2017/06/22 のログ
暁 名無 > 「はぁ、どっかに濡れ透け巨乳美女でも落ちてねえかな……」

雨天下にあっても煙草を銜えたまま、俺は天を仰ぐ。
どうにも最近潤いが足りない。物理的にじゃなくて、精神的に。
物理的にはこれ以上ないほど潤っているので後は財布の方も潤って欲しい。ていうか雨が鬱陶しい。

ゆらゆらと雨音の中に溶けては消える紫煙を眺めながら、のんびりと帰路を往く。
目当てのものは買った、他に必要なモノを買う金は無い。
そして家に帰っても誰も居ないの火を見るより何とやら、だ。

暁 名無 > 「ま、そんな夢みたいな現実はありゃしねえ……か。」

本気で期待してたわけじゃない。
でも、もしかしたら、万が一って可能性も無くは無いのがこの常世島だって事を信じたかった。
……とかいうモノローグを付けても内容が内容だけにいまいち格好つかねえな。

「せめて飯の準備だけでもしてくれる人が居レバナー」

俺が作れるのは精々がチャーハンと目玉焼き程度。
頑張ればもっと作れそうな気もするが、失敗が怖いからなるべく手を出さない様にしている。
食材を無駄には出来ない。ただでさえ少ない生活費から絞り出してるわけだし。

ご案内:「商店街」に藤巳 陽菜さんが現れました。
藤巳 陽菜 > 傘をさしても全身を覆う事は出来ないし身体が汚れてしまう。
濡れた地面は滑るし、体は冷える。
この身体になってから陽菜は特に雨が嫌いだった。

「はあ、早く梅雨あけないかしら。」

今月に入って何回目かになるような事を言いながら道を行く。
そこで、目に入ったのは傘も差さずに行く一人の教員の姿。
…確か、幻想生物学が担当の先生だ。

「暁先生こんにちは。…傘忘れちゃったんですか?」

そう、尋ねては見たものの服や髪が濡れている様子はない。
服や髪どころか咥えたタバコや手に抱えたラーメンも濡れていない様子だった。

暁 名無 > 「おう?……よぉ、藤巳か。
 いや、片手が塞がると面倒だからな、最近はもっぱら傘使わねえんだ。」

名前を呼ばれて振り返ってみれば、憂鬱そうな顔の女子生徒が居た。
傘の事を問われ、俺はへらりと答える。答える前に彼女も俺の身体その他が濡れていない事に気付いたようだったが。

「藤巳の方は傘持ってても大変そうだな。
 少しはその身体、慣れてきたか?」

レインコートの方が良いんじゃないだろうか、と思案しつつ訊ねる。
あれならある程度の保温効果も望めそうだ。ただ湿気が篭ると不快指数跳ね上がるんだけど。

藤巳 陽菜 > 「…よく見ると濡れてませんね。
 私も、そんな風に水避けれたらいいんですけど。」

調べたら雨を避ける魔術とか見つかりそうな気もする。
今度、調べてみよう。

「ええ、大きめの傘をさしても全然収まりませんし…
 身体を動かすのは慣れてきましたけど他で色々不便なところがありますね…。
 他の私みたいな体の人たちってこんな日はどうしてるんですかね?」

レインコートも身体に合うものがこの付近には売ってない。
異邦人街のほうまで足を延ばしたら売ってると思うが…。

「ていうか、先生。そんなにカップラーメンばっかり買って…。
 少しは健康とか考えて食べた方が良いと思いますよ。
 …せめて野菜もいっしょに食べるとか。」

暁 名無 > 「はっはっは、案外難しいもんでも無いんだけどな?
 とはいえ初心者向けと言う訳でも無い、何とも中途半端な技術ではあるけど。」

傍目には雑に見えるだろうが、案外繊細なコントロールを要するのだ。
それを説明するだけの知識が俺には無い。半ば感覚的にやってる部分が大きいから。

「んー、基本的には外に出ないというのが第一だろうな。
 あとはもう下半身は諦める、というか“元から”の人たちは案外汚れるのは気にしたりしないもんだ。
 そも、蛇に限らず爬虫類の身体ってのはお前さんが思ってる以上に汚れや水を弾く様に出来てる。

