2017/11/11 のログ
■藤巳 陽菜 > 考え始めたと思ったら店に入って大きな声で店主と話をして…。
同じようなポーズで座っている。
(何というか…凄い…騒がしいというか…激しい人なのね。)
その声の大きさは外まで響くくらいで必死な様子が伝わってくる。
それを見てしまったらなんだか放っておけなくなって…。
「…あの、えっと、少し聞こえちゃったんですけど…どんな本を探してるんですか?」
…そんな風に声を掛けてしまった。
自らのその特異な見た目も考えずに…。
■レンタロウ > 「ふ、ふふ…なんというか、これまでで一番酷かったような気がする。」
これまでは店主の対応時間が十秒くらいだったけれど、先程は数秒だった。
質問の内容が悪かったのか、それ以外の要素が悪かったのかは不明だが、秒殺だった。
先程よりも深く沈んだ様子で、がっくりと項垂れているところに声を掛けられて。
「む…そうか、聞こえてしまっていたか。
何、この俺のこと…もとい俺の服だとか所持品について書かれているものを………」
瞼を閉じたままで顔を上げで質問に答える。
だが、途中で瞼を開けた時に視界に入ったものに、思わず言葉が途切れた。
「………下半身が、蛇…だとッ!?一体、何事だッ!」
剣の柄を握り抜刀しそうになりながら、相手へ尋ねた。
■藤巳 陽菜 > 「自分の事と服とか所持品?」
有名人でもない限りそんなものが書かれた本はこの街でも難しいんじゃないだろうか?
それを聞かれても確かに答えに困ってしまうだろう…
「お、驚かせてごめんなさい。
困ってたみたいだから…声を掛けてしまって…。」
…相手は手に刀を握っている、完全にこちらを警戒の対象として認識している。
その事実は陽菜にとっては大きなショックで…。
「こんな身体の相手が急に話かけてきたら…普通驚きますよね…。
…私の配慮が足りなくてごめんなさい…。」
攻撃の意思がない事を示すように両手を上げて、身体を震わせ、瞳には涙を浮かべている。
…これは陽菜の責任だった、自らの姿が人に与える影響を考えなかったのが悪い。
…ゆっくりと距離をとる。
■レンタロウ > 「………む。」
余りに予想外のものに剣を抜きそうになりながらも、抜く寸前で押さえているような体勢だった。
険しい表情で少女に鋭い視線を向けて警戒していたが、少女が両手を上げて距離を取るのを見ると、
此方に害を与えるつもりは無いのかもしれないと柄から手を離す。
「…いや、俺の方こそすまない。
予想外のことに取り乱してしまった。」
良く見てみれば目に涙を浮かべてしまっている少女。
流石に良くない対応をしてしまったと軍帽を脱いで頭を下げ、謝罪の言葉を口にした。
■藤巳 陽菜 > 「…あの…多分この島に来たばかりの人ですよね?」
相手から謝罪があれば更に距離を取って話す。
「…えーと、この島は人間以外にも色んな種族の人が住んでるんです。
だから見た目で余り警戒しないで…って無理ですよね…下半身蛇ですもんね…。」
ラミア、それは魔物としても存在している。
異種族であるか魔物であるかその違いは人に害をなすかなさないかでしかない。
それを受け入れろというのも難しい話だろう。
…既に少女の姿は大分後ろ路地の壁に尻尾を隠し上半身のみをのぞかせている。
■レンタロウ > 「その通りだ。俺が此処に来て、まだ1カ月くらいしか経っていないな。」
少女の質問に軍帽を被り直した後で腕を組みながら答える。
先程よりも少女が離れている状況に、困ったように眉間に皺を寄せて。
「………ふむ、なるほど。貴殿の言うことは良く分かった。
確かに、異世界からやってきた者が居る以上、様々な種族が居ても不思議ではない、な。」
何しろ、自分もその異世界からやってきた者の一人。
なので、少女の言葉も納得できると数回頷いてから、上半身だけ覗かせている少女を見遣る。
「………………もう大丈夫だから、出て来てくれると助かる。」
この状態で会話をするのは、かなり厳しい。
もう平気だからと出て来てくれるように頼んだ。
■藤巳 陽菜 > 「…一ヶ月くらいいたら何人かは会ってるかもしれませんね。
私ほど分かりやすくはなかったと思いますけど。」
獣耳が生えているとか、耳が尖っているとかそんな風な人達はいたかもしれない。
一人も会っていないと言うなら巧妙に自分が異種族であることを隠していたとか…。
「…いや、私の方が恥ずかしいのでこのままで居させてください。」
相手を驚かせた部分を見られ続けながら会話を続けるのは少し厳しい。
相手は良くても陽菜が恥ずかしい。
この状態で会話を続ける気だった。
…こうして上半身だけ見えていれば普通の少女と変わらない。
「…で、なんで自分の事が書いた本を探してたんですか?」
■レンタロウ > 「む、そういうものか?
