2015/07/02 のログ
楓森焔 > 「はあー」
 上を見上げてそれを見つめる。
「夕空。紅雲。夏の風」
 馬鹿みたいに口を開けて眺めると、それがとても気持ちの良い光景に見えた。
「なるほどなあ。……ええと、そういうのってなんてーんだ? シテキ?」
 何も見えてなかった、というところまで含めて不思議な言い回しだと感じた。
だから視線を戻してから笑いかける。
「ユーウツな感じって奴かね」

綿潟からめ > 「感傷的って言うのかな。それか――」

 多少、笑みの色が意地悪くなる。
 目の前の、絵に描いたように健全な少女へこういうことを言ったらどうなるか見てみたかった。

「――ダウナーにトリップ中、でもいいかな」

楓森焔 > 「とりっぷ中――って、あー。クスリか!」
 バカで世間知らずだが、多少の心得ぐらいはあった。
 んー、と首を捻って。
「あんまりよくないと思うぞ、うん。自分に返ってくんだろ、ああいうのって。
分かっててやってんだろうけどさ」
 思っていたよりはドライな反応だろうか。
ただ、そちらの身を案じるようなニュアンスだ。
 がさり、と袋の中を漁ると、
「あんまん食うか? 腹減ってると気分も落ち込みやすいだろ」
 なんてあっけらかんと新たなあんまんを差し出した。

綿潟からめ > 「ふーん」

 終始閉じ気味のからめの目ではあるが、楓森の言葉に少しだけぱっちりとする。
 頬杖を止めて、背もたれからもちょっと距離を置いた。

「あんまんちょーだい。
さっきからそこのハトにエサねだられても何もやれないくらい手ぶらなの」

 細い顎で、未だにその辺をうろついているハトを示した。

「でも、危なくない?
キマってる人に食べ物あげようと近づいたら隠し持ったナイフでブスリ、とかされるかもじゃん。
……私はしないけど」

 忠告とも脅かしとも取れることを言いながら、うっすら笑った表情であんまんをねだって手を伸ばす。

楓森焔 > 「そりゃ大変だ。だうなーにもなるってもんだな!
あ、にくまんもあるけどどうする? まあいいや、とりあえずあんまんな」
 言いながら横に腰掛け、あんまんを手渡した。
自分のあんまんを食べながら、首を傾げた。
「まあ、腕にゃそこそこ自信あるしさ。自分の身も守れなくて何が実戦流派だってなるだろ?。
それに、えーっと、なんだっけ。袖触れ合うもタショーの縁っていうじゃんか」
 見た目の通りには鍛えているらしい。
鉄下駄を履いているような割には、年頃の少女特有の柔らかさのほうが強いようには見えるが。
「うお、指にあんこついた」
 さほど気にした様子もなく、あんまん一個をあっという間に食べ終わって指先をなめている。

綿潟からめ > 「袖すり合うも多生の縁、されど心は常在戦場? ありがと、いただきます」

 あんまんを受け取って、熱くないか念入りにフーフーしてパクつく。
 ……一部の人間は、ある種のドラッグの常習者からは特有の体臭がすると言う。
 楓森にその辺りに知識があるかはともかく、綿潟からは、夏の夕方野外にいた故の多少の汗の匂いしかしなかった。

「うん、甘い」

 とりわけ嬉しそうでもなしに淡々と、しかし結構な速度で食べている。
 とはいえ楓森には及ばない。
 食べながら、楓森の指先、それを舐める仕草へじっと視線を注いでいる。

楓森焔 > 「あー、それそれ。なるほど、ええと、されど心は常在戦場……」
 間違った知識を覚えた。どうやらワンセットのものと勘違いしたらしい。
ふんふん、と頷きながらあんこを飲み込んで。
「ん? どうした。あれか。もう一個食いたいって? もう肉まんしかないぞ」
 指先に視線が行っているとは思わず、舐めていないほうの手で袋を漁る。
軽く走ってきているからか、彼女もまた汗の匂い程度しかしない。
流石にドラッグ常習者特有の体臭、というものも嗅いだことがなかったし、
人の汗の香りは嗅ぎ慣れている。
 特に気にした素振りもなく肉まんを取り出した。

