2017/08/16 のログ
■ヨキ > 夢中になって眺めているうち、融けたアイスが指まで流れ落ちる。
舐め取って、残っていた数口分をひと息で頬張ってしまう。
露わになった棒に、“あたり”の文字はなかった。
今日ばかりは気にした風もなく、高嶺の花のようにガラスで隔てられたバイクばかりに心を奪われている。
淡い憧れや夢、目標などといった柔らかな目の輝きは、昨夏までのぎらぎらとした不死の眼差しには見受けられなかったものだ。
■ヨキ > 「…………。乗りたい、なあ」
ぽつりと呟いて上体を引き起こし、ショーウィンドウから一歩離れる。
「そのためには、試験をクリアせねばならん」
ヨキの場合、問題は実技よりも筆記試験だ。
いわゆる“引っ掛け問題”が大の苦手なのだった。
「……………………。乗る。ぜったいに、」
どれだけ微かな音だとしても、口に出すことこそが願いを叶える呪術と信じているかのようだった。
■ヨキ > 「見返してやる」
一瞬だけ過る、複雑そうな顔。
後ろ髪を引かれながらも、踵を返す。
予定どおり買い物に向かう道を再び歩き出しながら、一度だけ店を振り返った。
ともかく――叶えるためには、果たさねばならないことが山ほどあるのだ。
ご案内:「商店街」からヨキさんが去りました。