…全く記憶にないが…そうか、そういうものなのか。」
少女の言葉に少し驚いたような、意外そうな表情になり、首を傾げる。
たまたま見かけもしなかったのか、それとも記憶に残っていないだけか。
どちらにせよ、自分が思っているよりも異種族は多いらしい。
「…そうか、わかった。
それで理由だったな。何を隠そう、この俺ことレンタロウは異邦人であり、記憶喪失だからだッ!
自分のことを全然覚えていないのでな。何か自分に関係する情報を集めている最中なのだ。」
少女の返答を聞くと、無理強いをするつもりも無いので了承した。
続く質問には、ついでに名前を名乗りつつ非常に簡潔に説明をした。
■藤巳 陽菜 > 異種族は異邦人街の方に集まっているから学生街などでは見かける事は確かに少ないかもしれない。
人の住居はやはり異種族には不便な事も少なくない。
「記憶喪失?それで自分の記憶の手がかりを探してたんですか?」
…まるでそんな風には感じさせない明るさが目の前の男性にはある。強い人だ。
だがそんな状況で本の中から自らの手がかりを探すのは難しそうだ。
「 えーと、何か記憶に残ってる単語とかありますか?
人の名前では流石に難しいと思うのでそれ以外で…。」
そう言うとルーズリーフ一枚とサインペンを鞄から取り出して尋ねる。
■レンタロウ > 「うむ、その通りだ。
何しろ、名前しか覚えていないのでな。自分がどのような人間だったかを思い出すために探しているのだ。」
自分のことを名前くらいしか覚えていない。
何気なく口にしているが、記憶喪失としてはかなり重症だった。
なので、名前以外の自分のことを思い出すために探していたと説明する。
「…うむ、全く無いッ!
まさしく八方塞がりと言っても過言ではないぞッ!」
紙とペンを取り出した少女からの質問には、これ以上無いくらいに堂々と無いと答えた。
■藤巳 陽菜 > 「全然駄目じゃないですか!?
なんでそんなに堂々と答えるんです!?」
何か…例えば国や世界の名前が分かればそこから魔術による検索が出来たのだが…。
…何も分からないならどうしようもない。
「…まあ、一応名前で調べてみますよ?」
…流石に壁の後ろでは使えないのかその下半身を壁から出す。
地面にルーズリーフを置きその上に蓋を開けたサインペンで真ん中に丸をつける。
「言の葉よ…知識を欲する者の前にその姿を晒せ!
─範囲半径300m─検索ワード【レンタロウ】!」
その言葉に応じるようにサインペンが浮き上がりルーズリーフの中に文字書き込まれて行く。
「【不一致】…。
…その…記憶喪失への直接の対処を考えた方が良いんじゃないですか?
それかもう我武者羅に異世界の本全部読むとか…。」
…当然のように見つからない。
300メートルの外にはあるかもしれないが少なくともこの周辺の店に彼の名前が記された本はなさそうだった…。
■レンタロウ > 「なに、悲観的なままで居ても仕方ないからな。
ならば、少しでも前向きに居た方が、まだマシだというものだッ!」
少女の言う通り、全然駄目な状態だが、それを悲観していても仕方ない。
そう腕を組んだまま、強気な表情で堂々と言ってみせる。
「…む?貴殿、何をするつもりだ?」
漸く下半身を出したかと思えば、地面に紙を置いてペンで丸をつける少女。
一体何をするつもりなのかと不思議そうに見ていた。
「ふむ…良く分からないが、あまり上手くいかなかったということは分かったぞッ!