綿潟からめ > 「にくまん」

 まるで創作言語のように口ずさみ、少し考えて、

「……いいよ、鍛えてるんだから沢山食べなきゃならないでしょう。ごちそうさまでした」

 ゆったりと首を横に振った。
 束ねた髪がモサモサと揺れる。

「見てたのは、あなたの指。
キツいトレーニングしてそうなのに、思ったほど拳ダコみたいのがないなって思ったから。
それと……」

 からめも、あんまんを掴んでいた方の指を広げる。
 五指ともに深爪である。

「舐める仕草がセクシーだな……って」

 告げて、桜色で少し小さめの舌をのぞかせ、自分の指先を舐めた。

楓森焔 > 「ん、そうか。じゃあありがたく」
 取り出した肉まんの包装紙を広げて、一口かじる。
 焔の表情はシンプルで、「肉まんうめー」とかしか考えて無さそうなわかりやすい表情だ。
「? あー、確かになあ。あんま考えたことなかったけど……」
 裸足で走ることが基本となる彼女の流派。
流石に足の裏は固かったのだが、考えてもみなかったと自分の手をしげしげと眺める。
「俺が考えた流派だけど、なんかこう……俺の分からない理屈があるんだろ。柔らかい身体ってのも戦うには必要だしさ」
 少なくとも他の格闘術ではこうはなるまい、と。
深くは考えずに応答してからめの指に視線を送る。
「セクシー? はは! そりゃあ初めて言われたなあ!」
 真剣には捉えなかった様子で。しかし、
「そっちのそれこそ、セクシーって奴じゃねえの?」
 口調の通りか、焔のそれは男っぽい仕草。
女性的な肉付きではあるが、実際セクシャルとは無縁な態度であった。

綿潟からめ > 「『固いだけの筋肉よりもしなやかな筋肉の方が、状況を選ばず戦うには実戦的だ』、って読んだことあるかも。
……格闘物の小説だから眉ツバだけど」

 いまいち無責任なコメントをしつつ、自分の指を見られているのを自覚して、空中でピアノを弾くように動かす。
 体格通りにそれほど長くはなく、そして白く細く、生きた陶磁器のようである。

「あなたに下手にセクシーなんて言ったら殴られそうだったからじゃない?
それか見る目のない人ばかりだったからか。
それとも、私がレズだからかな」

 無造作な口調で言葉を並べる。
 興が載ってきたのか、両手でエアピアノを弾き始める――実際は心得がないので適当である。
 楓森を見はせず、視線はエア楽譜のあるであろう場所を見つめている。
 
「お色気ムンムンアッハンウッフンだけがセクシーじゃあないね、私に言わせれば」

楓森焔 > 「なるほどなあ……」
 格闘小説。小説をあまり読まないが、
アニメや漫画から着想を受けることは少なくない。
 それを体現していくスタイルの少女は、興味深そうに何度か頷いた。
 空を指で叩くからめの姿を見れば、
「おー、ピアノひけんの?」
 なんてエアピアノが様になっているような気がしてついつい聞いてみた。
「殴られそうってお前! ……そうか? 殴りそうに見える?」
 殴るというわけではないが、ふざけた調子で背中でも叩こうと思ったが。
エアピアノの最中だから途中で止めて。いや、そもそもこれ舐めた指だった、と思い直す。
 雑な性格なのは自覚していたが、乱暴ものという認識はなく。
ちょっと不安そうに首を傾げた。
「れず……ってえーっと……なんだっけ……」

綿潟からめ > 「弾けない」

 即答。

「右手だけなら、物凄く簡単なのはできるけど。左手と一緒に動かすのは無理無理カタツ無理」

 よくよく見れば、右手と左手でちょくちょく指運びが被っている。
 やがて、ジャーンッと……音はしないが、両手を叩きつけるような仕草で、エアプレイを止めた。
 そして楓森を見る。黒色なのに、どこかくすんで、彩度の低い瞳。

「……あなたはとりわけ粗暴そうではないけどさ。
物を殴る方法を熟知してる、鍛えてる、能力が高い、ということは、ひ弱な側からするとそれだけで警戒と敬遠に値するんじゃない。
たとえば、温厚そうでも警察官をからかうのはちょっと躊躇われる」

