2018/04/28 のログ
ご案内:「古書店街「瀛洲」」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 書店がひしめき合う学生街の一角、瀛洲
その中に居を構える小さな古書店に学校帰りに足を運ぶ。
その店は構えは小さいが店内は窮屈な程に書架が並び立ち、扱う本の量は相当なものだ。
その分人が通る通路はすれ違うのもやっとという有様だ。

「………♪」

多くの本に囲まれているという点では図書館も同様だが、
ここはあちらとはまた異なる趣があって気分が高揚する。
それは少女の表情にしっかりと現れていて、無言ではあるがどこか楽しげで。

雑多なジャンルの本の背表紙をゆっくりと目で追いながらカニ歩きで店内を進み、
時折足を止めてはこれはという本を手に取り、パラパラと中を流し見ては棚に戻すという行為を繰り返す。

鈴ヶ森 綾 > (ああ、まったく…。)

この場になら何時間どころか、何日居ても飽きる事はないだろう。
最も、それは自由に立ち読みする事を許してもらえればの話だが。

「あら、これは…。」

棚の本を物色する手がピタリと一冊の本の前で止まる。
その本は10数年程前にブームとなり、老若男女に広くうけてドラマや映画化もされて世を賑わせたシリーズ。
しかし作者急病だとかで続刊が長く出ず、次第に忘れられていった、そんな作品だった。

「…完結してたのね。」

自分もまた、この作品を忘れていったうちの一人。
何気なく手にして最初の数ページを読んで見ると、なるほど不思議な魅力と懐かしさのある文体だ。

鈴ヶ森 綾 > 本を閉じて値付けを確認すると、さして高いわけでもない。
早速本を手にレジへと向かおうとするが、はたと足を止めた。

「……んー…。」

まだここには来たばかりだ。他にも魅力的な本があるかもしれない。
元より気に入る本があれば4、5冊購入するつもりでいたのだし、どうせなら会計は一回で済ませたい。
かと言って買ってない本をあまり長時間持ち歩くのも不審に思われるかもしれない。
どうせ他の客も少ないのだしと、一旦本を棚に戻して再び店内巡りを再開させるのだった。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「さすが瀛洲というか……
 町と同じ規模で書店があるとなると本を探すだけで迷子になりそうですね」

週末。以前買った参考書を読み終えてしまい、新しい参考書を買おうと思ってやってきた書店街。
非常に規模の大きいこの場所は、当てもなく本を捜し歩けば迷子になってしまうほどだ。
とりあえず道順を覚えてられる範囲で書店を巡っていると、古書店にたどり着いた。
小説や漫画と違って参考書は妙に値段が張るものが多いため、最初から古書を買うつもりだった。
そう言う意味でも、雰囲気でもなんとなく入店。
ジャンルを問わず古書が本棚の上にまで積み上げられている。

「特にジャンル分けされてるわけではないんですね……
 学術書が置いてある辺りはどのへんでしょう…」

ざっと小説、雑誌、学術書、そんな大きなくくりで本が並べられている風だった。
さてさて、本屋の中でも迷子になるのではないかと不安におもいながら、店内を歩き回る。
狭い通路を行き来していると、ふと視界に見覚えのある姿が。

「あれ、もしかして綾さんですかね?」>

鈴ヶ森 綾 > 「あらこの本…大正8年刊?その割には傷んでないのね。値段は……。」

手にした厚めの本をペラペラとめくって独りごちる。
著者はあまり覚えのない名だが、冒頭の部分だけで何か引き込まれるものがある。
しかし貼られた値段を見て絶句。先程の本とは桁が二つ違うではないか。
はぁ、と小さくため息をついて本を棚へと戻した。

「……あらラウラ。こんな所で会うなんて珍しいわね。」

意気消沈している所で不意に名前を呼ばれ、反応してそちらへと顔だけ向ける。
声の主と目が合うと、少し意外そうにしながらも柔らかく微笑みかけ、書架の間を縫うように近くへと寄っていく。

「何か捜し物かしら?」

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「ですね。私自身ここには初めて来ましたから」

やはり彼女だった。
こんなところで会うとは珍しい。そう言われると確かにそうだと相槌を打つ。
彼女がこういう場所にいるのは不思議ではないが、
自身がこういう場所にいるのは確かに珍しいのだ。

「参考書というか、学術書を購入しようかと思って。
 でも結構いい値段するので、古本で買おうかなぁと」

小声でそんな風に理由を説明すると、今度は逆に
綾さんも何か探してたんですか?
と問いかける。もっとも、彼女のように日常的に本を読む人は
目的をもって定期的に来ているのかもしれないが。>