 けどまあ、藤巳のその「不便」って感覚は大事なもんだぞ。
 今後、建物の構造とかを考えるうえで他のラミアの「便利」に繋がることも十分あり得るからな。」

ラミア種は数居れど、人間の思考が強いラミアは彼女の他に数える程も居ないだろう。
ただ、その分の負担は大きいだろうが。うーむ。

「うぐ……まあ、それは俺も思うんだけどな?
 ほら、野菜って出来合いのサラダとかだと結構高いから……」

自炊出来ないのでどうしてもコンビニサラダを食べる外無い。
そうなると、やっぱりその、出費が……ね……と俺は笑う他なかった。

藤巳 陽菜 > 「初心者向けなら教えて貰おうと思ったんですが…
 まあ、自分でも調べてみます。」

貰った本に描いているだろうか?

「まあ、確かにそれが一番だと思いますけど…。
 …なるほど、それも一理ありますね確かに私の身体もある程度は弾きますし… 」

確かに言う通りこの身体はある程度水を弾くし汚れも付きにくい。
でも、ただ濡れる訳にもいかない冷たい感覚はどうしようもない。

「そうですかね?
 私が不便と思うって事は他の元々の人達にとっては結構なんでもない事だったりしますよ。
 …もともとの人とか階段でもシュルシュルって登りますからね。
 あれで良くコケないなって感心しますもん。」

不完全なラミアであるからこそ陽菜が感じる不便というのは多い。
人間が感じる不便さとラミアが感じる不便さ両方を受ける。

「自分で作ればいいじゃないですか。
 先生もずっと一人だったんなら料理の一つくらいつくれるんじゃないですか?
 面倒くさがらずに作りましょうよ。結構安いですよ。」

一度に大量に食べる陽菜の基準からいえば自炊した方が圧倒的に安く済む。
出来る料理のレパートリーはそれほど多くないけど結構楽しい。

暁 名無 > 「俺も素人に毛が生えた程度の腕しかないし、そっちが本業ってわけでもねーからなあ。
 俺に訊くくらいなら、魔術師の先生に訊いた方がうーんと分かりやすいし修得も早いだろ。」

多分そう、というか絶対にそう。
俺が人に教えると言っても、感覚的というか、ギュッとしてどーん、みたいな擬音ばっかりになっちまう。
お世辞にも分かりやすいとは言い難い。

「精々目的地や家に着いたらタオルで拭く、とかだな。
 体温が奪われるのは仕方ない。それは人間体の方でうまく調節するしかない。
 下半身に意識が向き過ぎて気付いたら上半身もびしょびしょ、なんて……まあ、よろしくないしな。」

大変に目に毒だ。夏場の制服であれば尚のこと。
ただそんな事を馬鹿正直に告げる訳にもいかない。今度こそ通報されるかもしれないし……。

「段差の無いバリアフリーが足の弱い人間のみならず、普通の人間にも便利な様に、
 やっぱり普段通りに生活してても少し楽になるってのは蛮人共通だからな。
 普通に出来るからといってそれが簡単な事であるとは思わないこった。」

そういう意味ではラミア種と人間の橋渡し的な存在にもなれるだろう。
とはいえ彼女がそれを良しとするかは分からない。

「……いや、まあ、そうなんだけどな?
 作れねえんだよ、料理。目玉焼きと炒め飯くらいしか。
 
 ……藤巳作ってくんない?」

生徒にこんな事を告白するのも非常に情けないが、まあ日頃から情けなさは晒しているので今更だ。
プライドを尊重したところで事実は事実、見栄を張って料理が出来るなら苦労は無いってもん。