 楓森の不安を解いてやろうなんて気遣いの薄いことを言う。
 それから、レズという言葉を知らない純朴さに、少し微笑む。

「レズ……レズビアンってのは、女が恋愛対象の女のこと」

楓森焔 >  相手の即答にはけたけた笑う。
こういうノリだけの会話や動きは嫌いじゃない。
演奏が終われば、自分の腿をぱしりと叩いてからなんとなく拍手した。
 続く彼女の言葉にも、なるほど……とか頷いた。
「んー、まあ確かにそりゃあ納得だ。俺は大体のやつあんま怖くねえけど、
警戒ってのは大事だしなあ……」
 相手の言葉は真正直に受け止めている。
肉まんを食べる手も止まり、頭を掻いた。
 ――女が恋愛対象の女。そういう手合に出会うのは初めてだ。
「はー! なるほどな。初めて見た。あ、こういうのまずいか?」
 物珍しがる、という行為を嫌う人もいる。そういうことぐらいは彼女でも分かっていた。

綿潟からめ > 「あなたが他人を怖がらないのも、あなたが強い――少なくとも強くあろうとしてる――からかもしれない。
何かの高みに向かう人は、その他大勢と感覚がずれることになりがち」

 良きにせよ悪しきにせよ、と説教のようなことをボソボソ口にした。
 それから、自分の恋愛の好みに対しての反応に、

「私は構わないけど。
そういう興味の持ち方から入って、関係を持ってくれる人もいるし。
なんなら触ってみる? 運が良ければ噛みつかれないと思うよ」

 と、両の手の平をぺらぺらと見せる。

楓森焔 > 「なるほどなあ。んー、そこは気をつけとこう」
 そもそも、思い込みが先行しがちな性格だ。
実践できるかどうかはともかく、意識しておくだけでも違うだろう。
 ありがとな、なんて素直に告げてから。
「んな動物じゃねえんだからさ」
 肉まんを持ち替えて、きれいな方の手で握手とばかりに差し出した。
「一年の楓森焔。よろしく」
 と笑顔を浮かべた。

綿潟からめ > 「動物だよ。時々猫になるから、引っかいても大丈夫なように爪切ってるの」

 嘯いて、差し出された手に握手を返す。
 一拍の後、その握手した手の人差し指の先を、楓森の手首から手の平の中央まで、つつつ、とやわい力でくすぐるように辿らせた。

「……ほら、引っかかれた。
私が人間の時の名前は綿潟からめ、同じく一年。人間だから炎(ほむら)は怖がらない」

 感情の薄い顔に、それでもある程度の親しみを込めた笑みをのぞかせて名乗った。

楓森焔 > 「ひゃおっ!?」
 変な声が出た。くすぐられるのはどうやらあまり慣れていないらしい。
ちょっと戸惑いながらも拒絶はない。ゆっくり手を戻すと、
「おお、びっくりしたー」
 特に何があるというわけでもないのだが、なぞられた場所を軽くさすってみる。
「からめ、からめな。オッケーオッケーよろしく!」
「しかし、まあ確かに猫っぽいといえば猫っぽい」
 なんて、じっと見つめた。

綿潟からめ > 「そう?」

 小さく首をかしげて、焔を見た。
 目を合わせ、じっと覗きこむように見つめ返す。
 顔を近づけたりはしないけれど、からめの瞳に映る焔の顔が焔に見えるくらい、真っ直ぐに。

「焔は、私のどこが猫っぽいと思う?」

 本のページとページが擦れるような、乾いて軽い、それでいてどこか密やかな声で問う。

楓森焔 > 「んー」
 目を合わせるのは得意分野だ。
特に細かいことを考えず、見つめ返す。
 そうだなー、と暢気に返しながらすこし視線を外して肉まんをようやくかじった。
「ほら、あれだ。雲」
 外した視線は空を見上げていた。
「こう、ふわっとしてるじゃん? 掴みどころがないっつーか」
 最初の言葉を思い出して感想を述べた。
「そういうのって猫っぽくない?」