まぁ、厳しいだとは俺も理解している。地道に情報を集めていくつもりだったからな。」
上手くいかなかった事に対して、仕方ないことだとフォローを入れる。
そこまで気にしている様子もなかった。
■藤巳 陽菜 > 「強いですね…。
私だったら絶対無理です。」
自分がどんな人間であるかも分からないのにこんな風に強気なのは彼の天性のものなのだろう。
記憶がない上での根っこの部分。
清々しいほどに自信家なのだろう。
「ごめんなさい、力が及ばないばっかりに…。
私の師匠だったら記憶喪失を直す魔法とかも知ってるかもしれませんけど…。」
少なくとも陽菜はそんな都合のいい魔術を知らない。
■レンタロウ > 「ふっ、そう褒めても何も出せないぞ。
正直、あまり余裕は無いからなッ!」
少女の言葉を褒め言葉と受け取ったらしく、得意げに笑う。
余計なひと言を付け足しておいてから、謝罪する少女に対して
「何を謝る必要がある。確かに、期待した結果ではなかったかもしれない。
だが、俺の名前が記述されたものが近くに無いことが分かったのだ。無駄ではないぞ。
…それに、俺個人としては魔法とやらが見れたしなッ!」
そういうことが分かっただけでも無駄ではないのだと、口元に笑みを浮かべながら口にする。
■藤巳 陽菜 > そのつけ足された言葉に笑っていいのかどうするべきか反応に困った表情を浮かべる。
実際、異世界から来たばかりで記憶まで無いとなれば本当に余裕はないと思うし…。
「…実際名前だけで判断するのは難しいと思うので…
持ってた物とか服とかあと身体とかを研究機関で調べってもらったらいいんじゃないでしょうか?
似たようなものがあったらそこから見つかるかもしれませんよ?」
まだ、名前だけを頼りに本を探すよりは現実的な気がする。
■レンタロウ > どう反応していいのかと困った表情を浮かべる少女と対称的に、得意げな笑みを崩さないままでいた。
「ふむ、確かにその通りだな。
俺の名前だけで情報を集めるのは、やはり現実的ではないか。」
名前だけで情報が集まるのは、その人が有名である場合くらいだろう。
此方へ来たばかりの自分について名前だけで情報を集めるのは、無謀に近い。
納得するように頷いていると、聞き慣れない単語が聞こえて
「…研究機関?そんなものがあるのか?
まぁ、確かに調べてもらった方が情報も得られるだろうし、問題は無いが。」
足を運んだことが無い施設だと口にしながらも、
そうした方がまだ進展がありそうだと少女の言葉に同意する。
■藤巳 陽菜 > 流石にこの街であっても異世界の本がどれほど流れ着いているか分からない。
仮に彼の世界でが書かれた本があったとしてもそれは藁の山から針を見つけ出すような途方もない時間を要する。
「はい、異能や魔術、異世界の事について研究している所ですね。
どこが何を扱ってるかは私にも分からないんですけど…。」
一般の生徒はおそらく異能の検査ぐらいでしか立ち入ることの無い。
研究施設群。そこになら何かヒントがあるかもしれない。
「身体の方も調べて貰えば記憶のヒントが見つかるかもしれませんよ。
身体が覚えてるとか良く言いますし。」
■レンタロウ > 「ほう…なるほどな。
其処に行ってみれば、何か分かるかもしれないな。」
異世界のことを研究しているのであれば、自分のことについても情報があるかもしれない。
それに今着ている服と軍刀についても、何かわかるかもしれない。
行かない理由が無い、と一度頷いて。
「うむ、時間がある時にでも行ってみるとしよう。
教えてくれて感謝するぞッ! …ところで、貴殿の名前はなんだ?」
少女にお礼を口にしたところで名前を聞いていないことに気付き、名前を尋ねた。
■藤巳 陽菜 > 「力になれたみたいで良かったです。」
どうやら行く事に決めたらしい。
これで驚かせてしまったことへのお詫びになればいいのだが…。
「私は藤巳陽菜って言います。
こんな身体なんですけど一応人間なんですよ?」
そうして自分の名前を答えると
「それじゃあ、頑張ってくださいね。
早くレンタロウさんの記憶が戻るよう祈ってます。
それではさようなら。」
そういって軽く会釈するとその街を歩き始めた。
今度は自分の探し物を探す為に。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」から藤巳 陽菜さんが去りました。
■レンタロウ > 「藤巳か、よろしく頼むぞッ!
…そうか、人間…なのか。」
少女の名前を聞くと反芻するように口にする。
そして、人間だという言葉には、真顔になって短く言葉を返した。
「うむ、ありがとう!
この礼はいつかするからなッ!」
少女が歩いていくのを見送った後、自分も一旦戻ろうと歩きだすのだった
ご案内:「古書店街「瀛洲」」からレンタロウさんが去りました。