藤巳 陽菜 > 「確かに先生は生物とかの先生ですしね。
 本業の先生のほうが分かりやすく説明してくれそうですし…
 そうですね、そうします。」

魔術についてなら師匠に聞いてもいいし。
自分で調べても勉強になると思う。

「…やっぱりそれしかないですよね。
 服が濡れちゃわなければまあ、蛇の方だけなら何とかなりますし。」

一々拭くのは大変だけどそれも不便の一つだろう。
冷えるのもまあこの時期ならある程度大丈夫だし。

「まあ、バリアフリーっていうなら本土と比べるとこの島はかなり力入ってますし。
 結構普通に暮らせると思いますよ。
 っていうか、向こうから来た元々の人たちがどういう風な感じで暮らしてたかも分からないんで
 その時と比べて簡単かどうかは分からないんですけどね。」

例えば異邦人街なんかにいけば元々の生活様式に近い感じで暮らしているらしいけど。
未だ陽菜は見たことがないし。行っていない。

「ええー?嫌ですよ。
 私が先生に三食ご飯を作ってあげるメリットがないじゃないですか。
 ……それに私、人に料理を食べさせられるレベルじゃないですし。」

確かにこの先生の食生活は哀れだとは思うけれども流石にご飯を毎日作りに行くほどではない。
…まあ、料理の腕もまだ練習中だし…。

暁 名無 > 「餅は餅屋ってな。
 その代り生物に関する事ならどんな相談でも乗れっから。
 蛇の身体の方で不調があったら力になれるかもしれねーぜ。」

逆に言えばそれくらいしか取柄らしい取柄は無い。
そして人間の身体の方の不調は対応できない。それは素直に保健室に行って欲しいと思う。

「はは、風邪ひかねえようにな。」

こちらの目の保養よりも生徒の体調管理の方が大事なのは言うまでもない。
ましてや彼女は何かと不安定な身の上だろう。何がどう転んで大事になるか分からない。

「分からないからこそ、だよ。
 何事もより簡単な方が良いだろ、ただ生活するだけなら尚更な。」

異邦人街に行けば何かと参考になるものも多いとは思うんだが、どうやら彼女はそこまで出張れるだけの余裕はないらしい。
まあ片道行くだけでも不慣れな体じゃ一苦労だろうし、最近は天気も崩れやすいから無理もないか。

「……え?いや、別に三食だなんてそんな贅沢思っても居なかったんだがな。
 案外、藤巳って尽くしちゃうタイプだったりすんのか。」

改めて見れば少し大人しめな雰囲気に反してメリハリのありそうな体型をしている。
しかもラミアなんてエキゾチックな魅力もあるし、案外磨けば光るかもしれん。

藤巳 陽菜 > 「その時はよろしくお願いしますね。」

普段は割とだらしない感じもあるけどこういう時は頼りになる。
やっぱり、この島の先生は良い先生が多い。

「風邪ひくんですかねこの身体?
 いえ、気をつけますけど…。」

内外ともにかなり頑丈になっている。
今のところは特に何もなってないけれど病気とかにはかかるのだろうか?
人ともラミアとも違うこの身体で病気になってしまったらどこに頼ればいいのだろう?
今は気をつけるしかない。

「……別に尽くすタイプとかそういうんじゃなくてどうせ先生が三食ともカップラーメンていう
 悲しい食生活を送ってると思って言っちゃっただけですよ。
 まあ、でも三食でないならお弁当くらいなら…作ってあげてももいいですよ…?
 …味の保証はできませんけどね。」

自分の分を作るのもそれから一人分増えるのも手間としてはそこまで大きな違いは無い。
特に陽菜の場合一度に大量に作る為それが尚更だ。

「あっ!もちろん材料代とかはもらうのでよろしくおねがいしますね。」

暁 名無 > 「とはいえ現状思いつくのは脱皮の時の手伝いくらいだけどな。
 まさか卵詰まりを起こすとも思えんし。」

どちらも対処した経験がある。
幻想生物学といっても根本的な部分は在来の生物に対する学問と変わらない。
ついでに学問そのものの歴も浅い。時には獣医師の真似事もさせられることもある。

