2017/05/20 のログ
ご案内:「商店街」にセシルさんが現れました。
セシル > 「………参った」

非番の放課後。
セシルは商店街に設けられたベンチで、軽く頭を抱えて息を吐いた。
下に落とされた視線をまっすぐなまつ毛が覆うさまは、いかにも「王子様」を感じさせる風情だが…実際のところセシルは、「王子様」とはほど遠い部分で悩んでいたのだった。

「………何でこうも肌の露出を前提とするんだ、ここの夏服は」

溜息とともに、更なる言葉が吐き出される。

セシル > セシルが見て回ったのは、至って普通の服飾品店である。
つまるところ、セシルの「露出」観がこの島の平均から大いに外れているのだ。
成人男性の基本は長袖長ズボン、女性のスカートは基本膝下、当然長袖。
女性は社交などのドレスで露出しないこともないが…成人と同じドレスを纏う年齢の頃には、セシルはすっかりそれらの世界から縁遠くなっていたのである。

(去年はそこまで親しい者も多くなかったから、気にしないでいられたが…)

秋以降、何だかんだで親しい距離感の人間が増えた。
そのため、秋冬に向いた私服は調達するに至ったのだが…夏向きのものはない。
夏に向いた私服でないとこの島の夏の辛さが増すことは想像に難くないし…何より、周囲に「暑苦しい」と怒られそうだ。

セシル > (しかし…半袖を通り越して袖無しとはな…)

男物ならせいぜい半袖くらいだし、何とかなるかも知れない。以前友人にツッコミを受けてから、極力避けるようにはしているのだが。
…しかし、女物の方は、半袖やそれより短いパフスリーブ、果ては袖無し…ノンスリーブ。
胸元を強調するまではいかないものの、襟ぐりが深めのものも多い。
セシルの胸のサイズでは、強調されようもないが(なお、当人は気にしていない)。

セシル > 「………今度、異邦人街に出直すか」

そう呟いて立ち上がる。
多様な種族を、文化を包摂するあの場所ならば、肌を露出せずにすむ、夏向けの衣服もあるだろう。

(…まずは下見をして…本格的に暑くなる前に、買っておきたいな)

今年の夏を、少しでも不快さを軽減しながら過ごせることを願いながら、セシルは商店街を後にした。

ご案内:「商店街」からセシルさんが去りました。