕末文明開化
 西洋から渡ってきたはクリケット
 模倣して作られたはコロッケェ

 贋作などと侮るなかれここの店のはひと味違う
 嘘だと思うならかっていきねぇ
 今なら試食もござるぞ」

エプロンを着けむっすりとした顔で接客する侍が一人
胸には常世精肉店の文字

かろうじて侍とわかるのは着物の帯に刀を下げているからだろう

しかしコロッケのたたき売りなど誰が見たことがあろうか
そもそも現代でコロッケを食べたことがないものがいるとも思えない

だがしかし、そんなちぐはぐな接客であるがなぜかおばちゃんには人気であった

買ったの声にコロッケをほいほいとリズムよく包んでいく

ご案内:「商店街」に宮比 奏楽さんが現れました。
宮比 奏楽 >  
「試食があるって聞いた。よこすがよい」

その声につられてやってきたのか。
下から、声がする。
少し、身を乗り出して。もしくは目線を下にしてみれば。
そこには、小さな幼女――もとい、ジャージ姿でずぼらな、なにかがいた。

「ほれ、まだか、まだか」

図々しく、要求してきて。
そこに色気も何もない。
残念な、すごく残念な、少女がそこにいた

久世藤士郎時貞 >  
「銭はあるのか銭は?」

むっすりした顔がよりむっすりみを増す
察するに嫌な顔である

「試食とは試しに食すと書いて試食だ
 本番の見込みもないものに渡す試食はない」

カウンターの奥から雇い主たる肉屋の女将の
もう、いいのよー うふふー などとの声が聞こえるが

ムッスリとした顔のまま断固として拒否である

バイトとはいえ責任感があるといえば聞こえはいいが
融通の利かない侍であった

宮比 奏楽 >  
「――お供えをよこすのが信者の務めであろうがぁー」

むむむっと、同じく眉間にしわを寄せて。
女将の声を聴けば。

「ほら、あのように申しているではないか! ここの、コロッケが好きなんじゃ!! ししょくぅししょくぅ……家までがまんできないのじゃーーーー」

店前で駄々をこねた。

あらあらなんて、女将も困った顔である

久世藤士郎時貞 >  
「いつも売れ残りを持って帰っておろうが!」
 
だが女将からほらどーぞなどと差し出されればさすがに何も言えない
見た目幼女なだけに取り上げるのもはばかられよう
だまってコロッケの行方をにらむのみである

じゅわじゅわと音を立てる揚げたてのコロッケは
レンジで温め直したコロッケとは違った味わいであろう

「それで?
 晩飯まで我慢できずにたかりに来ただけか?」

コロッケを受け取るだろう幼女にたずねる
基本的に引きこもってばかりのこの自堕落な神である
そこそこ距離があるだけに何かあったのかと勘ぐる

宮比 奏楽 >  
「この、神不幸者めっ!! 持ち帰ったものと、この場で食べるものの良さを分かっての言い草か! いぢめか、おぬしっ! さては揚げたてを自分だけ味わうつもりかっ、そうなんだな!?」

くわっと、目を見開いて。さらに喚こうとして――

差し出されたコロッケにぴたりとやんだ。

手に取り、あちちっといいながら。
さくっと、じゅわゆじゅわのコロッケを口にほおばる。
ほくほく、っと口を動かして。口の中でちょうどよい温度にして。
ごくりと飲み込めば――

「はぁあああ……」

顔を満足そうにほっこりさせた。

「ん? そういうわけではなくってな」

ほくほくと食べながら。

「あいどる、というものになろうとおもって街をぶらついていたのよ」

久世藤士郎時貞 >  
「売れ残りと言っておろうが――
 相取る?
 なんだそれは?」

じゅわ、ざくりと小気味よい音を立てるコロッケに
生唾を飲み込み見なかった振りをすると
居並ぶおばちゃんにコロッケとメンチカツを包みつつ雑談にふける

にこにことこちらを見る女将の視線が何とも生ぬるい

宮比 奏楽 >  
「なにやら、信仰をにこにこ笑うだけ、たまに歌って踊るだけで集められる職業ときいてな。こうしてあるいていればすかうと、とかいうものをされて、その職業につけるそうだ」

だから、だらだらと歩いていたのよ――

どうだ、すばらしいだろうと、胸を張って。
ない胸を張って。

どや顔しつつ、コロッケをまたほおばった。

「――ほめてもいいぞ、信者」

久世藤士郎時貞 >  
こやつの頭は大丈夫だろうか
と真顔で考えているが声には出さない

そんな天に開いた口に餌が飛び込むようなうまい話があるのだろうか
ひな鳥でもあるまいし

そもそも今と何かが違うのか
神社で自分とコロッケの帰りを待つのみの生活である
少し長めになったこちらでの生活でこいつの状態をなんというか知っている
ヒモである

うさんくさそうな顔をしたまま宮比のあたまに手を置く

頭をなでると言うよりは
つかんでふるような感じである

なかみはちゃんと入っておるか?