「どっちかと言えば低体温症か。
 とはいえお前さんの場合元々が人間だ、引いても不思議じゃあるまいよ。」

実際のところは詳しく検査してみない事には如何とも言えない。
しかし、そこまで踏み入った話をする様な間柄でも無い。
俺に出来るのは精々日頃の体調管理を怠るなと警告するだけだ。

「まあ悲しい食生活なのは否定できねえけどさ……
 別に毎日カップめんって訳じゃねえのよ?給料日前だからカップ麺で食いつなごうと思ってるわけで……
 
 でも女の子の手料理が食えるなら食べたいです、ハイ。
 味がどうこうより、藤巳みたいな可愛い子が作ってくれるのが重要です、ハイ。」

ついでだろうと何だろうと女の子の手料理を食べれて喜ばない男が居るものか。
材料費だろうと何だろうと痛手にはならない。お話しするだけでごっそり持って行かれるお店に比べればタダ同然だ。

藤巳 陽菜 > 「脱皮!?た、卵詰まり!?
 …良く分からないですけど先生それってセクハラなんじゃないでしょうか?」

脱皮は分かる。皮を脱ぐやつラミアとかでもあるらしい。
卵詰まり…卵詰まり?語感からして卵が詰まるのだろう。
分からないけど…なんか凄いセクハラを受けてるような気がする。

「低体温症…。
 色々調べてもこの身体について詳しい事はわかりませんからね。
 なるべく身体を冷やさないように気をつけます。」

以前の研究区での検査では似てるけどラミアとは違う。
という身も蓋もないような事しか分からなかった。
異能で変化しているのだから既存の種族と異なっていても仕方ないけど。

「…もう少し計画的にお給料使ったらいいんじゃないですかね?」

この学園の教師というのは結構給料が安いのだろうか?
寮もあるみたいだし普通に暮らせば生活できると思う。

「……!ま、まあそこまで言うなら仕方がないですね。
 じゃ、じゃあ、明日のお昼から作りますから楽しみにしていてくださいね。」

可愛いと言われればまあ、悪い気はしない。
材料費も出してくれるっていうし手間も変わらないし。
まあ、人に味の意見を聞くことも上達には大事だと思うし…。

「それじゃあ、先生今から買い物に行くので荷物持つの手伝ってくださいね?
 カップ麺はリュックにでも入れてあげますから。
 ほら、暁先生早く行きましょう!」

楽し気にそう言って教師の手に抱えられたカップ麺を奪うとその教師が来た方向へと進んで行く。

…憂鬱な雨の道でも少しだけいつもよりその蛇の体の足取りは軽かった。

ご案内:「商店街」から藤巳 陽菜さんが去りました。
暁 名無 > 「ええ!?そ、そっちでセクハラ判定入るの!?」

予想外の返答に思わず声を上げてしまう。
考えてみれば確かにセクハラ……になってたまるか。仕事が出来なくなる。
しかしそういう捉え方もあるのか、びっくりした……。

「暑さには強そうだしな、その身体。
 まあこれからの季節を考えると、あんまり心配はいらなそうだしな……。」

梅雨寒程度なら上半身の脂肪で乗り切れる気もする。
彼女が思っている以上に、彼女の身体は変化に順応しているのかもしれない。
……うん、セクハラで訴えられるとしたらこっちの思考だよなあ。

「うん、そのつもりでは居るんだけどな……。」

計画は立ててる。立てた上で貧窮している。
何しろ趣味で幻想生物学を研究しているのだから、そっちに掛かる費用が馬鹿にならない。
せめて論文の一つや二つ上げられれば楽になるんだが……。

「おっ、早速か。ありがたいねえ……って、え?これから?
 おおう、おいおいちょっと……別にそんなに急がんでも食材は逃げやしねえって。
 あんまり急ぐと濡れるぞ、ほら。藤巳ー!」

何を舞い上がってるんだか、と苦笑しつつ。
ご機嫌なラミア能力持ちの生徒と再び買い物へと向かう俺であった。

結論。濡れ透けってやっぱり良いものですね。

ご案内:「商店街」から暁 名無さんが去りました。