2018/04/29 のログ
■鈴ヶ森 綾 > 「そう…確かに、そういう類の本はそれなりに値がはるものね。
それで、本は…まだ見つかってないみたいね。」
今しがた見たようなのは極端な例だとしても、本とは元来高いものだ。
納得したように頷いて彼女を見て、買い物の痕跡を認められないと先回りするようにそう続けた。
「私?私は特にこれと言って目当てがあったわけじゃないわ。
連休中に読むのに良さそうな本があったら買っていこうかと思って。
休みと言っても、特に他にやることも無いから。」
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「ええ、どうしても消耗品にお金がかかるぶん、
こういう部分で節約しなきゃなので。
そうですね。私はまだ探し始めなので」
彼女が今さっきまで見ていた本のことは知らないが、
長く生きている彼女なら本が高いという感覚はわかるのだろう。
「ああ、そう言うことですか。
確かに予定がない連休って退屈ですからね」
彼女の事情を聴いて、こちらもまた納得したような表情。
とはいえ、彼女もまだ本を手に取っていないように見える。
「あ、せっかくなので私も学術書以外の本も買ってみましょうか」
思いついたように言えば、『何かお勧めとかありますか?』と期待した表情。
慣れた相手だからこそだが、こういうあざとい感じも出せるようになった。
せっかくだから知らないジャンルを案内してもらってもいいかなと思って>
■鈴ヶ森 綾 > 「こういう時、上級生の知り合いでもいれば譲り受けたりもできるんでしょうけど。
生憎と私も交友関係は狭い方なのよね。」
学園では社交的にやってはいるが、部も委員会も無所属というのでは、そもそも知り合う機会が少ない。
そういう意味では、目の前の相手は互いにとって貴重な存在なのだろう。
「お勧め…お勧めねぇ…。」
ふーむ、と顎に手をあてて一唸り。
ちょっとそこで待ってなさいと一言告げて店の中をあっちへ行ったりこっちへ行ったりと慌ただしく移動し、
日本近代文学の有名所、最近出た話題のエッセイ、少し古めのピカレスク小説、その他雑多な年代、ジャンルの本を
ひょいひょいひょいと手渡していく。中には料理の本まで一冊紛れ込んでいた。
「一応、どれも私が読んで面白かったものだけれど…気に入ったのがあれば選んでちょうだい。
あぁ、勿論全部買う必要はないわよ。図書館で借りられるものもあるし。」
彼女のための本を物色する一方で自分が読む本もしっかり探していたのか、
渡し終えた後にもその手の中には3冊の本が残っていた。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「そうなんですよね……
仲のいい友達や先輩がいれば参考書を譲ってもらえたりするんですが……」
自身も、彼女も、生憎交友関係が広いわけじゃない。
知り合いは多いかもしれないが、
参考書をはじめとしてモノを譲り合うような仲の友人は無に等しかった。
ちょっと待ってなさいと言われると、まるで飼い主を待つ犬のようにその場で待機。
少し慌ただしさを持って移動する彼女を目で追いながら待っていた。
そして何冊か手渡された本を順番に見ていくと、いくつか興味を惹かれる本があった。
最終的に手に取ったのはピカレスク小説と料理の本だった。
「じゃあこの二冊を買います!」
図書館にあると言われるも、この二冊だけは手元に置いておきたいと思ったのだ>
■鈴ヶ森 綾 > 「…あら、それは…ああ、いえ。ラウラが喜んでくれたなら選んだかいがあったわ。」
料理の本は自分用のつもりだったのを誤って渡してしまったのだが、
本人が選んだのなら水を差すまいと口をつぐんだ。
「じゃあ私はこれを戻してくるから、後は貴方が探してる学術書を見つけたら用事は終わりかしら。
良かったら、その後でどこかお茶でもしていかない?」
選ばれた2冊以外の本を元あった所へと戻し、彼女が求める本を一緒に探して狭い店内を歩き回る。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「……?
えへへ、折角ですし自分でも料理を勉強してみたくて」
ニコニコと嬉しそうに本を抱くと、
「じゃあ私も戻すのについていきます。
見た感じ厳密に並べられてるわけじゃなさそうなので」
きっと適当な場所に学術書が置いてあってもおかしくない。
そんな風に思って、彼女が本を戻す後ろをついてあるく。
「お茶、良いですね。
どうせ私もこの後用事がない身ですし」
本を探しながらお茶に誘われると、嬉しそうにうなづく。
そうやって店内を歩いていると、面白そうな本を見つけて、
二人一緒に会計を済ませに行く。
私が料理の本を手にしたとき、彼女が何を言いかけたのかは知らないまま、
購入した本を持つ姿はまるで子供のようだった>
ご案内:「古書店街「瀛洲」」からラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが去りました。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。