2015/11/25 のログ
ご案内:「常世公園」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > (開けた広場の真ん中に、しゃがみ込むヨキと子どもたち。
子どもたちが輪になって、中心のヨキを囲んでいる。
ヨキの足元の砂には、複雑な図形を組み合わせた絵――魔法陣が描かれていた。
当人の器用さならではの、精緻な幾何学図形だ。
異能で創り出した金色の枝を杖代わりにしたヨキが、周囲の子どもたちに目配せする)
「近付くでないぞ……見ておれ」
(そうしていかにも神妙な面持ちで、ムニャムニャと呪文を唱え出す。
地球上のいかなる魔術体系ともつかない言語。
その地面を這うような低い響きは、さながら声明のごとき詠唱であった。
子どもたち――幼稚園から小学校低学年ほどの十数人が、各々はらはらとして魔法使いめいたヨキを見守っている。
期待に目を輝かせる者、こわごわと耳を塞ぐ者、年少の子どもを抱いてかばう者、早熟な異能で結界を張る者……。
目をくわっと開いたヨキが、陣の中心を枝の先でひと突きする)
「……――【 Euy ! 】」
■ヨキ > (『えい』とも聞こえたその一声。
杖もどきの先端が魔法陣を突いた瞬間――
ばちん!
とけたたましい破裂音がして、紫電がヨキの鼻っ柱を強打した)
「げあッ!!」
(頭が後方に弾かれて、その勢いのまま尻餅を突いて引っ繰り返る。
ぴゃあーッと悲鳴を上げた子どもたちは、やがてヨキの尻餅にけたけたと笑い出す)
「お主ら笑うでなァい!けっこう難しいのだぞ!」
(背中から尻まで盛大に砂まみれのヨキが、重たげに身を起こす。
魔法陣に封された属性は――『火』。
紫電など、およそ関わりもしない魔法のはずだった)
ご案内:「常世公園」に観堂 貴緒さんが現れました。
■ヨキ > (失敗に不服そうにしながら、魔法陣を突いた枝の先でぽりぽりと頭を掻――こうとして、)
「あッつ」
(金属はおそろしく熱せられて、思わずぱっと引き離した。
感電した鼻先を掻きながら、魔法陣を見下ろす。
子どもたちがそろそろとヨキのもとに近寄ってきて、せんせーこれ、とレジュメを差し出す。
今日はこの実験をしますよ、と示した図だ)
「ううむ……図は合っているんだがなあ。やはり適正の問題か」
(ヨキの肩から背中から腕から腹に、わさわさと子どもが群がる)
■観堂 貴緒 > 公園内でばちん!という破裂音が聞こえた……。
一応、一応いって見るか。低年齢のガキ共がやんちゃしているだけだろう。
「あー……風紀委員だ。そこのアンタ誰だ、何をしているんだ?。」
缶ビールを片手に子供達に離れてろとシッシと手で払う。
とぼとぼ歩きながら獣人系の男に訪ねる。
■ヨキ > (指をぱちんと弾く。枝がぬるりと溶けて、手のひらの中へ滴のように吸い込まれてゆく。
子どもの頭をわしわしと撫でながら立ち上がり、魔法陣を見下ろして考え込む)
「………………、」
(そこで聞こえた声に、振り返る。
自分が声を掛けられたと気付くのに、少し間が空いた)
「おや、君は……」
(観堂が追い払わんとする様子に、むしろ子どもたちはますますヨキへひっついてゆく。
大樹の陰から覗き込むように、恐る恐るの面持ちで観堂を見上げている)
「ヨキだ、学園で美術を教えている。
この子らは学生街の孤児院に住んでいる者たちで……ヨキがたまに面倒を見ている」
(観堂を見下ろす格好で、にこりと笑い掛ける)
「君は……風紀の。たしか名を、観堂と言ったか。
紛らわしくて済まなかったな、今日は実験の授業をしておったのだ」
■観堂 貴緒 > 溶ける杖に警戒しつつ
男に微笑まれてもうれしかねーよと思い、顔をしかめる。
「ああ、いや。まー危ないことしてないなら良いんだよ…です。
ヨキ……ふむ、確か非常勤の方で良かったか?。」
生徒であった時期が長かったせいか口調が荒い。
子供達の様子が気に入らないのか、しゃがんで子供達にクワっと顔を破瓜させる。
足元の砂に気づく
「んん?。おいそれは魔方陣か?。
実験っていったよな、そーゆうのって実験室とかでやらないの…です?」
魔方陣を見る目は険しい。
■ヨキ > 「そうだな、非常勤で余所に顔を出していることもあるが……
工芸では(指折り数え)、十年と少し……くらいか?
むやみに在職が長いだけさ。無理して敬語を使わずともよい」
(ぎこちない敬語に笑いながら、ぴらぴらと四本指の手を振る。観堂が顔を顰めた理由には思い至らないらしかった。
子どもたちは観堂の表情を『変顔』と見なしたらしく、キャアと喜ぶ者あれば、ヨキの後ろに照れて隠れる者もいた。
魔法陣に対する観堂の指摘に、足元を一瞥する。
およそ一メートル半四方はある範囲に、丸四角三角に不可思議な文字がみっちりと描き込まれている。
子どもが踏んづけてしまった小さなスニーカーの足跡が、円の輪郭をくっきりと崩していた)
「ああ、君でも魔法陣と判ってくれるか!正確さだけは申し分ないようだな。
うむ……少しばかり、魔術の勉強をしていた。実験室は……ほれ、居心地が窮屈でな。
斯様に晴れているならば、風の子らを連れて外で遊ぶがよろしいと思ったのだ。
小さな花火を放つつもりが、うっかりヨキばかりが感電してしまったが」
(何でもないことだとばかり、いやあ、と頭を掻いて笑う。
観堂の手元の缶ビールを見下ろして、)
「君は風紀の見回りの途中かね?
空き缶拾いまでして回るとは、感心なことだ」