2018/07/07 のログ
ご案内:「商店街」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 雲が蓋をするように湿気を大気に留める夕刻。
蘭は同好会の帰り、携帯端末の店を訪れていた。
愛用していたイヤホンに、断線の兆しがあるのだ。
(値段の割に音楽ちゃんと聞けるから、気に入ってたんだけど…)
通販などもあるけれど、やっぱり実物を見ておきたいものである。
蘭は、まっすぐアクセサリーのコーナーに向かった。
■美澄 蘭 > なぜ、今時にもなって蘭が線のあるイヤホンを使っているかというと…単純に、値段の都合が大きい。
音質と無線に相応しい利便性を両立させようと思ってそういう商品の値段を見ると、線のあるものでいいかと思ってしまうのだ。
まとまった収入のない学生ならば、尚更である。
(…やっぱり、いいお値段するわよねぇ…)
そんな風にイヤホンのディスプレイを眺めていて…ふと、その中でもやたら値の張るものを見つけた蘭は、思わず目を丸くして固まってしまった。
■美澄 蘭 > それは、直接的に音質を謳ったものではなかった。無論、値段が値段だから悪くはないだろうが。
その商品が売りにしていたのは、「子機」というか、「イヤホンで聞ける音声を共有出来る追加のイヤホン」があることなのだ。
ためしにパッケージを手に取って、説明文に目を通してみる。
「子機」の方単独でイヤホンとして使うのではなく、「親機」とも言うべき本体のイヤホンとリンクさせる形で使うらしい。
そうすることで、余計な電波やらは拾わないようにするのだそうだ。
(面白いけど…うーん…)
携帯端末を音楽プレイヤーとしてかなり使い倒す蘭としては、それなりに興味の惹かれるものではある。
…しかし、前のイヤホンと桁の違う価格を改めて確認すると、気が引けてしまってパッケージを元に戻した。
■美澄 蘭 > (…「共有」出来たら、嬉しいとは思うんだけどね)
自分の世界の中で、少なくない割合を占める、音楽のこと。
蘭が特に深く浸かっている領域は一般には敷居の高いものらしいし、そもそも音楽への興味も濃淡があるから、強制は出来ないけれど。
大切な人と一緒に楽しむ機会が作れたら、きっと幸せだと思う。
(…とりあえず、評判を調べて…それからお母さん達に相談かなぁ)
今使っているものも、まだ完全な断線は今のところしていない。
もう少し考えてみる事にし、蘭はその日は店を後にする事にしたのだった。
値の張るものを、対等であるべき恋人に望む感覚を、蘭は持ち合わせていない。
ご案内:「商店街」から美澄 蘭さんが去りました。