綿潟からめ > 「なるほど」

 ひとまず頷いて、視線を外す。
 指を口に近付けて、だいぶ深くなっている爪を、それでもカリカリとかじった。
 ふと、小さく苦笑する。

「……猫にしては、今はだいぶ人懐っこくしてるつもりなんだけど」

 聞こえるか聞こえないか微妙そうな――でも確実に聞こえそうな声量で呟く。
 もう一段苦笑を深くして、まあいっか、と言った後、

「焔はなんでこの島にいるの」

 唐突に問いかける。

楓森焔 > 「分かってるよ! 仲良くしようぜ!」
 小声には勿論反応する。
レズだとかそういうところは特に気にしないらしく、肩をばしばし叩くだろう。
 基本的にその場の勢いで生きている節があった。
「あー、俺? 俺はほら、武者修行の一貫。
ここにゃいろんな奴がいるし、全方位型必殺格闘術を謳う俺としては
異能者やら異邦人やらが多いここなら絶好の機会ってわけ」
 見ての通り、なんて胸の"俺"の字あたりを親指で示して。

綿潟からめ >  ばしばし叩かれた肩は、服ごしでも少し骨が浮いているのが分かる。
 ぐらぐら揺れながら、やっぱりちょっと苦笑して、

「そうね、仲良くしよう」

 と返事をした。内心で、(ちっともアピールを分かってはいないだろうけどさ)と思いながら。

「へえ、じゃあ、本当に常在戦場だ。
確かに絶好の環境ではあるかも。
……焔の仲良しさん的には、もうちょっと安全性が確保されてほしいけど。
できるなら、修行の邪魔にならない程度に気をつけて。
戦うのはどんどんやればいいけど、緊急逃走手段を準備しておく、とか」

楓森焔 >  叩くと返ってくるのは固い感触。どうにも頼りない印象で、
「お前も鍛えたほうがいいんじゃねえか? どうだ、やってみるか、俺流」
 なんて勧誘しつつ、ずばっと立ち上がってみる。
鉄下駄を脱ぎ捨てると何歩か離れた位置で構えてみた。
「別に喧嘩ふっかけてるわけじゃないよ。同意した相手としかやらねえしさ」
 格闘技をかじっていれば、隙だらけな構えであることが分かるだろう。
ベースは空手のような印象だが、やや甘い。
「緊急逃走手段ってんなら……こういうのはどうだ?」
 そう言いながら空っぽになった袋を投げた。
あんまんの底紙と紙袋が空に舞い散る。
「いよっと!」
 声を上げながら飛び上がる。大きな音を立てて上空を駆けると、
空を舞う紙袋を"足で踏む"。
 まるでそこに地面でもあるかのように。
乾いた音を立てて紙袋を踏み台に飛び上がった。
「もういっちょお!」
 あんまんとにくまんの底紙をそれぞれ踏みつけて、どんどん高みへ飛び上がっていく。
上空10mほどに達しただろうか。
その時点からぐるぐる縦回転を繰り返し。
着地の瞬間には、片足を滑らせるようにして地面を削りながら伸ばしていく。
まるでストレッチのような体勢で大きく沈み込んで静止した。
「へへ、こんな感じで。流派・俺流はどんなところでだって走ってけるのさ! 現在門下生募集中!」
 ババァーン、と音がしそうな見得の切り方で親指をたてた。

綿潟からめ >  一連の曲芸じみた、いや奇術めいた、いやいや――奇跡のごとき動きに、ぼんやりしがちなからめも驚いた顔を見せる。
 胸元で手を合わせて、

「すご……」

 と漏らした。
 そして考える。宙を走る、或いは物を空中に固定する異能などは十分考えられる。魔術であっても、大気の操作などで再現可能なのかもしれない。
 けれど、直感ではあるが、今のはそういう、限定的な能力の応用ではない気がした。
 かと言ってもちろん、ただの体術では絶対に不可能だ。
 とすると――。

(――いや、考えてもわかんないけどさ)

 出来ると信じれば出来る、とかなのかもしれない。
 そんな便利でアバウトで、自信喪失で全て失われかねないある意味不安定な異能があるのか知らないが。

(ってだから、考えてもわからんっつの)