宮比 奏楽 >  
「なーにーをーすーるー!!? これ、やめぬか、やめやめ!! めがまわるー!!!」

シェイクされる。
ぶるんぶるんっと。視界が揺れて――

「うぷ……吐きそう……」

突然。目の前で頬をぱんぱんに膨らませた

久世藤士郎時貞 >  
「ぬ?させるか!」

思い切り引っかけられた記憶が甦る
だが同じ轍はふまぬ

もう片方の手を伸ばし口をがっちりと塞ぐ
体格差もあり手も大きい方なので見た目はまるでアイアンクローである

「ばいと先でしでかしてくれるなよ――女将!厠は!?」

そのまま持ち上げ場所を聞く

女将がこっちこっちと指し示す方に駆け込む

宮比 奏楽 >  
ぷらーんの状態。

痛くて、何かが引っ込んだ。

「いた、あだだだ!! おまえ、おまえ!!! 神に何たるろうぜ……あ、はや、ゆれっ……うぷ……」

乗り物酔いみたいなものになってしまい。
ぷらーんぷらーん、ゆらゆら……

本格的に吐きそうである

久世藤士郎時貞 >  
「そい!」

トイレへ介抱すると言うよりはゴミでも投げ入れるかのようなスローイング
さすがに気が引けるのか同席はせずにそのままドアを閉じた

「危機一髪であったな」

一仕事終えたという風に一息つく
最悪の事態は回避された

そう何度もぶっかけられるなどというお約束はごめんである

宮比 奏楽 >  
「ぶべっ!!?」

――放り投げられて。ドアの中では大惨事。

「きさま、よくもなげ――!!?」

文句を言おうとして、三秒。

文句は、言葉にするのもおぞましい音となって――……

……数分後。

じゃーっという音と主に。
ドアを開けた先には、水でびしょびしょになった少女がいた

久世藤士郎時貞 >  
しかしドアを開けてみると先には誰もいない

それもそのはずバイト中である
バイト戦士たるものすぐに戦場に戻らなければならない
敵はコロッケ あとおばちゃん・・・・・・

とぼとぼと戻ってくる姿を見れば濡れ鼠となった姿にびくりとするだろう

「!?
 どうしてそんなに濡れておる?」

トイレでどうやってそんなに濡れられようか

女将がタオルをもってパタパタと向かうことだろう
面倒見が良さ過ぎである

宮比 奏楽 >  
「おまえがあそこにぶちこんだからじゃろうが!?」

投げ込まれた瞬間。
その手は運悪くスイッチ起動。

洗浄装置。
もとい――ウォッシュレットの起動である。

――あ、だめじゃ、とま、とまら、あべ、ぶべべ――!!?

それの直撃を受けて、ご覧のありさまである。

「どうしてくれる!?」

久世藤士郎時貞 >  
「どうと言われてもな
 店先を汚すわけにもいくまい

 しかしぬしもよく吐くな
 体調不良か?それともそういう芸風か?」

なかなかに辛辣であった
それに自分の斬撃を受けて平然としているようなものを心配するだけ無駄、と思っている節がある

宮比の方を向きながら手早くコロッケを包んでいく
板につきすぎである

どこの誰がタイムスリップしてきた侍だと思おうか

宮比 奏楽 >  
「お前が、あたまをふったからであろうがーーーーーー」

むきーっと、地団駄を踏めば。
女将がタオルを持ってきてくれてふいてくれた。
満更にもなく、気持ちよさそうであった。

「ええい、せっかくのコロッケ気分が台無しだ! かえるっ」

どしどしと歩き始めて――

「……かえってくるとき、あいどるについてしらべてまいれ! いいな!!」

ずかずかとずかずかと。

久世藤士郎時貞 >  
「強いのか弱いのかさっぱりわからん・・・・・・」

こちらもバイト時間がまもなく終わりである
というかコロッケが綺麗に売り切れてしまった

よってお持ち帰りのコロッケも無しである

上がっていいよとの声にエプロンを外してたたむと一礼、帰路につく

「調べ物――としょかん――と言ったか
 そこに行けば何かわかるか?」

少し早めに終わったことだし寄り道して帰ることにするのだった

ご案内:「商店街」から久世藤士郎時貞さんが去りました。
ご案内:「商店街」から宮比 奏楽さんが去りました。