 それで「種の考察」は止めて、焔に改めて注意を向ける。
 見得を切ってくれているのに放置してしまっていた。

「えーっと、うん、凄い、焔。
確かにそれができるようになるのは魅力的……でも私はインドア派。
焔と一緒に何かできたらいいなと思うけど、誘いに対してはごめんね」

楓森焔 >  ばばーん、と親指を立てたまま静止している。
しかしまあ、何かじっと考えこんでいるようだしずっとこのままの体勢なのはアレだ。
 程なくして、手をぱんぱんと払ってから、紙袋たちをひょいひょいとキャッチ。
じっと何かを考えこんでいるからめを観察してみる。
「あ、こりゃ異能じゃないぜ。ちゃんと教えれば出来るんだ、これが」
 異能か何かと疑っているのだろう、と結論づけて。
――実際は異能の力であるが、それを知るものも、それを解明できるものもこの世界には居ない。
いずれにせよ、伝授することができる、"技術のようなもの"には違いないのである。
この技が完成した時から、世界は『それが可能な道理』に切り替わっている。
 相手がこちらに反応すると、頭を掻いて。
「へへ、だろ? ま、無理に誘うつもりはねーんだ。
もし興味ありそうな奴が居たら声かけといてくれよ」
 なんて、反応はからっとしたものだ。陽気に笑いかけながら元の位置に戻った。

綿潟からめ > 「教えればできる?」

 それに引っかかったように眉間にしわを寄せた。
 そして、またしばし考える。

「指導で使えるようになるからといって、異能じゃないとは限らないでしょ。
たとえば、感染する異能と呼ぶべきものかもしれない。
それか、強力な磁石の近くに置かれた鉄屑が、やがて磁性を示すようになるのと似た作用があるとか。
……ま、私は異能研究職志望じゃないから知らないけどね」

 ある程度まで考えるだけ考えて、面倒になってきたら放り出す癖。
 どちらかと言えば悪癖なのだろうけど、あまり治す気はなかった。

「門下生募集中なら、宣伝の手伝いくらいはするよ。
あんまんのお礼」

 戻ってくる焔を迎えた。
 隣に座る焔を改めてじっくり眺める。
 武闘家然とした出で立ち、目元、うなじ、胸元から腰、足……。

楓森焔 > 「入学の時調べてもらったけど、学者も意味わかんねーけど異能じゃないって太鼓判を押したぜ」
 とけらけら笑いつつ。
しかし、自分の考えだして鍛錬してきた技術だ、いつまでも疑われては不機嫌にもなるだろう。
そういう意味で今回のからめの悪癖はいい方向に働いたようだった。
 ひとまずベンチに腰かけて背を預ける。
「よっしゃ! ありがとな!」
 嬉しそうに声を弾ませ、拳と手のひらを打ち合わせる。
 笑う彼女の目元では、泣きぼくろが目を引くだろうか。
容姿は整っている方、であると思われる。化粧っ気もなく、髪の手入れも雑だ。
しかし、鍛えている割には筋張っておらず、脂肪も乗っている。
スタイルも、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる――
それなりに手を加えれば、実に女性的な外見であるといえた。
 身体を動かしたからか、隣に座るだけでも少しあたたかいかもしれない。
 鉄下駄は脱いだまま、ぷらぷらと足を揺らしている。
「へへ。今日は試験の結果がユーウツだったけど、友達が増えていうことなしだ」

綿潟からめ > 「そうなんだ、じゃあそうかもね」

 学者がそういうならそうなんだろう。
 よく知らないことについては、割と権威主義であった。

「ああ、試験……それならホントは私より焔の方が感傷的だったんじゃない。
気持ちの安定に役立てたならよかった」
 
 そう言うと、今度はからめの方が立ちあがる。
 パーカーのポケットから連絡先の書かれた名刺のようなものを出して焔の膝に向けてふわりと投げた。

「猫っぽいやつとのアニマルセラピーがしたいのでも、友達とダベりたいのでも、レズビアンと乳繰り合う気になったのでも、どんな要件でも気軽に連絡して」

楓森焔 > 「言うほどじゃあねえけどな。
ヤマ外しちまってさ。どうしよっかなーやべーかなーって」
 頬を掻いて。でも、友達が増えたことはいいことだ。
 名刺をそのまま受け取ると、大事そうに懐にしまってから。
「おう。よくわかんねーけど、また遊ぼうぜ」
 アニマルセラピーとか乳繰り合うとか。
細かいことはまったく流していた。
流していた、というよりは「よくわからんこと」として胸に留めたというのが正しいか。
「大体寮に居るか、あと青垣山で山ごもりしてるか……あー、あと道場。未開拓地区のさ」
 と軽く道場の場所を説明したり、携帯の番号を教えたり。全部口頭だが。
「大体そこらに居るから。まあ山ごもり中は多分連絡つかねーと思うけど、
俺もいつでも声かけてくれよな。暇だったり、それこそユーウツな時なんかは付き合うぜ」
 やはりそこにも細かいニュアンスはない。
大雑把に笑うと、手を伸ばし、今度は軽めに倒れないよう、手の届く腰なり腕なりを叩くだろう。

綿潟からめ > 「山籠りに未開拓地区って、半分風来坊ね」

 小さく肩をすくめて、しかしその場所は覚えておく。
 肉好きの薄い腕を叩かれる。
 その焔の手が引っ込められる前に、からめからも手を伸ばして掴んだ。
 指と指を絡め、少し汗ばんだ指の股どうしを密着させながら囁く。

「……しばらく話したけれど、私やっぱり、焔はセクシーだと思うよ」

 言い終ると間髪いれず滑るように手を抜いて、背を向けた。

「じゃ」

 ヒラッと手を振って、さっさと歓楽街へと歩いていく。

ご案内:「常世公園」から綿潟からめさんが去りました。
楓森焔 > 「お、おおお……おお……」
 なんだか、勢いで圧倒された。成すがまま、というか。
絡められた指を振り払うこともなく、ただ囁かれて。
「そ、そうか? まあ、そういうことにしとこうか、な」
 苦笑しつつ、自分の腿をひっぱたいて活を入れると、そのままこちらも鉄下駄を履き直して立ち上がる。
「よし、それじゃあ俺も行くか! それじゃあ、またな! からめ!」
 こちらもそのまま歩いて行くだろう。帰って試験勉強をしなければ。

ご案内:「常世公園」から楓森焔さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に天導 操さんが現れました。
天導 操 > んー、っと

【ベンチに座って伸びをする女性…その後、小さく欠伸をしながら缶コーヒーを一口】

天導 操 > やけに何時もより早く起きちゃった感じかなぁ…慣れない枕が原因なのかも

【1人でそう呟きつつ、ベンチでぐたーんと…普段から早起きの習慣がなければ、この余った時間の過ごし方も思い付かないものである】

ご案内:「常世公園」に天導 操さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に天導 操さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に天導 操さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に天導 操さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に天導 操さんが現れました。
天導 操 > 【またコーヒーを一口…そして立ち上がって、】

まぁ、起きちゃったものは仕方ないし…休憩は終わって、散策再開しよっか!

【ゴミ箱に缶を投げ入れて、何処かへ歩いていく】

ご案内:「常世公園」から天導 操さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にアルフェッカさんが現れました。
アルフェッカ > 午後を回り、夕方という時間が近い、常世公園。
一人の少女が公園内のベンチに腰掛けている。

パーカーに、ワンピース、ジーンズにローファー、そしてハンチング帽。
警戒する様子はまったくない。

「ん~っ…。」

軽く伸びを一つ。
そして、ポケットからふたつの封筒を取り出す。

アルフェッカ > 一方は糊付けされ、封がされている。
もう一方は空いており、中には一枚の手紙。

「試験期間中じゃ、しょうがないよね。忙しいし。」

手紙には、入学手続きについての事が書かれている。
現在は試験期間中故、それが終わってからの各種検査等になる事。
それに際して、封のされた封筒を持って、指定の日時に指定の場所へ来るようにとの旨が記述されていた。

アルフェッカ > しかし、検査まで余裕があるのは有難い。
その分、こちらも余裕を持って検査に臨む事が出来る。
その為に必要な用意にも、時間を割ける

「――差し当たり、まずは血液検査の時にどうするか、かな。」

一番大きな山場はまず此処だろう。
事前に何の用意も無く採血されたら大変だ。
出て来るのは血ではなく、仄かに発光する液体なのだから。

「…予め、断っておくのが一番だよね。
成分・組成は……此処の技術力がどれだけなのか、まだ分からないから伏せておくか。」

提出した書類に、一応自分が人間でない事は記述してあるが、血液の事まで突っ込んでは書いていない。
検査の際に、それを断って置く事が一番だろう。

アルフェッカ > 次の検査は…未知のウィルスに感染していないかの検疫。
これについては大丈夫だろう。
世界間転移を行う際、徹底して滅菌を行っている。
心配であるなら、猶予期間中に再チェックとクリーニングを行って置けば良い。

「後は……異能と、魔術かな。」

異能については、自身の機能【システム】を必要な分、開示すれば良いだろう。
一応、異能と言えるようなシステムは二つ。
どちらを開示申告するか、あるいは二つとも申告するかだが…。

「……結構悩むな~…。どっちとも、出来る人がいそうな気もするし、そうでない気もする。」

アルフェッカ > ……しばし悩む。
しかし中々結論が出ない。

「あ~~~~………。」

悩み過ぎて、妙な声が出て来る。
もちろん、そんな事で解決するなら苦労は無い。

「……部分開示…いやいやいや、それは良くない気がするな…。」

アルフェッカ > 「……いいや、後で考えよう!」

とうとう先送りにしてしまった。

「異能は後回しにして…魔術の申告は…疑似魔術も魔術って認めて貰えればいいんだけどな。」

実際には自分の出身世界の「技術」だが、出来る事はそんなに変わらない、気がする。

「分かりやすいように、何か資料でも作った方が良いかもね。」

アルフェッカ > …先送りにした異能以外は、概ねこんな所だろうか。
これ以外の検査については――拒否が可能であった筈。

「…意識奪われてその間にハッキング…だけは回避しないとだね。」

自分の為でもあるが、それ以上にハックを試みた人間の為に。
最悪、検査の場が戦場になってしまう。
システムを切れればいいのだろうけど…こればかりはどうしようもない。
自己保存のコードは、立派に生きているのだ。

アルフェッカ > 「――――よし!」

掛け声と同時にベンチから立ち上がる。
ぐるぐると腕を動かしながら、公園の出口へと向かう。

「残った時間で、資料を作って、機能をどう開示するか考えて…あ~、意外とやる事があるなぁ~…。」

一人ごちながら、少女は公園から歩き去って行った。

ご案内:「常世公園」からアルフェッカさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に葵 桃花さんが現れました。
葵 桃花 > 「わぁぁぁ~~んっ…… 漢字失敗しまくっているの……」

とダッシュをする少女。
これだと不味いの不味いの!! (漢字を覚えるのは苦手なのか散々な有様だったようだ)

「…… ももか 何で感じを書くの苦手なのかなぁ・・・・」

駆けていくっ どう見ても現実逃避だ…… 池の方にまでは知っていく。

葵 桃花 > 池を眺めていると、ボートとかを漕いでいる人がいる

「凄く楽しそうなの~ ももかもぼーとのりたい~」
白鳥型になっているお舟を見つつ・・・ただ、誰も乗っていないのでぽつりと、のこされているお舟……

「500円・・・高いのっ……

あのきれいな鳥さんの奴乗れる人すごいの」

はぁ~ 漢字難しいの・・・と深々とため息をつく

葵 桃花 > 「かんじなんであるんだろう・・・・ ももか、かんじなんてなくても、いきていけるのに」

とうつろなめで、ぼうよみがてらそういう・・・
ふだんは のーてんきなしょうじょでも、ちからなくほほえむときはある。

「かなちゃんは、かんじ、とくいだもんなぁ~ なんであんなの、とけるの!?」

・・・・(PL:かんじなしだとよみにくいの)

葵 桃花 > (近くにある小石を拾い、えいっと、石を投げる)・・・・
偶然だが、ぽんっと、水の上を跳ねる


「!?・・・ え!? 何今の・・・!?・・・いま水の上跳ねた!?・・・何だったの今の!? え!? ふしぎ!?」

自分が投げた石が水切りをした事によって驚いた表情をする。

「も、もういちど、 もう一度やってみるの!!」

葵 桃花 > 「えっと・・・こうだったのっ・・・・・・石をポンと適当に投げたら、はねるの・・・」
そして、意識して投げるが・・・全く水切りになる様子もない・・・・

「あれ?・・・何でさっきは出来たのにっ あっ、もしかしてさっきの石さんは根性あったのかなぁ?」

葵 桃花 > 石を結構投げたかすっきりした表情になる。

「楽しかった~~~~ すっきりなの!!

よぉ~~し まった明日も頑張るんだよ!!」

葵 桃花 > ランドセルを背負いまた、駆けていく…… お家に向かって
ご案内:「常世公園」から葵 桃花さんが去りました。